呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


雪印について考えた

 どうも、無茶苦茶になっているような気がするのだ・・・。
 完璧におかしくなっていないだろうか? 最近の北海道は。
 あまり政治的やニュースに類する話を『呆冗記』でする気はないのだが、流石にこればかりは言わせてもらいたいと思う。
 「パンにはやっぱり雪印」を信じていた我々にとって、今回の事件はあまりにも驚くべきものだった。まったくもって信じがたい事件といえる。青地に白い雪の結晶マーク。雪印のアイスクリーム。私達が高校の修学旅行に行ったとき、ラクトアイスしかない京都で、ようやく見つけた、青いアイスクリームは干天の慈雨とでもいうべき存在だった。
 我々は無意識のうちに雪印のブランドに対して盲目的な信頼感を持っていたのである。曰く、雪印ならば、曰く、雪印だから。チーズにしろ、バターにしろ、牛乳にしろ、ヨーグルトにしろ、我々が食する乳製品はほとんどがスノーブランドであり、それが当たり前のことであった。
 よく、内地の方には気持ち悪いと言われるのだが、納豆にチーズ。バターかけご飯。これら北海道の郷土食? にはやはり雪印のチーズとバターがふさわしいのである。いやふさわしかったのだ。ゆでた馬鈴薯に付属するのは黄色い紙パッケージに牛が印刷された雪印のバターであったのだ。
 しかし、今回の事件はそんな道民の「あたりまえ」を大きく突き崩してしまった出来事だった。どうやら札幌工場は問題なかったようだが、遠い大阪の地で栄光あるスノーブランドが大きく汚れてしまった。いや、もはや汚れただけでは済まされないかもしれない。おそらく、大阪工場は立ち直ることすら出来ないのではないか? そこまで考えてしまうほど今回の事件の問題点は大きい。
 今回の事件も、問題は今までの信じられない事件と同じである。『考えられないことを平気でやった』これに尽きる。
 完璧に安全なマニュアルに対し、密かに、実行レベルで安全なマニュアル。裏マニュアルとでもいうものを作成し、しかる後に、その裏マニュアルさえも裸足で逃げ出すようなずさんな現場作業を行う。食料品という直接口に入る商品を創る場で、そんな事が平然と行われていたのである。
 その作業が問題なく機能していたのは僥倖にすぎない。しかし、今日の僥倖を明日も期待してしまうのが人間の性である。その結果、事故が起こってからでは遅すぎるのだ。
 事故が起きてからは立ち直ることすら出来ないかも知れない。このままでは雪印の牛乳部門は消滅しかねない。それほどの非常事態をおこしうる原因を、しかし、「なんとかなる」という依存体質で平然と行っていたことに人間の業を感じてならない。
 しかし、北海道の人間にはもしかしたら、悪しき意味での植民地根性が存在するのだろうか? 我々北海道における和人の子孫達は大多数が内地から新天地を求めてやってきた者達の末裔である。そして、官主体の開拓使によって先導され、依存し、北海道の産業を発展させてきた。
 北海道の人間の遺伝子レベルに於いて、どこか、依存というものが染みついているのではないだろうか?
 そう思える節がありすぎる。
 13都市銀行の1つと豪語していたにもかかわらず、いまや存在しない『たくぎん』。
 屋上のホールにしか名前を残せなかった『五番館』
 北海道一の老舗と言われながら経営不振に喘ぎ続ける『丸井今井』。
 北海道ゼネコンの雄と言われながらまったく元気のない『地崎』。
 これらの不振の原因が、『北海道経済は日本というジャンボジェットの車輪。一番遅く景気が良くなり、一番速く不況になる』という実状の原因が、この依存体質にあるとしたら? それは恐ろしいことではないのだろうかと思う。

 ところで、鎖国を解消されたのも外圧、軍国主義から民主主義になったときも外圧による、外圧に依存する国家が近くにあるが、そっちの方は大丈夫なのだろうか? つい先日絶対に事故を起こしてはならない核燃料ですさんな作業をしてとんでもない事故を起こした某国家。そっちの方も凄まじく心配であるのだが。(00,7,14)


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