呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


最終幻話(ファイナルファンタジー)やって考えた その3

 いやあ、いまさっきまで嬉しくて嬉しくて大笑いさせてもらった。大団円。その名にふさわしい幕切れだった。約45時間でこのRPGを終わることが出来た。ラストのFFのテーマが流れたときは本当に45時間、やって良かったと思えたほどだ。こんな感想を持ったのは実に久しぶりだ。実に持って爽快な気分である。麦酒を片手に簡単な個人的総括とさせてもらおう。
 ネタバレもあるので終わっていない方は、読まれない方がいいかも知れない。

 よろしいかな? では行ってみよう。
 まず、終わってみて驚いたのが久しぶりのエンカウントの凶悪さである。
 これはFC版FFの頃に戻った。そう言えるのではないだろうか。少なくともPS版FFとは思えない凶悪さである。故に、ポーションを99個、ハイポーションを99個持っていないと安心できないと言う苦情はこの場合、持っていない方が悪いのだ。セーブポイントで必ずテント。これも初期FFのお約束である。このあたり、最初のFFが9であるユーザーや、FF1からのユーザー、もしくはFF4からのユーザーはすんなり行けたのだろうが、このあたりが結構惰弱であったPSFFから入ったユーザーにとっては辛く否定したかったのではないか?
 3D画面の見にくさは相変わらず。
 しかし、FF7の改訂版で採用した行けるところを表すシステム。なんでその後使わなくなってしまったのだろう。一度使っておきながら以後使わないのは何となく開発側の怠慢のような気がしないでもない。
 セーブポイントの減少。
 特にラストダンジョンは中ボス二つに一つ程度。これはもう、FF3のクリスタルタワーを彷彿とさせるか? あの別名、ハマリだんじょん。いや、あれはひどかった。だってセーブポイントが確か2カ所くらいしかないのだから。だから今回も思い切って最初と最後だけでも良かったのではないか? そう考えたりもするのだ。(実際は「あれ、セーブポイントはどこだ一体!」と中ボス倒し終わってから探しまくっていた軟弱プレイヤーであったことを懺悔させてもらう)
 4つの祠。
 ジタン以外はCOM演出に終始したのは少々残念だった。これはやはり全部自分でやりたかった気がする。難易度がむちゃくちゃ高くなるかもしれないが・・・。しかし全然レベルをあげていない(他が50近いのに一人だけ35)クイナを使わねばならなかったときは、目の前が真っ暗になった。
 ラスボス。
 連戦もなければ分割もされていない4対1のボコ殴りパターン。ま、再び間口を広げようとする意図ならばこれはこれで肯定できる。もしくはだが、フィールドはエンカウントを下げ、中ボス、ラスボスを無茶苦茶強くする『ハードタイプ』なる作品も想定できるが・・・。冗談である。(出たりして・・・)
 最強の代名詞だった神龍やFF1のラスボス、ガーランドの名の浪費。
 これをどう取るかによっても話はずいぶんと変わってくるのだろう。オールドファンほど気にするのではないか? 確かに現在の最強はアルテマウェポンかもしれないが、(アルテマはFF2でミンウの代わりにやっと取ったのに全然使えなくてとても悲しかった事以来嫌いなのだが・・・)あのFF8でのHP1攻撃というバランスも糞も考えていない卑劣な攻撃に比べて遙かに正々堂々としていた神龍を単なる中ボスにしてしまったことは賛否両論、いや否の方が大きいかもしれない。しかし、それだって栄誉あるシドの名をあんな軟弱オヤジにつけるよりは随分とましだと思うのはFF8嫌悪原理主義者の面目躍如と言うところだろうか? 私は全然気にならなかった。
 ガーネット姫について。
 これはもう、最後までメロメロで終わった。今回どういうわけかエーコ萌え状態に陥らなかったのはガーネットが正真正銘お嬢様育ちであったからに他ならないのだろう。エーコの方がよっぽど精神年齢が高いのだ。
 だからその結果、ジタンも裏家業の人間でありながら、薄利多売の女性関係を続けていたが故の初さから、単純なボーイミーツガールの物語となったわけだがこれも肯定するか、否定するかでまた評価は大きく分かれるだろう。
 「ビビを女の子にしてヒロインにすれば」
 とは冴速氏の。
 「スタイナーの代わりにベアトリスをパーティにいれて、ジタン、ガーネット、ベアトリスの三角関係ニャ」
 とは友人Tの意見だが、前者ではビビ子(ヒロインだから)がティナになってしまう可能性があるし、後者では間違いなくティナとセリスとロックとの関係の再来となるだろう。
 「俺が守ってやる」
 はしっかり出たことでもあるし・・・。(爆笑)
 恋愛関係を主体としたゲームではないのだから、出来るだけ単純な方が良かった。だからこれでいいと思うのだが。単なる考えなしだろうか・・・。

