その1
発端
さて、今後、一生、私は、マグナムドライは呑むまい。そう誓いながら特売のマグナムドライを呷っている。人生でそうはない苦い鮭である。(「鮭を呑む」というのは・・・って前にもやったか・・・)
私は今自棄酒を飲んでいる。
いま、今晩が私の部屋が私の求める場所であった最後の晩なのだ・・・。
いや、予兆はあったのかもしれない・・・。
友人Sの部屋が二冬ぶりに、この寒冷前線のお陰でスノーダクトが裂けてしまった。また、漏った。(これで4回目・・・)最初は悲劇、2度目は喜劇。では、4回目はなんというのだろう。などと思っていたのだが・・・。
某所で、ビデオテープの重さに耐えかねて、2Fの床が落ちて、下に寝ていた母親がお亡くなりなられた・・・。
これが第一段階である。
それは人ごとだった・・・。そう、人ごとだった・・・。
ところが・・・。
「明、ちょっとここへ座りなさい」
仕事から疲れ果てて帰ってきた私に母親がそう言ったのである。
「はい?」
何となく、不穏な雰囲気を感じて私は身構えた。こんな状況はろくな事がないのだ。
「今日、和室の立て付けが悪いのを大工さんに見て貰いました」
「はあ?」
淡々としている分、その分怖い。
「立て付けが悪い原因は、二階の床が下がってきているのが原因だそうです」
「ふへ?」
なんとなく解ってしまった・・・。
「明、和室の上には何がありますか?」
「私の部屋ですか・・・」
「その通りです・・・。貴方、私を殺す気ですか・・・」
そんなつもりは欠片もないが・・・。しかし・・・。
「早急に善処なさい。少なくとも三分の一は処分して貰うか、独立なさい」
うう・・・。
それは決定だった。どうしようもない決定事項であったのだ。
蔵書処分。なんと重い言葉だろうか。
蔵書である。蔵の書なのだ・・・。にしてはマンガや文庫本が異様に多いが・・・。
しかし、本って重いのであるな・・・。
かくて、私は今、やけ酒を飲んでいる。
しかし、こんな事までネタにする私も私である。
というわけで、この呆冗記特別版ではこの蔵書処分の様子をレポートしたいと思う。ここ数年、触ってもいない本棚の奥にいったい何が眠っているのか? 何となく怖かったりするのだが・・・。果たして真実は見えるか?(01,1,22)