呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
ニュータイプのいないG その3
そろそろ、莫迦話の細かいところがつらくなってきているので、非常に業腹だが、今回から友人Sの協力を受けることにする。しかし、おまえはこんな事しか考えていないのか? というところで、与太話でも実際に文章化するのは大変なんだとちょっと後悔。
さて、U.C0079。1月31日。捕虜の扱いや核兵器の使用禁止などが定められた南極条約が締結。ジオンは2月7日から地上侵攻を開始。3月までの侵攻により大陸の2/3をその支配下に置くことになる。が、このことがジオンの戦力を消耗させ、硬直状態を生み出すことになったのだ。なぜならば、これはあくまでもジオンの初期の戦略想定にない事態だったからである。ジオンの兵器形態はあくまでも宇宙における短期決戦を目的としていた。これはザクの兵器形態からも容易に知ることが出きる。すなわち、ザクマシンガンにしろ、バズーカにしろ、あくまでも対艦兵器としての位置づけでしかない。すなわち、ジオンはあくまでもモビルスーツを高い機動力を持った対艦兵器としての位置づけしかしていなかったのだ。しかし、この考え方は一方では正しい。
仮に、現在の兵器による価格比較を行ってみよう。宇宙戦艦はイージス艦。モビルスーツは戦闘機とするならば、こんごう級イージス艦は約1,200億円。F−15イーグルが約100億円である。価格だけで見てもザクは12機で1隻のマゼランを沈めれば充分にペイすることになるのだ。
確かに、連邦の国力はジオンの20倍と言われていたが、開戦時のジオンとの戦力比は多くて1対3程度であり、更に各個撃破されたことを考慮に入れるならこの数字はもっと低下すると見ていいだろう。結果はジオンの圧勝である。
しかし、この対艦兵器は汎用性が高すぎた。地上においてもザクは有効な兵器足り得たのである。だが、この結果モビルスーツのコストパフォーマンスは呆れるほど悪化することになる。現在の最強の戦車。米軍のM1A1は7億円。連邦の主力戦車がこれ以上に高いとは思えない。そのため、ザクとのコストパフォーマンスはもっとも甘く考えて14対1となる。14台の61式に袋叩きにあうザク。むろん、ここでザクがまるでモーターヘッドのごとく、61式の統一射撃をことごとくかわすという選択肢もないことはないのだが、現実問題としては難しいといえる。ジオン軍がマゼラトップやドップといった戦車や航空機を地球上の戦闘に投入したのはこの収支の赤字を埋めるためだったのだ。だが、この時点ではザクの致命的な欠点。当初対艦兵器として開発されたため、対モビルスーツ戦というファクターが完全に消失していた事にジオン側で気がつく者はいなかったのだ。
しかし、攻撃を受ける側の連邦においては、対艦兵器。そして最強の陸上兵器となりつつあるザクに対抗できる兵器の開発は急務であった。既にモビルスーツは技術者の道楽ではなくなったのだ。3月までのジオンの地上侵攻作戦の主力であるジオンの人型巨大兵器に対応できる対モビルスーツ用モビルスーツの開発は急を要した。
戦線が一応の膠着状態となった4月。連邦は乾坤一擲の作戦。V作戦を開始する。同時に、決定されたビンソン計画によりなにはともあれ、以後建造される宇宙戦艦、巡洋艦は全てモビルスーツ搭載を前提とした偽装が成されることとなったのである。
対してジオンは6月にア・バオア・クー、ソロモン、月面基地グラナダを結んだ防衛ラインを完成させる。そして、ジオンはザクの運用においてある一つの可能性に突き当たり、フラナガン機関を設置することになる。このことに関しては次回(ニュータイプのいないG その4)において詳しく語られる事になるであろう。
7月。モビルスーツ使用を前提とした強襲母艦、ペガサス級2番艦、ホワイトベースが進宙する。
この艦は、前方にモビルスーツ格納庫を二つ、後方にエンジンブロックを二つ、この四つのブロックを居住区の遠心力作成ブロックでつなぎ、その上に電子装備を艦橋として設置した、いわゆるブロック構造の大量生産艦として建造された。本来ならばネームシップとしてジャブローで建造された一番艦。ペガサスが最も速く完成するはずだったのだが、不慣れな商船建造方式であるブロック工法に手間取ったため、ビンソン計画のテストケースとして民間ドックに発注された2番艦、ホワイトベースがわずか3ヶ月で最も速く完成したのである。余談ではあるが、ジャブローの工廠において建造された1番艦ペガサス、3番艦トロイホースは各部に軍工廠ならではの細かな作業が施され、2番艦ホワイトベースはとの識別は容易である。
同時に、新型のモビルスーツの開発も始められた。目的は対モビルスーツモビルスーツの開発。移動砲台として開発されたRX-77を全面的に見直し、ザク以上の機動力とザク以上の武装を持った最強のモビルスーツの開発が急がれたのである。土台としてのRX-77、捕獲されたザクの存在もあり、設計は順調に推移。設計、製作に3月という短期間で対モビルスーツモビルスーツ。RX-78ガンダムが完成したのだった。
連邦の技術力の暴走が、現実のジオンのザクという対抗馬によって押さえられ、程良いところでバランスをとった兵器。これがRX-78だったのだ。連邦の最新技術エネルギーCAPを使用したビーム兵器と、未熟なパイロットをアシストする学習コンピュータシステム。いたせりつくせりの装備はあくまでもザクを倒す。このためだけに特化された兵器。それがガンダムだった。
ガンダムの意義は『連邦にもモビルスーツあり』このプロバガンダとしての意味が強かった。職人芸による少数生産。でなければ、ルナチタニウムや最新鋭のエネルギーCAPを実用化することなど不可能だっただろう。このときの連邦の考えは、あくまでも、主力はガンダムの完成後、エースパイロットによって得られたデータのフィードバックを受けた量産機。この量産機完成を待って一大反抗を開始する。というものだったのだ。
あまりある予算と人員によってガンダムはわずか3ヶ月でロールアウト。同時にその設計図は連邦の各研究所へ送られその後の各種バリエーションを産むことになる。
8月、公試の終わったホワイトベースは直ちにサイド7にてRX-77を3機、RX-78を3機、受領するべく出港した。この部隊の目的はあくまでもプロバガンダであった。連邦最強のモビルスーツ部隊。しかし、実体は試作艦と、偽情報に踊らされた失敗作と、戦意向上のための試作機でしかなかった。
しかし、この情報は連邦軍上層部の「土竜」によりただちにジオンへ伝えられたのだ。
事態を重く見たジオンはサイド7付近にて残敵掃討を行っていた精鋭、シャア・アズナブル指揮下の部隊にサイド7への出撃を命じた。
そして、0079年9月18日。史上初のモビルスーツ戦闘が行われることになる。(00,2,16)