 ま、雑多な文章となったが、これについては同じく終わらせた友人Tと対談の形で総括したいと思っている。

 というわけでラストシーン。

 「ジタン。連れて行ってください。めおと団の一員にしてくれるって言ったじゃありませんか」
 ジタンはガーネットの真摯な視線から思わず眼をそらした。
  そして、永遠とも言える瞬間の後に絞り出した言葉がこれだった。
 「莫迦なことを言うなよ。またダガーに戻りたいのか? ガーネットはこのアレキサンドリアを守る義務があるじゃないか」
 そうして自嘲するような笑み。
 「いいかい、ガーネット。何かあったら小劇場に連絡をよこすんだ。連絡が付くようにしておく。忘れられた大陸からだって駆けつけるからな」
 ガーネットの瞳に涙が浮かんだ。
 「じゃあな」
 その声とともに窓から身を翻すと、アレキサンドリア城の天守に音もなく近づいていたインブシンビルへと飛び降りる。船から伸びる一筋の光線が彼を包み、ジタンの姿はガーネットの視界から消えた。

 「いいの? ジタン」
 ブリッジへと入ってきたジタンに艦橋で船を操っていたビビが訪ねる。
 「バッカじゃないの」
 エーコが非難するように声をかける。
 「いいんだよ・・・。ガーネットは、お姫様なんだから・・・。
 おし、各地に残ったモンスターの殲滅戦を行う」
 ブリッジの面々にそう告げるとジタンは小さく呟いた。
 「いいんだよ・・・」 

 「ジターン」
 ばったーん。ガーネットの部屋の扉が大きな音をたてて開かれる。
 「姫様、いや、女王様、御免、ジタンは?」
 「あの人は、行ってしまいました」
 ガーネットはスタイナーに振り向くことなく、空を見上げながら答える。
 「くそう、あの窃盗犯め!」
 「いいえ、あの人は誘拐、いえそれすら最後まで終わらせてくれませんでした・・・」
 「いえ、あいつは大事なものを盗んでいきました」
 「・・・」
 「姫様の心です」
 ガーネットが瞳に涙をためたまま振り向く。
 「このスタイナー、騎士の名にかけて取り戻して参ります」
 「でも・・・あの人は、行ってしまいました・・・」
 「男というものは因果な生き物です。いい年とって、薄々自分が間違っていると思ってもはっきり殴られなければ目が覚めないこともあるのです。誰でも人のことはよく見えるものですな。」
 そこで言葉を切るとニヤリと笑う。
 「あやつは更に年も若い。致命的にわかっておりません。
 では姫様、御免! 飛空挺をお借りしますぞ。プルート隊出撃!」
 そのまま部屋を飛び出していく。
 「おお、ベアトリス。姫様を頼むぞ、わしはしばらく留守にする」
 廊下にスタイナーの声が響く。
 ガーネットは再び窓から
再び空を見上げた。白い鳥が数羽、霧の晴れた青空を太陽に向かって飛んでいくのが見えた。(FIN)

 なんて事になったら大笑いしてやろうと思っていたのだが・・・。やっぱり違いましたな。(00,7,13)


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