呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


自転車が家にやってきた

 男35才にして初めて自分の金で自転車を買ったのである。なんかなさけない話であるが、とにもかくにも、ロードレーサータイプ。きっちりしっかりドロップハンドル車である。
 それも友人Sの誕生日に買うあたり、非常に根性が悪い。なんだか毎年Sの誕生日には意地悪をする私・・・。
 もしかして、これって恋?
 (自転車購入のため舞い上がっております。お見苦しい所をお見せしていますがしばらくお待ち下さい)
 僕の青い自転車。はははははは。
 (まだ、舞い上がっております。しばらくお待ち下さい)

 いやはや、なんというか久しぶりに自分の「自転車」というものを持ってしまった。
 ここ5年ほどは自分の自転車を腐らせてしまった結果、親のを借りたり、なんなりしていたのである。それが、アメリカ製ロードレーサーである。
 よんまんきゅうせんはっぴゃくえん!
 毎月そのぐらいの書籍は購入しているのだが、どさっといっぺんにサイフから出ていくとなかなか壮観なものがある。
 ま、友人Sの近くの自転車屋さんがいい人で、一割まけてくれた。
 ところがである、最近のロードレーサーというものは恐ろしいことにスタンドがついていないのだ。
 「だって、レーサーだからな。普通はロードレーサーにスタンドはいるまい?
 そうは言うが友人Sよ。私が購入したのはロードレーサーとは名ばかりで泥除けまで付いている街乗り用だぞ。
 「しかし、一応レーサーだからな。で、どうする。スタンドは? 鉄か? 軽合金か?」
 決まっているではないか。ここまで来てどうして安物を購入するであろうか。もう、神経が2、3本飛んでいるのだ。軽合金製スタンド。2,980円也。
 「あと、ライトだな」
 うむ、ダイナモ方式がエコロジーで素敵ではないか。
 「いや、おそらく、無理だろう?」
 へ?
 「お前の買った『GIANT PERIGEE』はフレームがオーバーサイズだからな。大抵のオプションは付かないはずだ」
 その通り。しかたなくライトは乾電池方式のをハンドル装着である。しかし、普通に使っていれば3月は保つというので良しとしよう。
 「で、カギだが・・・」
 ああ、それは心配いらない。きちんと昔の自転車のを取ってあるのだ。チェーン錠だぞ。
 「そうか、ならばワイヤ・カッターで一発だな。こんなピカピカの新車。そんなカギでは明後日には『呆冗記』で『自転車を盗まれた男の話』が読めるわけだ」
 をい・・・。そこまで非道いのか。
 「一部だとは思われるがワイヤカッターは標準装備との話も聞くぞ。泣くのが嫌なら馬蹄錠の購入を勧めるな」
 って、これ、ビニールで刳るんだ鉄の棒。太さが直径1.5センチはあるぞ。ここまでして守らねばならないのか?
 「愛車のためだ。しかたあるまい」
 悲しい話だが、これも買おう。2,500円。国産の方ね。
 あとは、ベルだが・・・。
 ベルが付かない・・・ハンドルに付かないのだ・・・。
 「うーむクロカンよりドロップの方が太いのか?」
 これは後日、入荷次第装着。
 「道交法違反だぞ・・・」
 ははは。ま、後日必ず装着するから。というわけで?
 「あとは、防犯登録500円」
 ま、盗まれなければいい話。鍵をかけるのを忘れなければいいのだ。しかし念のため。
 そうそう、ご主人、セフティレバー。手に入れてもらえませんか?
 「何? だったらクロカンを買えばいいだろうが!」
 ま。ドロップでのんびり走りたいのだ。
 これで私の虎は蘇った・・・ふふふふふ。
 この店の片隅で1年近く、本当の持ち主を待っていた、愛車よ。末永く頼むぞよ・・・。
 ああ、選ばれし者の恍惚と不安我れにあり・・・。

 「あ、ご主人。うん、『GIANT PERIGEE』だけど、もう一台注文したいんだけど。どのくらいかかります」
 おい。友人S。何をしている。
 「いやな、俺も自分の誕生日に自転車を一台購入しようと思ったんだな。でも、お前が買うと言うからそっちを優先で。俺のは注文しようと思ってたんだ。お前はお店にあるのが早く手に入るし、俺のは工場直送のが手に入る。どっちも満足だろ」
 なんとなく、納得しかねる。

 以上の文章を読んだ感想として正しいものはどれか。答えなさい
 1 他人の誕生日に見せびらかそうとした「私」の自業自得である。
 2 新しい自転車を買うために「私」をダシにした友人Sは許せない。
 3 この2人は35にもなってお互いこんな事をしている恥ずかしい連中である。
 4 これで1回終わらせた気になっている「私」はいい加減にして欲しい。
(00,8,4)


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