呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


とんでもないものを見つけてしまった 2

 よせばいいのに、結構評判が良かったので1月に1回程度なら罰も当たるまいととんでもないものネタである。『良いメール』をもらってしまっては続けないわけには行かなくなってしまった。例によって例のごとく、現在の上杉明はいっさい関知しないのでそのつもりで。(笑)
 しかし、今回はいまいちであろうか? ま、原典の2話が元ネタである。
 以下駄文。なお、前回同様、原文でカタカナ表記だった実在人物の名前は全てイニシャルに変更してある。

AIR WAR
PLAY2 その男T

 A大尉がスコアを36伸ばしたその深夜。反A∞∞基地の椰子の木陰で二つの人影があった。
 「Sが見つかったよ」
 影のうち、男が言った。
 「えっ?」
 もう一つの影は女だ。
 「この基地のMigが36機、A∞∞のインターセプターによってあっという間に叩き落とされた」
 男の声はあくまでも静かだった。
 「それが!」
 「いや、叩き落としたのは航空力学を無視したF−105だ。Sじゃない・・・」
 「では、誰が・・・」
 女の声がうわずる。
 「36機のMigとF−105の戦うコンバットエリアで一発の弾も撃たずに逃げ回っていたF−5がいたそうだ」
 「なんです? それ・・・」
 女が吐き捨てる。
 「だらしのない」
 「それがSだよ。あいつは逃げ足だけは天下一品だったからな」
 「ええ、でも何故敵に・・・」
 ケロッと態度が変わる。
 「それは違う・・・。我々が敵になってしまったんだ・・・」
 「どうして?」
 「この基地では3時に紅茶とジャムパンが出るだろう?」
 女がうなずく。
 「向こうの基地ではあんパンと番茶が出るんだ」
 「そんな・・・」
 女が絶句する。
 「それが解っていてこっちへ来たんですか!」
 「ああ」
 男が静かに言う。
 「あのあんパン中毒の上に番茶カフェイン中毒(注1)がジャムパンと紅茶の方へ来ると考えたのですか?」
 「いや、考えてはいない・・・」
 男はあくまでも静かだ。
 「僕があんパンが大嫌いだったから・・・」
 「キライです!」
 女が駆け出す。
 『何故? 何故あなたはSさんのそばにいてくれないの・・・。そうしたらあなたの方が何倍・・・いえ何万倍もステキに見えるのに! 何故!(注2)
 「嫌われたな・・・」
 男がつぶやく。
 「(注3)大尉!」
 闇の中から整備兵が飛び出してきた。
 「どうした!」
 「はっ、イーグルの整が終了しております」
 「よし」
 Tは整備兵の後について歩き出した。
 『S、貴様を殺す』(お、シビアー)

 「ざわっ!」
 「どうした、S」
 AはF−105のコックピットの中から下を飛ぶタイガー2に向かって声をかけた。
 「いや、サム気が・・・」
 とはS。
 「おもしろい奴やな。擬音まで声でやるのか?」
 「ほっておいて」
 「いいんですか! 大尉、!」
 もう一機、尻のグラマーなF−18(注4)のパイロットが怒鳴る。
 「そー怒るな、H」
 H中尉(注5)
A∞∞で、現在のところ唯一まともなパイロットである。
 「いいんだよ、どーせたるい仕事なんだから」
 Aがあくびをかみころす。
 「しかし、重要目標でしょうが!」
 言っておくが、この3人ピクニックに行っているのではない。敵への爆撃を行うべく飛んでいるのだ。
 「オマエ知らんな、A∞∞の攻撃目標の決め方! Kがヨメハン(シルキー)失神させた回数で決めてるんだぜ」
 「そんな・・・」
 Hが絶句する。
 「たまやあ」
 Sがのんびり言う。
 照明弾が上がり始めた。
 「ミサイルに気をつけたほうが・・・」
 「かまへん、かまへん」
 3機はゆっくり中高度を飛んでいる。

 「ふふ、A∞∞の連中だな」
 目標の指令はそう呟いた。
 「ミサイル!」
 「は?」
 副官Aは素っ頓狂な声をあげる。
 「お、おりません! 司令! 敵が来ているのに今夜の相手を指名するとは、しかもそんな名前、私は知りませんよ・・・」
 「何を言っている!」
 「ミサいる?」(く、苦しいな)
 「キサマ! しゃきっとせんか!」
 副官Aが殴り倒される。
 「ミサイルだ!」
 「了解であります!」
 副官Bが部屋を飛び出すと数分で帰ってきた。
 「やっと見つけてまいりました!」
 手にロープが3本。
 「何のつもりだ?」
 「3ザイル(みさいる)」(莫迦にされるなあ)
 「ええかげんにせー」
 副官Bが天井にめり込む。
 「副官C! ミサイルだ!」
 「了解であります!」
 副官Cはちゃんとマイクに向かう。
 「よし、副官C、ボーナスUP」
 「対空石火矢隊、用意!」
 バキッ!
 副官Cは壁にめり込んだ。

 「わーっ! 低空でないとやられるーっ!」
 Hがわめく。
 「うるさい! 下をよーく見て見ろ!」
 Aの声にHが下を向いて見ると
 「なんです? あれ」
 「石火矢だよ、石火矢」
 「へっ?」
 「下手に低空を飛ぶと当たっちまうぜ!」
 「ここはなんなんだあ!」

 「副官D!」
 「はっ!」
 副官Dはおっかなびっくり天井、壁、床にのめり込んだ副官連を見た。
 「キバを出せ!」
 「了解です!」(おおい、高度はかなりあるんだぞ)
 副官Dはスイッチを押した。ゲートが開く。
 パッパパラ、パッパパラ、パッパパラ!

 「大尉!」
 Hが言ってくる。
 「下で馬が走り回ってますぅ」
 「バカ!」
 Sが言った。
 「あれが騎馬だ!」(しょーもない)
 「よーし、目標!」
 Aが言う。
 「ATTACK!」
 作戦は成功した。哀れな副官Dの最期は誰も知らない。

 
 「なにぃ! 補給基地がやられている!」
 Tはハンガーに走った。
 「まわせーっ! 整備は終わっているんだろう!」
 「え、飛ぶ気ですか?」
 整備員がのんびり言う。
 Tは花に飾られているF−15を見た。
 「整美は終わってますけどね」
 へたっ。

注 1 回覧原稿に残るSの感想
    『あ、あんまりだ』
注 2 同上
    『たたっ殺したろか? この女』
注 3 T君、放送局長にしてSの恋のライバル。これについては聞くも涙、の話がある
    S、公開していいか?
注 4 なんとイーグルのエンジンと換装した、化け物ホーネット。
    オリジナルはH君のゲームでの愛機。
注 5 仲間内で一番温厚、実直色白の美男子。元気かなあ

 お目汚しでございました。(00,3,16)


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