呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


キルヒアイスの死なない銀英伝?

 まさか、このサイトに来られる方々でキルヒアイスの名を知らない方はいらっしゃらないであろう。(否定の連続)
 「切る悲哀巣」? それはなんだと思うのはMS−IMEだけで充分である。えーい貴様のような無能は必要ないのだ。(しかし、微妙にその生涯を暗示しているようで面白いものがあるな。この名前。ラインハルトはきちんと変換するのだ。MS−IMEも)
 さて、キルヒアイスとは何者か。(使いこなしたATOK13は一発変換である。といってもユーザー辞書の容量が半端ではないので比較には成らないが)
 かの名高き名作スペースオペラ。作品を待つファンのため息がオゾンホール増大の最大原因とまで言われる田中芳樹氏作『銀河英雄伝説』の帝国側の主人公。ラインハルトの親友にして部下。私が大好きなオーベルシュタインの策略によりその命を結果として失うことになる好男子の名である。
 彼の死によって、結果として物語は悲劇的な様相を深めていく。
 「ラインハルトにキルヒアイスは『鬼畜王ランス』に『シィル』ニャ」(著作権保有 友人T)
 とも言うべき存在である。おそらく作者の後書きに「殺したのは間違いだったかも知れない」「(ラインハルトと)逆もあり得たかも知れない」(うろ覚えであるため本来の文章通りではない)と言われた空前絶後最初にして最後の男なのである。
 しかし、何で突然彼の名が出てきたのか? それは大丈夫なのか不安なのだがあの、徳間書店が『徳間デュアル文庫』なるものを創刊したのだ。今までヤングアダルト市場にこれといったシリーズを持たなかった(徳間ノベルズで対応しようとしていた節はあるのだが)徳間書店がその資材を擲っての一大反攻作戦なのである。その中に『銀河英雄伝説ファイナルバージョン』がラインナップされているのだ。
 しかし、徳間書店も良くやるのだ。ノベルズ版、10周年記念愛蔵版、文庫版と来て今度はファイナルバージョン。作者自ら改訂する作品の第2弾! (第1弾は『夏の魔術』である。友人S。しっかりと正誤表を作成するように。ってどなたかお作りになるんでしょうな。きっと)4回も稼ぐ徳間書店と0、4シリーズとも持っている上杉明。どちらがよりお莫迦さんなのであろうか。
 がだ、おそらく半分以上使った前ふりは前ふりでしかない。

 デュアル文庫の新ラインナップ。その1冊に『野望円舞曲 1』(田中芳樹&荻野目悠樹)という作品がある。原案を田中氏が、荻野目氏が執筆をされて最終的な詰めを田中氏がなさったようである。海外ではけっこうこういった合作はよく見るのだが(国内でもゲーム小説などではあよくある)結構珍しい方式といえよう。
 さて、この作品。間違いなく銀英伝の臭いがするのだ。
 物語は田中氏の幻の設定(本来はおそらく『タイタニア』の代わりに書かれるはずだった作品。宇宙を長距離航行する際の要衝を取ったり取られたりする話。しかし徳間は『タイタニア』を要求。結果として可哀想な『タイタニア』は長きに渡って植物状態にある。回復は絶望的か? 私は好きなのだが)である。強大な敵の存在。そして虐げられている主人公は行く人かの友人とともに、密かに、もしくはあからさまに強大な敵に牙をむくのである。
 これが『銀英伝』では姉を奪われたラインハルトとキルヒアイスは帝国に牙をむいたのであるし、『円舞曲』では母を殺されたエレオノーラとベアトリーチェは母を殺した父と、父が象徴する宇宙の現状に牙をむくのだ。
 田中氏がうまいのはこの世紀末に、主人公を女性にしたところではないか。「女が強い」と言われて久しいが日本はまだまだ男社会であり、彼の描く宇宙もそのようだ。そんな中でエレオノーラはラインハルト以上の艱難辛苦を味わって行かねばならないのだ。果たしてどのような苦難が待ち受けていくのか? まるで『細腕繁盛記』ではないか・・・。
 しかし、大丈夫だろう。途中退場してしまったキルヒアイスの代わりにベアトリーチェはしっかり最後まで生き残りそうな気配である。
 ただし、この二人の関係、どう見ても十代の女の子の友情とは思えないのだが・・・。男性作者の限界がここにあるのかも知れない。(友人S曰く、「女子高生の友情は朝露よりも儚い」のだそうだ)。
 しかし、宇宙征服の野望を持っている今のティーンズガールなどいるはずもないのだから、彼女たちは特異点として、これでいいのかも知れない。
 しかし、日本の現実に彼女たちがいたら、日本も少しは安心なのだがなあ・・・。 (00,9,5)


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