呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


ニュータイプのいないG その2

 ジオンの参謀本部はそして、究極の大艦巨砲計画を推進することになる。それが、コロニーを一つまるごと砲弾とする『コロニー落とし』と呼ばれる作戦であった。この、巨大な砲弾によって連邦の中枢であるジャブローを破壊するならば、連邦において継戦不能な損害を与えることが可能となる。何よりも、連邦は重力井戸の底にあり、ジオンはその重力すら味方にすることが可能だったのである。
 モビルスーツの概念が萌芽して6年。ジオニック社は遂にザク2の開発に成功する。これは、120ミリマシンガンや240ミリバズーカー、ヒートホークなどを状況において選択することが可能な多機能兵器であった。
 そして、第一線部隊にザク2、もしくはザク1が配備されるのを待って、ジオンは連邦に対し宣戦を布告。ここに1年戦争の幕が切って落とされたのだ。
 ジオンは宣戦布告以後40時間で3つのコロニーを撃破。『コロニー落とし』を遂行しようとするも、連邦の抵抗にあい失敗。ここに、ジオンの希望であった一撃による連邦の継戦不能状況の実現は失敗した。
 そして、ジオンは制宙権を確立するため、連邦は宇宙における勢力を守るため、サイド5ルウムにおいて両者は激突。ミノフスキー粒子下での戦闘に最も適したドクトリンが何物かを互いの血によって証明することとなったのである。
 戦力比は連邦がジオンの3倍を数えた。旧来のドクトリンならば、連邦の圧勝といえる。しかし現実は、より機動性の高いモビルスーツにより、連邦の宇宙戦闘機によるピケットラインは食い破られ、連邦の無敵艦隊は壊滅した。指揮官レビル将軍は捕虜となり、ここに連邦の宇宙における軍事拠点は消滅することになる。
 ジオンは勝利に酔っていた。が、この時、核融合炉の不調により放棄されたザク2の1機が自爆装置の不調により連邦に捕獲され、レビルを囮として地上に運ばれたことを知る者はいなかった。
 当時、連邦側のモビルスーツ開発は決して活発なものではなかった。あくまでも、ジオン側のリークする偽情報、汎用人型兵器に対する、敵が持っているから自分も開発しておく。といったものにすぎなかったのだ。キャタピラの下半身をもった人型の上半身。もしくは機動力の低い砲台としての人型兵器。こういったジオンが故意に流した情報が、連邦をして、RX-75、RX-77という対抗兵器の開発に着手させたのだ。
 しかし、連邦のモビルスーツに対する考えはジオンとは異なっていた。先にも述べたようにジオンがモビルスーツを主力と考えていたのに対し、連邦のドクトリンはあくまでも大艦巨砲。モビルスーツは補助兵器の域を出ることはなかったのだ。故に、開発は辺境のコロニーサイド7において細々と続けられていたにすぎなかった。
 高価な玩具。この認識はしかし、技術者の暴走を呼び起こした。当時のサイド7は技術者達の楽園と化していた。ルナチタニウムとセラミックの複合素材をふんだんに使用し、小型高出力の融合炉の完成。それに伴うメガ粒子砲の小型化。連邦の技術者は当時の自殺的な冗談「メガ粒子砲を持ったモビルスーツ」の実現を可能なものとした。
 そこに1年戦争が勃発する。「ザクショック」。密かにサイド7に運ばれたザクを徹底的に調査した技術者達は苦い現実に直面する。ジオンのモビルスーツはスペックとして連邦のRX-77に対し、カタログ上で勝るところは何もなかった。ジェネレーター出力、スラスター出力。センサー有効半径。しかし、兵器としての完成度は遙かに勝っていたのだ。連邦の玩具は高価なコンピュータをパイロットの補助として必要とし、それ故にパイロットだけでなくコンピュータの保護のため、コアブロックシステムを必要としていた。しかし、ザクにはそんなものは必要なかったのだ。後に、後期型に比べて操縦が難しいといわれた当時のザクでさえ。簡便なシステムは複雑なコンピュータを必要としなかった。そして、生産性においてもザクは遙かによく考えられた機体だった。
 だが、連邦において待ったはなかった。宇宙の拠点。ルナ2を守るための停戦、講和のための南極条約は不調に終わり、ジオンは地上に対して一大制圧作戦を開始した。持久戦となったこの戦いにジオンが勝利するためには地上の物資は必要不可欠だったのだ。
 そして、連邦は、ザクに対抗できるモビルスーツを一刻も早く必要としていた。史上最初の対モビルスーツ用モビルスーツ。RX−79の開発は急ピッチで進められることになる。(00,2,10 2,16改訂)

追伸 10日の時点では最後の段落は、
 「連邦にもモビルスーツあり」。プロバガンダとしての部隊結成のため、新鋭艦ホワイトベースがサイド7へと出航する。しかし、それはたちまちにしてジオンの知るところとなり、サイド7にジオンの精鋭部隊が向かうことになる。
 だったのだが、少々筆を急ぎすぎたため、次回でRX-79の開発状況をやる予定である。
 しかし、とんでもない泥沼にはまってしまった気がする。(苦笑)


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