呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
最終幻話(ファイナルファンタジー)やって考えた 総括3
さて、シナリオの話にはいるわけだが・・・。
「確かにあんまり評判が良くないニャ」
ああ、それはいえる。
「そうニャ。FF9は『ブレードランナー』の焼き直し。ユーザーをバカにするなという評価もあるニャ」
それはそれで問題があると思うぞ。空を飛ぶものがみんな鳥だとすれば、蝶々やトンボの立場はどうなるのだ?
「それはそれで凄い言い方だと思うニャ」
だって、そんなもんだろう。ま、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』だって過去の名作の焼き直しといえるわけだからな。問題は、オリジナリティの度合いだ。
「その点は難しいかもしれないニャ」
そこまでは言わないまでもストーリーの最大の問題はやっぱりビビだと思うのだ。
「フムフムニャ」
彼は何でこの一件に巻き込まれたのだ?
「劇のチケットが偽物で、屋根から潜り込んだら誘拐劇に巻き込まれた・・・。ニャ」
そうだよな。完全に巻き込まれているのだ。だから、彼が自主的に行動する必然はない。とこらが彼はジタンと行動をともにする。このあたりがどうしても弱い。
「確かにニャ」
たとえばだ、ビビの存在は異端なのか?
「?」
ビビの存在が異端なものであり、おそれられていたのなら、唯一自分を普通に見てくれたガーネットに対して心を開き、あそこで行動をともにする必要が出てくると思うのだ。そして、黒魔道士の存在によって深く巻き込まれていく。
「でも、そうは思えないニャ」
その通りなのだ。普通の少年として演出されているのだよな。話をしてくれるおばさんも女の子もみんな黒魔道士が恐怖の対象になる以前は普通の少年として話をしてくれる。そんな彼が、しかも臆病な少年として書かれている彼が、あそこでどうして動けるかなのだ。そこが違和感を感じてしまうのだよな。
「ジタンはどうニャ」
ああ、あれは結構納得できる。
「へニャ」
あれは親分の勝ち。今回の事件は親分とシド王の仕組んだシナリオを元にして動いていたのだな。育ての親でもある親分はジタンの行動パターンを見抜いている。ジタンこそ異端なのだよ。FF9の世界では。
「どうしてニャ」
獣人でもなく、人でもない。人の体に尻尾つき。これが重要だ。他にそんな奴はいない。故にジタンの交際は薄利多売となるわけだ。セクハラといわれようが軽薄といわれようが、孤独だった彼の一種のパフォーマンスだったわけだな。
唯一似たような存在は、人の体に角付きだったガーネット姫しかいない。おそらく、年寄り二人は、若い二人が出会った場合のジタンの行動予測がついたのだ。お互いの中の異端を嗅ぎつけた結果、なにがあってもジタンはガーネットを守るであろう。逆に言うと若手ピカイチのジタンで対応できない事態が起こることは考えられなかった。まさか、あそこまで女王がトチ狂って劇場艇を沈めてしまうとは思わなかったわけだ。城の脱出作戦程度ならジタンで十分。それが狂ったことで問題は更に混迷の度を加える。
「でも、だったら何で墜落後、あそこでもっとバックアップしなかったニャ」
しなかったのじゃない。出来なかった。けが人の治療、拠点の防御、やることは山ほどあったはずだからな。
「けが人1人が必要とする健常な兵士は3名といわれるぞ」
おお、S。
「じゃあ、成績処理があるからこの辺で・・・」
なにしに来たんだ? あいつは・・・。ともかくそう言うことなのだな。回せる戦力はあれ以上あり得なかった。劇場艇を守るにも戦力は必要だしな。また、あの状況で親分は状況の異様性に気がついた。女王がおかしい。そのため、今後の展開が読めない。結果として組織の一員としてのジタンでは対応できない可能性がある。
あの破門はジタンにフリーハンドを与える手段だったわけだ。
「って、上杉の話だとオヤジどもが格好良すぎるニャ」
ははは、亀の甲より年の功と言うではないか。
「職場のオヤジさまは?」
あいつらはあ・・・。は、それは関係ない。
ともかく、そうしてウラにシド王もいたからこそ、ゲートぶち壊しても文句も言われなかったのだ。
「こうしてみると、FF9の根底に流れるのは『ラブラブ』ではないというわけニャ」
そう、演出によってどうも歪められているが、実質は異端故に孤独を感じていたジタンとそこへ吹き寄せられた異端な者の癒しの旅と言えるかもしれないな。
「そこまで大層なものかニャ」
そこまで大層なものでなくても、もう少しシナリオを練り込んで創ってくれれば文句は全くなかったのだが・・・。最近のFFはどうもそういった細かいところでの練り混みが随分と不足しているような気がするのだ。はじめに凄まじい事件があって、それを解決する、もしくは首謀者を追いつめることがメインであって、それにからんだ色恋沙汰はあくまでサブのはずなのだが。
「それに関しては同感ニャ。ただ、口がおごっただけかもしれないニャ」
それは、確かに過去のFFをやり直してみる必要があるかもしれないな。
「しかし、なんだか、序盤だけで随分と時間がかかってしまったニャ。そろそろお開きにしないと長すぎるニャ」
ああ、今度はテラとクリスタルについて少し語りたいと思う。(00,7,19)