呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


 そう、ただ・・・。 
 押入の右下。そこに秘められたいくつかの段ボール箱。その中の一つには公には出来ない、昔お世話になり、未だに捨てがたい各種の書籍や写真集、漫画たちが存在し、そして、また違う箱には今はもう絶対に見ることのない、いや出来ない中学。高校時代に書いた物語の断片が納められている。私の死後、それらが他者の目に触れる。このことだけが死んでも死にきれない。そう思えた。

 幸いにして、近代医学の勝利。抗生物質の効果によってその激痛の夜の翌日から私の左腕は快方に向かった。
 あの、男とももう会うことはなかった。
 あの男はなんだったのだろうか? それは謎のままだ。
 ただ、これからは少し、押入の中を整理した方がいいかも知れない。そう私は考えて、いる。


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