呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


高校野球について考えた

 今日、2時近くに大麻球場近くを外回りで通ったら見覚えのある制服の男女がちょこまかと歩いているのが見えた。あの制服は友人Sの学校の制服ではないか。そういえば、S曰く、
 『今年は調子がいいので、地区大会決勝まで行けそうなんだ』
 と言っていたのだ。その決勝戦が今日だったらしい。
 高校野球については色々と高野連の行状については話したいこともあるのだが、そっちへ行ってしまうときわめて政治的かつ生臭い話になりかねないので、今回はパスである。ただ、江戸時代の五人組でもあるまいし、一部の部員の不祥事でその他が全員参加を自粛するという制度はどうにかならないものだろうか。これって、不祥事起こした部員は他の部員に対して一生の負い目を背負い、他の部員は彼を一生恨みかねないと思うのだが・・・。ま、そういうことをするなという高野連の考えもわからないではないが、しかし、なんだかきつすぎるような気もしないでもない。(わあ、曖昧にしてる)
 しかし、高校野球という奴自体が少しばかり大げさすぎるのではないだろうか。某三大新聞の一つが夏の大会、某三代新聞の一つが春の大会をやっているためか見事に扱いが大きい。まったく持って全道大会なんてに出ることが出来れば大きな活字で凄まじい宣伝効果になるのだろう。私が中学校の時やっていたバスケットなんて、高校として北海道で有名なのはインターハイの常連の2校くらいなのに、それよりもたかが(わあ、暴論)全道大会で扱いが遙かに大きいのだ。
 確かに全道の中の32校の一つになるということは凄まじいことなのだろう。しかしだ、それは他の競技でも同じではないのだろうか?

 以上、前振り。以下から本題。

 しかしだ、そうであっても高校における他の競技との絶対的な相違点は確かに存在する。それが全校応援という奴だ。こればっかりは屋内競技は全滅である。バスケットにしろ、バレーにしろ、全校生徒が一つところに集まって応援なんぞ出来るはずがない。全校応援というのは千人規模の応援団が二つ、両サイドに繰り広げなければならないのだ。こんな広い応援席を持つものは、野球場と陸上競技場しかないではないか。しかし、陸上競技では残念ながら盛り上がりに欠ける。申し訳ないが、球技ほど一般的ではないのだ。わずか数十秒のためのフィールド競技や短距離の全校応援、もしくは何十分もトラックを走る長距離や、2時間外を走っているマラソンの全校応援・・・。いまいちツボに落ちないのだ。
 ところが野球である。これほどはまる物があるだろうか。単純な(見るだけならであることに注意)球技。大味な(そっちの方が好きだが)ベースボールではない日本的な野球。これに対応できるものとしたらサッカーしかないかも知れない。(ラクビーはシーズンが冬。一般人には寒すぎる)もう少しコンサドーレ(嗚呼、この名前に適応してしまった私に呪いあれ)が頑張ってくれれば、野球との逆転も可能であるかもしれないが・・・。現状に於いてはやっぱり野球であろうと言うしかあるまい。
 事実、あの球技を全校応援すると、一種不思議な世界に捕らわれてしまうのである。私も二度だけその経験がある。
 あれは今から20年近く前の夏。母校が全道大会に出場した時のことだ。出席日数と引き替えにされた(体育6時間というのは暴利である)全校応援。しかし、我々はいつしか声を枯らして応援していたのだ。同じ教室で、隣の教室で、授業中爆睡している連中が生き生きとグラウンドの中で試合を行っている。それはプロでも何でもない、自分と同じ級友なのだ。何となく不透明な陶酔感。そして先輩も後輩もない、全校応援。クラスの固まりの前に野球部の1年生が立って声を張り上げる
 『押忍! 応援お願いします!』
 『おお!』
  母校のエースは1年生の時の同級生ではないか。ひたすら授業中寝ていた奴が、今、晴れの舞台に立っている。
 陶酔。そして同じ陶酔感に支配された連中が向かいの外野席に陣取っている。
 そう、あれは一瞬の夢だったのかも知れない。応援することにが我らがチームに力を与えるというような錯覚? 勝って我々は足取りも軽く帰路につき、負けてなぜか悲しくて仕方がなかった。
 綺麗すぎるかも知れない。しかし、確かにそんな時代が、好きでこんな腐れ外道となり果てた私にもあったのである。
 上の方のシステムはともかく、下部組織は常に純粋なのだ。
 いや、そんな考えは彼らにはまだ、あるまい。おそらくは「体育の出席時数?時間」という強制力によって仕方なく全校応援しているのかも知れない。しかし、そんな瞬間をたまらなくいとおしく思える時間は必ずくるはずである。そんな時間をもてたことに幸いのあらんことを
。今回はそんな甘々の純粋さに免じてオチはない。いつもないかも知れないが。(00,7,6)

 追伸 Sの勤務校は無事全道大会に出場したそうだ。もう一回そんな楽しみができる(今は苦しいだけかもしれないが)君たちに幸あらん事を。(今回綺麗にまとめすぎたかも知れないなあ)(00,7,7)


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