呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


リピーターと常連

 飲み屋さんにとって一番のお得意さんは何だろうか? 唐突にそう思った。単純に言えば常連なのだろうが、そうでもないような気がする。
 先日、久しぶりに『M』さんに行ったのである。この夏、冴速さんが帰省しなかったので、GW以来の訪問となる。
 個人的には『M』さんの常連のつもりなのだが、こんなに長い間ほったらかしにしている客はいい客ではあるまい。
 「うん、その問題は難しくはあるな」
 おお、友人S。DQは進んでいるか?
 「いや、全然。今回は結構きつい」
 まったくだ。ではなくて、今回は飲み屋さんの一番いいお客というのはどういう存在なのだろうかということなのだ。
 「そりゃあ、金を落としてくれる客だろうな」
 身も蓋もない・・・。
 「うん、言い方を改めるなら、尤も利益率の高い商品を大量に注文してくれる客。これが一番いい客と言うことになるんだろうな」
 ふむふむ。
 「そして、何度も来てくれる客、これが一番いい客だろう。リピーターとでも名付けるかな」
 そういえば、『K』のマスターも前に、『うちの店のお客さんはみんなこの店を他人に紹介してくれないで自分の隠れ家にしてる』と言われてたな。
 「うむ、常連の悪い癖だ。気に入った店は内緒にしておきたい。ま、わからないでもないがな。なんとなく場違いな客がいては場があれるような気がするんだろう」
 結果として常連が増えすぎるとそのリピーター連中が減るというのだな。
 「そうだ、それで自己完結してしまうとなかなか不味いことになる。俺の知っている店で『K平』という店があったが、年輩の常連で10年前は一杯だった。先輩に連れて行かれたが俺など場違いな気がしたもんだ。しかし、年輩の客はだんだん外に飲みに行かなくなる。結果として客の世代交代がうまくいかなくなって店を閉めてしまった」
 難しいものなのだな。常連というものは。
 「更に常連には問題がある。結構有名な話だが、寿司屋の大トロ。あれは利益率がきわめて低い」
 え、喰ったことないが、結構高いと言う噂ではないか。
 「まともに利益を上げようとしたらあんなモンではないらしい。だから、まあ、そこそこの値段を付けておく。利益はその他のネタで吸収するわけだ。逆に海苔巻きとかああいったものもあんまり高くは出来ないから、そこそこの値段を付けておく。烏賊や鮹などもそんなに高くは出来ない。まあ、中級品のネタが一番利益率が高いわけだ」
 ふむふむ。
 「あと、飲んだことはないが、寿司屋の酒は高い」
 しかし、お前何でそんなくだらないことを知っているのだ?
 「ま、高校生を引きつける授業には色々とネタの仕込みが必要なんだ。話が横にそれたな。だから中級品のネタと酒でも呑んでくれる客が一番の上客ということになるんだな」
 では、そんな寿司屋で、海苔巻きや烏賊、鮹で腹を膨らまし、酒を呑まず、上ネタをいくつか喰って帰って来るという輩は・・・。
 「最悪の客と言うことになる。ところがだ、えてして『常連』という客はそれをやってしまうわけだ」
 ・・・?
 「たとえばだ、『M』さんで酒を呑む。滅多に入手できない『日本海』の原酒。これだってそんなに高くは出来ないからそこそこの値段を付けているのに『お勧めください』と常連に言われれば出さざるを得ない。次に、つまみの鮭のルイベにしてもだたくさん肴を頼んでくれる中の一品としてなら利益も上がろうが、あれだけ頼まれてはどうしようもあるまい? 次にもう一杯と来た時には、やはり『日本海』に負けない酒を出さねばなるまい。これも『田酒』の普通のにしてもだ、総利益率が高いものではない。日本酒2杯、突き出し、ルイベ、しめて3,000円では、どのくらい利益が上がっているのか・・・。まったく」
 あのな、なんで、そんな、見てきたようにこの前私が『K』さんで喰ったり飲んだりしたものがわかるのだ。
 「ははは、あの日、『K』さんに行ったら。丁度帰ったと言うではないか。うん。そこで、『上杉君呑んでったの呑むかい』と言われてな、話を聞いたんだ」
 貴様はさぞかし利益率に貢献したのだろうな・・・。
 「いやあ、流石、上杉、あの組み合わせはなかなかコストパフォーマンスに優れるぞ」
 莫迦野郎! (00,9,9)


backtopnext