ZOIDS 裏主人公?
さて、前回は残念ながら本編に入る前に紙数が尽きた。
今回は『ZOIDS』の魅力に関して少し突き詰めてみたい。
『ZOIDS』の魅力は何か?
はっきり言って第一印象が、わかりやすい! 明るい! この一言に尽きる。
ここまでわかりやすいアニメは最近とんとご無沙汰であっただろう。
主人公が悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだり、悩んだりしたあげくにようやく「君は生きていていいんだ」と許可をもらったり、訳の分からない設定の山に苦しむこともない。
夕方6時台でありながら集団暴行事件とおぼしき表現をすることもない。
明朗快活。勧善懲悪。こんなに明るいアニメは久しぶりではないか? 少なくとも私にとってはそうである。
しかしだ・・・少し読み込んでいくと意外な事実に突き当たる。
少なくとも第二部は、主人公としてのバンの地位は非常に低い。また、ゾイド・イブというキーワードが表面に出ない現状においては、ヒロイン、フィーネの地位も同様である。ま、この手の勧善懲悪明朗快活アニメというのは主人公が狂言回しのようなものなので(一番の大根役者とも言う)問題はない。主人公よりもシュバルツ兄や、アーバインの方が渋いのは亀の甲よりも年の功である。トーマが可哀想なのは仕方がない話だ。うっかり八兵衛はなんにせよ必要なのである。
しかして、第二部で少し特殊な位置にいることが強調されているキャラクターが2人いる。ま、同種の者としては3人なのだが、赤い方は完璧に完全悪を演じているので除外する。彼は第一部の宰相の代わりだから仕方がないのだ。
というわけで、まず一人。黒い方は第一部からの出演である。(第一部を完全に見ていないので間違っているかもしれないが)帝国の特殊工作員? 単独特殊部隊? として主人公の前に幾度となく立ちふさがってきたレイヴンであろう。ヴとするのがチャームポイントだ。(ってどこが?)
単なる主人公の敵方のライバル(まさかシュバルツ兄をライバルには出来まい。格が違う)として設定されたかに見える彼。おそらくはこっちに来るだろうな、という予感はあった。日本古来の伝統芸能である5人組の青い方。もしくは2号機のパイロットとしての設定であろう。主人公とは持って生まれた性格も環境もまったく違うキャラクター。豹馬に十蔵。ファイヤーマンにズバットである。
しかし、こうするとは思わなかった。制作者の方々に脱帽である。
彼の過去は第49話で明らかになる。いやあ、彼の幼少のみぎりは結構可愛い。いや、私はショタではない。ロリかもしれないがショタではない。はずだ・・・。(そうだよな私)
彼の両親はオーガノイドの研究者であった。そして、オーガノイドによって殺されている。彼は両親が自分を構ってくれない理由をオーガノイド(尻尾に棘なし)に求めていた。そして、両親との約束。この仕事が終わったらハイキングに行こう。それを楽しみにもしていた。そう、このころの彼のゾイド嫌いは両親を取られたように感じていたことにある。この状況を未熟と言うなかれ。児童生徒の年齢の精神構造は未熟な物である。
しかし、尻尾に棘のあるオーガノイド(現在まで確認されたオーガノイドは4匹。その中で尾に棘のあるオーガノイドは1匹しかいない)によって両親を殺され彼は天涯孤独の身の上になってしまったのだ。
もしかしたら、両親によって覚醒された黒い尻尾に棘なしのオーガノイドと仲良くなり、その後の歴史に足跡を残したかも知れない。そういう設定もありである。運命が許すならばレイブンはこの世界で初めて(バンよりも早く)オーガノイドと心を伝わせることのできる存在だったのかも知れない。
古きよき時代のロボットアニメでは父母の作ったロボットに乗って戦う主人公という存在は珍しくない。たぶん、帝国領だから帝国のエースとなったかもしれない。敵は共和国の白いオーガノイド使いだ!(しまった、でもたいてい親の形見のロボットだ)
しかし、歴史にifは禁物である。彼は更に制作者の試練に耐えねばならない。両親を失った彼は主人公であるバンの父親にいったんは助けられるのだ。
彼はこうまで言っている。
「家に来なさい。家には君と同じ年頃の息子がいる」(うろ覚え、間違っていたらごめんなさい)
もしかしたらここで、バンとレイヴンは兄弟仁義だったかも知れない。そうなったら共和国のダブルエース出現だったかも知れないのだ。
が、バンの父は帝国軍のプロイツェンの部隊に敗れたようである。結果として、有名な(有名なのか?)安全装置を解除しない拳銃で帝国宰相を狙うシーンが出現することになる。
彼は両親の愛したゾイドを心の底では愛している。しかし・・・。両親を殺されたことで憎んでもいるのだ。
文字通り彼は主人公のシャドウなのである。
ととと、もう随分と長く書いてしまった。少し急ごう。
そして、もう一人、青い方。古代ゾイド人。これが裏ヒロインだ。
単なる性格異常の小憎たらしい赤い方の下っ端かと思いきや、51話で意外な過去が明らかになる。
彼女はヒロイン、フィーネと同じように近くの村の少年によって発見された。第1話と同じである。
しかし、そんな彼女たちを襲ったのは単なる賊ではない。帝国正規軍であった。そして、少年はただの農夫の息子であったらしい。結果として、白いヘルキャットは帝国正規軍の包囲網を突破することなく少年は死亡。少女はは帝国に捕らわれ。青い悪魔と化す。
帝国の戦力がもう少し少なければ、少年のゾイド操縦能力がもう少し高ければ、青いオーガノイドの能力がああまで特殊な物でなければ、歴史は違っていたかも知れない。共和国の金色の悪魔に対して戦う白いヘルキャット! と言うのもありである。(いいかげんしつこい)
しかし、いくら正反対に作るとはいえ、あの胸はないだろうと思う。あの胸は。第二部のフィーネの胸に比してぺったんこのまったいらではないか。ま、わたしは平らな方が・・・。(今回、壊れているな)
というわけで、単純に見えてこのアニメ、なかなかに深い物があるのだ。次回が楽しみである。
「待つニャ」
おお、友人T。
「旅行記の原稿を持ってきたニャ。そんでもってリーゼニャ」
ふ?
「物語中でリーゼは常に青い少年ニャ。少女と言われたことは一回もないニャ。これはビデオレンタルして確認したニャ」
へ?
「胸が真っ平らなのも当然ニャ。少年の胸が出てたら大変ニャ」
うそ・・・。だって声優さん日高のり子さんだぞ・・・。
「レイヴンだって、声優さんは女性ニャ」
・・・。そうなのか? そうだったのか? わあああああ。裏ヒロインだと思ったのにぃ!(00,11,16)