呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。

動機の存在 なぜPS2の電源は切られたか

 さて、ここしばらく『幻想水滸伝2』(以下『2』)とはお見限りである。
 精神的肉体的に非常にヘヴィな状況にあることもあるが、そのヘヴィな状況を越せるだけの力がどうも、私にとっては『2』にないようなのだ。
 『幻想水滸伝』(以下『1』)をやっていたときと比較して、少なくとも肉体的なヘヴィさは変わらない(精神的には桁が違うのだが)のにどうしてもあの世界に行く気が起きない。そのことについて少し考察してみたい。
 少なくとも、第一作目の主人公が反乱軍の首魁となった動機ははっきりしている。
 絶対的な正義と信じていた父親が守る帝国。しかし、かれが勤めることになった親衛隊に於いてはそれは絶対的な正義ではありえなかった。官僚による税の搾取をはじめとする帝国組織の腐敗。帝国の圧政。長きに渡って真の紋章を持ち、永遠の時間を生きなければならなかった友人との別れ。そして紋章の継承。そして出会った反乱軍の首魁はたった一人の子供のためにその命を捨てる・・・。
 そうして、彼は己が進む道。絶対的な正義と信じた父親との対決の道を歩むのだ。
 その道には、待ったはない。そうして、最後には父親との戦いすら存在する。しかし、彼は進まねばならない。自分の目で見た現実を少しでも変えていくために。
 真面目な話。ここまでシビアな話とは思わなかった。流石は冴速氏。見る目が違う。『タイピングORデッド』に血道をあげる私とは考え方が違うのだ。(うう、小指が、左手小指が遊んでいる今のままでは奴らには勝てない・・・。しかしどうしてAのキーを小指でなく左手薬指で打つのかね。私は・・・)
 ともかく、主人公には逃げ場がないのだ。まったくもってどこにも逃げ場がない・・・。だから、父を、操り人形と化した友を、父が敬愛した皇帝を彼は倒して行かねばならない。なぜならばそれが彼の選んだ道だから・・・。
 と・こ・ろ・が!
 『2』の主人公にはそのあたりの覚悟が足りない。
 少年兵である彼の部隊は巨大な陰謀に巻き込まれ全滅、唯一の生き残りである親友彼は滝から脱出したところを傭兵達(おなつかしや、前作の反乱軍の方々、やっぱり生きてたのね)に助けられる。
 しかし、以後の流れに必然が感じられない。
 いや、演出上の必然と言い換えてもいい。彼が反乱軍のリーダーになる必然がそこにはないのだ。
 むろん、いろいろと制作者側の与えてくれる『必然』の情報は存在する。曰く、過去の都市同盟の英雄の養子である。曰く、真の紋章の継承者。曰く、親友が敵側へと裏切る。しかし、だからといって彼がここまで歴史に刺さり込む必然がどうしても感じられないのだ。過去の都市同盟の英雄の養子。しかし、主人公はその事実を途中まで知らない。曰く、真の紋章の継承。しかし、力を欲したのは友人の方であり、主人公ではない。親友が敵側に裏切。しかし、その行動は、そこまで主人公が流され、歴史の本流に入っていってしまった結果であり、主人公の戦いの原因ではない。
 動機なき戦い。なぜ、私はここでPS2の前に座っているのか? 必然の不在。
 数年前、一人の少年が反乱軍を率い、帝国を打倒した事実。そのことにあやかりたい人々、その少年を知る前作から出演していた人々の主人公へ対する期待。結果として主人公が戦うのはそういった理由でしかない。
 血のつながりのない義姉が言う。
 「逃げようよ。そこまですることないよ」
 その言葉に抗うすべを私は持たないのだ。
 「うん、ナナミ姉ちゃん、逃げよう」
 わが、主人公マフミはそう言って逃げ出してしまった。
 結局、私をPS2の前に縛り付ける理由はどこにもないのだ。
 逆に言うならば、親友が主人公の方がまだマシかも知れない。
 国と国との陰謀によって部隊は全滅し、父親からは絶縁され、母親とも会うことが出来ず、逃亡の際、死にかけていた彼を助けてくれた暖かい家庭は焼き払われ、後には傷心の口すらきけない一人の少女だけが残る。
 彼は奔る。このような現実を彼に与えた歴史を変えるために。
 彼は戦う。この理不尽な世界を変えるために。
 そのためには、親友を、その姉を敵に回しても、仕方がない。いや、いつかはわかってくれるだろう。それは甘えかも知れない。しかし、幼き日の思い出がその甘えを肯定する。
 すくなくとも彼らは分かってくれる。
 たとえ、都市同盟の中心人物を暗殺することになっても。
 その先の平和のためには・・・。
 我が行くは覇道。そう、何も持たぬ自分が、平和を求めるには覇道しかない・・・。
 だから、彼はいくのだ。確かに、王道は存在するだろう、数年前近隣某国の革命は、それによって成った。しかし、自分にはその道は進めない。自分には何もない。将軍の息子でもない自分には。
 そんな自分に力を貸す人々。そう、その人々とともに、戦うしかない。
 我が行くは覇道。
 それでも立ち向かうのか? この国に王道があるというのか? マフミ。
 ならば示すがいい。俺は俺でこの国を変えてやる。
 って、これでは全然別の話だろうか・・・。水滸伝にならないかもしれない

 うーむ、最近ずいぶん感化されているからなあ。某きゃらくたあに。
 え、誰かだって?

 では、一言。
 『シャドーゥ!』(00,11,28)


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