呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


人のお命戴くからは

 最近、とんと面白いアクションにあたらない。期待した「MI2」はかくのごとしである。いや、設定上は無茶苦茶でもいいからその場だけでいいのだ。納得できる、途中で時計を見るような、現実に戻ってしまうような隙を与えるようなアクションはもうご免なのだ。
 「いいものがあるニャ」
 いつものように得体の知れない笑みを浮かべてやってきたのは友人Tである。
 「上杉、これを貸してやるニャ」
 なんだ、それゲームか? 「ファントム」だ?
 俗に言う18禁ゲームのようである。メーカー名は「ニトロプラス」? 知らない名だ。いや、18禁系のメーカーで知っているのは「アリス」と「エルフ」くらいなのだが・・・。 
 「あ、バカにしたニャ。ニトロプラスは全年齢対象の枠を越えて物語表現を追求するために、18禁枠で作品を発表していく新興メーカーニャ」
 しかし、パッケージはいかにもT好みの色素の薄い少女がしかも高校の制服姿でオートジャム(オート・マグ。ダーティハリーで有名な44Mag弾をオートマチックで発射しようと言う意欲的な作品だが意欲的すぎて見事に失敗。あまりの装弾不良にオートジャムの名がある)を握っている。
 げてものだ。げてもの・・・。だいたい高校生がオートジャムを撃てるはずがない。
 しかも、色素が薄そうなショートカットの女の子である。
 綾波だ、綾波。
 二番煎じだ。二番煎じ・・・。
 「ともかく、やってみるニャ。それから、最初はこのパッケージの女の子。アインを大事にするニャ」
 綾波もどきをか?
 「ともかくやるニャ」
 ゲームを借りるのに大層なことである。
 「それが、このゲームでおまえ好みの展開にする秘訣ニャ。それから、年増のお姉さんには気をつけるニャ。おそらく、好みの展開にはならないニャ」
 へいへいだ。
 さあ、やってみるか・・・。
 で。はまった・・・。
 ストーリーの出だしは陳腐である。中学を卒業した主人公は春休みにアメリカ旅行をプレゼント(どういう親だ? こういうのが国際化なら私は納得できないのだ! 贅沢な・・・。と金欠病キャリアはひがんでおくのだ)される。その旅行で殺人を目撃してしまった彼は、殺人の才能を発見されて組織の殺し屋として訓練されていくことになるのだ。その師匠となった初代「ファントム」(パッケージの少女)との出会いと別れが第1部。
 良くある話なのだが・・・。抑制されたシナリオと独特のCGが飽きさせない。うーむ。これは拾いものかもしれない。
 そして、2年後。物語は主人公が2代目「ファントム」を名乗っているところから始まる。主人公はある事件で一人の少女と出会い、あってはならないことながら、己の精神のより所、救いとして唯一の家族を失なった彼女を巻き込んでしまう。しかし、組織の内紛が二人を引き裂いてしまうのだ。その中で主人公は死んだはずの初代「ファントム」と再会する。そして・・・。これが第2部。
 うーむ。逆レオンではないか・・・。
 友人T侮りがたし。ここまで、私の好みをえぐる作品はついぞない。
 しかも、この手の作品の常としての銃器の設定がいい加減であるという弊害はまったくない。最初の広告がガン雑誌だったというのも頷ける話である。下手すると、この銃声もすべてサンプリングしたのでは銃があるまいなと疑えるほどの出来である。しかもマニアな銃がてんこ盛りでしかもおまけコーナーでは3Dでぐるぐる回るのだ・・・。こんなことにこんなに金をかけていいのか? ニトロプラス。である。
 ま、以上のような些末な(十分に些末ではないのだが)点をふまえた上で、私の脳天を貫いてくれたのが4人のヒロインのうちの1人、キャルである。
 殺し屋と少女。そそる世界だ。
 しかし・・・少女の12歳はいいのだが(いいのか? 本当に)、殺し屋が17歳というのは・・・。少し年齢設定に無理があるのではないか? やっぱり中年の殺し屋と少女出会って欲しいのだが・・・。そこだけが残念である。
 「そうなったらアインがどうなるニャ、冗談ではないニャ」
 怒っている奴は勝手に怒らせておこう。ともかく、残念だ。
 しかし、だ。(今回しかしが多すぎる)残念どころではないのがラストの扱いである。彼女とのラストは確かに存在する。しかし、その中にはキャルと主人公の『2人でぬくぬく』(著作権保有 冴速玲氏)ラストがないのである。組織の抗争に巻き込んでしまった少女を守り抜いた主人公は2人で南へと旅立っていく。
 これだ。これがないのは致命的なのだ。
 そりゃあ、自分が見いだした荒事の天才少女と2人で仲良く悪党狩り。というのも楽しいかもしれない。おそらく制作者サイドはそうしたかったのだろう。
 それとも「人のお命戴くからは、どうせ私も地獄行き」なのかもしれない。そういった考えの元での制作であったのかもしれない。
 しかし、汚れない少女の天才性を荒事ではなく、料理や、機械工作の点で生かしてやりたいと思う男もここにいるのである。それではいけないのだろうか。せめて物語の中では安息を得てはいけないのか・・・。(少し危ないな表現が・・・)
 その点をのぞけば本当にここまではまった作品は久しぶりだ。
 各所に制作者の有名アクション作品に対するオマージュがてんこ盛りである。知っていれば数倍は楽しい。実に面白いメディアを楽しませてもらった気がする。これで『MI2』3回分ならば十分にペイすると思う。いや、実に面白かったのだ。(00,8,24)

 追伸 Tの話によるとどうやら改訂版が出るとのこと。もしも、希望が満たされていたらまた借りたいと思う。(00,9,4)


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