呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


自転車日記

 耳元で風が鳴る。
 そういえば、こういった感覚は随分と久しぶりかもしれない。お盆休みの後、雨が降らない限りは自転車で通勤している。
 そういった目で見れば随分と自転車通勤の人の姿を見るようになった。いや、その数が増えたのではあるまい。私が気付かなかっただけなのであろう。
 しかも、私の愛機のメーカーは結構有名所らしい。なんだか恐ろしい程サスペンションやらなにやらが付いているマシンから、MBT風のハンドルが付いている街乗り用まで、『GIANT』ブランドは結構見るのだ。しかし、うちの愛機が一番可愛い・・・。これではまるで親ばかである。
 何はともあれ、確実に自転車での行動半径が広がった。今まで親の自転車では行く気もしなかった『edb』など十分に行動半径の中にある。『edb』で紅茶を飲んで優雅な休日も、週末の夜に思い立ったら『R』で美味しいコーヒーを飲むのも自由自在なのだ。
 車を得た時、マキシマムの行動半径を得たような気持ちになった。事実、帯広や函館が随分と近くなった。しかし、どうやらミニマムの行動半径を失ってしまっていたのかもしれない。自転車で訪れる『R』や『edb』のお茶は味わいもまた深いような気がする。
 しかしだ、どうも最近の自転車ユーザー(ライダー?)のマナーが昔、私がロードマンに乗っている頃よりも悪化したのではないだろうか。
 私の帰宅は深夜に及ぶこともあるのだが、そんな時でもライトすら点けずに走っている自転車がある。
 危ないことこの上ない。自転車のライトというものは自分が見やすいから、見にくいから点灯するのではないのだ。自分の居場所を相手に知らせるために点灯するのである。
 その上、更に反射板さえも壊れていたりすると他者はいったい何で彼らを見つければいいのだろうか。
 8月の末に大通公園の近くで突っ込んできた少年よ。私はそのことを問題にしたいのである。
 また、自転車も道交法は遵守せねばならない。一時停止は一時停止なのだ。自転車は歩道を注意して走るか、左側通行で車道を走るかしなければならないのだ。なのにそれを破るとどうなるか。大変危険なのである。
 おわかりだろうか、8月中旬、一時停止を無視、私の自転車に突っ込んできたサマードレスのお嬢さん。9月に入ってから堂々と車道を右側通行して私を車の前に押し出そうとしたご老人。私はそのことを問題としたいのです。
 はあ・・・。
 がだ、どうも人を責めてばかりはいられないのかもしれない。。
 前方にママチャリを見つける。ギヤをシフトアップ。24段変速の愛車はたちまちママチャリを追い抜く。通学車に高校生。これも難なく追い抜く。MTBも敵ではない。クロカンだって負けるわけには行かないのだ。
 そう、私の愛車はロードレーサーなのである。オンロードでは最も速く走るために作られた車体だ。必要にして充分な強度をもったフレームに、高速巡航を可能とするギヤセッティングだ。強力な制動力を持ったブレーキに、高速時の安定を保つドロップハンドルなのである。何人たりとも私の前は走らせない。走っていいのは街乗り用のタイヤではない細いレーシングタイヤを履いたロードレーサーだけなのである。
 だから、私は今日も一生懸命ペダルを漕ぐのだ。抜かれてもいいのは細いレーシングタイヤを履いたロードレーサーだけなのだ。
 それがロードレーサーユーザーの自負、ロードレーサーユーザーの心意気なのである。
 しかし、そんな車はめったにいない。
 だから、私は今日も一生懸命走っている。これが一番迷惑な自転車かもしれない。(00,9,1)


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