呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
行く夏を惜しんで
この土日で夏休みも本当におしまい。
そう思って土曜日。家でごろごろしていると友人Tから電話がかかってきた。
「この夏はどこにも行かないからおもしろくないニャ」
仕方がないだろう。久部さんも忙しい。冴速さんにいたっては、帰省すらできなかったんだからな。
「仕方がない話ニャ。と言うわけで小樽に行くニャ」
小樽だぁ? 唐突な話である。
「小樽に行って地ビール飲むニャ。そうして行く夏を惜しむニャ」
地ビールねえ。しかし、一番弱い奴がそう言うことを言うか? それに先日飲んだ樺太地ビールはなんだか酸っぱかったのだ。
「Sも行くって言っているニャ」
どうやら根回しは完璧らしい。はいはい、参りましょう。
他にすることもなし、行くことにしたのだった。
二人とは駅で待ち合わせた。バスの方が少し安いのだが、バスではあることができないのだ。(これは後述する)そのまま記者で50分。しかしS。ここまで来て貴様は『システムアドミニストレター試験 テキスト』などを開くのか?
「駄目か」
いや、駄目ではないが・・・。
「それとも3人で熱く愛でも語るかニャ」
『Gジェネレーション・ファイナル』の攻略本を片手にTが言う。
だから、それからは離れろと言うに。
結局、私も部屋をかたづけている間に見つけた野田昌宏氏の文庫本『キャベツ畑でつかまえて』を開くと小樽までの道のりを読書にいそしんだのだった。
さぞかし異様な風景であったろうと思う。
ほぼ3月ぶりの『小樽第1倉庫』は混んでいた。
「スペアリブと唐揚げとガーリックトーストニャ」
貴様、GWの旅行で味をしめたな。
「ニャ?」
まあ、よかろう。
「おい、飲み放題にしよう」
じっとメニューを見ていたSが言う。
「そんなに飲めないニャ」
いや、待てT。それは良いアイディアだ。良く考えて見ろ。飲み放題は1,500円。ビールのレギュラージョッキはだいたい500円。3杯飲めば元が取れる。
「だから、僕は3杯も飲めないニャ」
心配するな。私とSが援護する。貴様は囮だ。
「なんと言っても人数分注文せんとならないんだ・・・」
ふふふ。今夜は飲むぞぉ!
既に行く夏を惜しむなどという殊勝な気持ちはどこかへ行ってしまっている。
かくて凄絶な飲み会は始まった。
飲み放題はセルフサービスだったのだが、ウエイトレスのお姉さんが教えてくれなかったばっかりに、我々はテーブルから注文してしまい、伝票再発行の手間を取らせてしまったり。
がぶ飲みしている我々に構ってもらえないTが隣のテーブルの赤ちゃんと意気投合し、いないないばあやら手をふったりした挙げ句に、帰るときにそのお母さんから
「○○ちゃん。それじゃあ小父さんにバイバイしましょうね」
と言われて落ち込んだり。
(本人曰く、「結婚するまではお兄さんニャ!」)
まあ、阿鼻叫喚の巷となったのだった。
しかし、流石はビアグルメ3回を達成した男。Sのペースは疲れを知らない。結局4種類の麦酒を2杯ずつ、合計8杯とは恐れ入る。
「おそらく、次来たときには飲み放題はないニャ」
そうかもしれない。
しかも、混乱はまだ続く。店内に流れ、広告がぶら下がるベトナムジャズのCDをSが買うと言い出したのだ。
ところが店内に在庫がないのだ。購入しようと言うのはよほどの物好きに違いないのだろう。その物好きの友達というのも複雑なものがあるが・・・。
「店の倉庫を探して参ります」
5分経過。
「申し訳ございません。近くにある別棟の倉庫を探して参ります」
10分経過。
「本当に申し訳ございません。担当の者が夏休みでございまして、在庫の場所がわかりません。何でしたら商品を郵送させていただきますが・・・」
「もういいです」
ごめんなさい! 小樽第1倉庫のお兄さん!(名前失念)
いや、もう、うちのSが全部悪いんです。
お兄さんのお手数に恐縮して思わずビーフジャーキーや使いもしない樽などを買ってしまう私とTである。(その樽、何に使うのだ? T)
かくて、我々は気持ちよく酔っぱらうと夜の小樽の街を散策し、駅へと向かったのである。
途中、Tの奴がわざわざ小樽で宝くじを買うのをバカにしたり、
「南総里見八犬伝ニャ」とTにバカにされたりして駅に着く。
駅で私とSは缶ビールを、Tはジュースを買ってJRに乗り込む。
そう、バスでは酒が飲めないが、汽車では酒が飲める(自己の限度内で)。
かくて、我々はバスではなくJRを利用したのだった。
こうして有意義な行く夏を惜しむ飲み会は終わりを告げた。
しかし、問題は一向に夏が終わった気がしないことなのだが・・・。どうして今年はこんなに暑いのだろうか?
このままではすぐ、第2回行く夏を惜しんで飲み会を開かなければならない。(00,8,20)