呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


ドロシー、ドロシー

 さて、一之蔵の試飲会の直後の日曜日であるが、久部さんにご足労願ってたまったLD見まくりである。
 『メルティランサー』はなんともななのだ。第一にプレイヤーキャラクターである補佐官をここまでギャグにするならヒロイン達をもう少しきちんと描いてくれればいいのだが、隊長さんが格好良くてもね・・・である。
 それから、これは久部さんお持たせの『ニア・アンダー7』のビデオ。
 理解に苦しむ。評価に悩む。おもしろい。おもしろいことは認める。しかし・・・。無条件LD(実はDVD)購入。の『風まかせ月影 蘭』並か?というと否である。おもしろいことを認めることは吝かではないが、それ以上では決してない。ただ、本能のどこかが無条件で切り捨てることを拒否しているのだ。実にもって微妙なところにある作品である。
 でもって、『ザ・ビックオー』。
 これは近来まれにみる収穫である。真面目におもしろいのだ。記憶を失った街。パラダイムシティのネゴシエイター。雰囲気はマイク・ハマー(米TV版)である。何よりも脇役陣がおもしろい。執事のじいさんはいかにものキャラだ。警察署長もいい味を出している。逆に言うとアニメ版の主人公はいまいち極まらない。これで主人公がきちっと極まれば間違いのない名作になるのだが、残念ながら主人公がどうも腰が据わっていない。最初のエピソード(1話、2話)ならばまだしも、第3話は、どうもなあと首を傾げるしかない。漫画版の主人公の方が遙かに渋い。むろん、三枚目の部分はあってしかりだが、腰が据わっていないのは致命的だ。シナリオの不統一か演出の齟齬か? もうちょいなんとかなったかな? という気もしなくもない。(あ、また否定の連続だ)
 しかし、そんな難点をぶちかましてがぶりよって充分な存在がヒロイン? のドロシーなのである。
 アンドロイドである彼女はしかし、現状のアンドロイド少女とは一線を画す。不健康そうな目の下の隈。大の大人、おそらくは充分な体力を持っているであろう署長が簡単には動かすことができないその重量。かすかに聞こえるモーターやギアのきしみ。
 ヘアバンドに模したディスクドライブを開けるとそこにディスクを入れるのに便利なようにライトが点くにいたっては、もう、どーにでもして。状態である。
 Sの反論を覚悟で言うならば、「綾波」は少なくとも少女の肉体は持っていた。しかし、ドロシーはそれすらないのだ。しかし、それであっても、いや、それ故に、彼女は『ザ・ビッグオー』においてヒロイン足り得るのであり、この作品が確実に私の中で名作足り得る資格を得たのである。
 私の万言よりも久部さんの一言が彼女にとっては最高の賞賛となり得るだろう。
 「いやあ、僕はメカフェチなのかなあ。そうじゃないと思ってたんだけど」
 「は?」
 「いやね、モームにはまったよね」
 『超時空戦記オーガス』のヒロイン。(と少なくとも久部さんと私は理解している)モームは久部さん永遠の伴侶である。
 「で、マルチもアイボ代わりにするのはいいかなあと思ったんだよね」
 一部ではお手軽で感動できる便利キャラと言われているようだが、マルチは充分にいじらしい。彼女があのゲームの真のヒロインで何が悪いのだ?
 「でさ、ドロシー。はまっちゃったよ・・・」
 おお、久部さんをはめるとは・・・。さすが、『ザ・ビッグオー』そして、それを探し出した私の
嗅覚ももまだまだ捨てたものではないようだ。(00,5,22)


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