呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


ニュータイプのいないG その1

 昨年秋の旅行での与太話に、しばしお付き合い願いたい。Gの世界においての違和感。ニュータイプを抹消する歴史である。
 あ、私はごく普通のガンダム視聴者にもかかわらずこんなことを始めたが、熱狂的なファンの方は決して剃刀など送ってこないで無視してくださるようあらかじめお願い申し上げる。
 が、理性的なご批評、ご助言ならば喜んでお受けする。
 ただ、我々(私と久部さん)の基本姿勢が、「Gにニュータイプはいらない」というものなので、「ニュータイプこそG世界の救いである」というような基本姿勢の方とは永遠の平行線となることはご理解いただきたい。
 では、始めさせていただく。

 U.C(宇宙世紀)0079年、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んだ。
 物量において劣るジオンだったが、機動兵器モビルスーツを開発し、戦局を優勢の内に進めた。このとき、ジオンを優勢としたのは単にモビルスーツだけではなかった。レーダーや誘導のたぐいを極めて困難にさせるミノフスキー粒子の存在。これが旧態依然の連邦軍の戦術に大きな打撃を与えたのである。
 それまでの連邦軍の軍備はひとえに巨艦巨砲主義。兵器のプラットフォームとしての戦艦。という考えだった。大量の戦艦によるミサイル飽和攻撃。これが連邦のドクトリンだったのである。
 二つの異なる勢力は、互いに大量のミサイルを発射しあう。しかし、宇宙空間において遙か遠くから探知されたミサイルに対し、双方は濃密な迎撃網を準備することができる。この迎撃網を突破するほどの飽和攻撃を行える方が戦闘の勝利者となるのだ。この際、実体弾は鉄甲弾による攻撃兵器ではなく、留弾としての防御兵器として効果的に働く。
 この考えは、連邦以上の軍事力を持った存在がない以上、極めて有効に作動する。大量のミサイルが連邦の敵を葬り去るのである。
 しかし、ミノフスキー粒子の存在がこのドクトリンを極めて難しいものとした。すなわち、このドクトリンに不可欠な、長距離における敵の探知と、ミサイルの誘導。これが全く不可能になったためである。
 この戦場において、極めて有効な手段は何か。再び実体弾の時代が到来したのだ。敵のすぐ近くまで弾着観測機を進め、指向性ビームにより弾着を観測させる。当然、大口径の実体弾を発射できる艦が有利なのは言うまでもない。ジオンにおいて、国力に対して大型艦が多いのはこの時期に立てられた計画による。
 この計画はしかし、諸刃の剣でもあった。国力に勝る連邦がこの新たなジオンのドクトリンに対応する事は火を見るよりも明らかだった。緒戦がただの勝利であるならば、最終的には連邦の大口径実体弾を発射できる超大型艦によってジオンは敗北するであろう。
 必要なのは緒戦における完膚なまでの勝利。連邦が継戦を諦めるほどの勝利でなければならなかった。
 この机上演習の結果にジオン軍参謀本部は苦悩することになる。
 そんなジオンを救ったものは、二つの貧者のアイディアだった。
 弾着観測機の武装化。敵艦の弾幕をかいくぐり、至近距離から各種実体弾を発射できるならば、その命中率は飛躍的に高まるのではないか? 
 高機動力を持った砲があれば敵の攻撃をかわしながら命中弾を与え続けることができるのではないか?
 宇宙戦艦よりも遙かに安価なこれらの兵器のキルレシオがたとえ1:1であっても、経済効果によってジオンは勝利しうるのだ。
 そのアイディアを実現するに必要な技術は存在した。地球圏により近いコロニーにおいて使用された宇宙作業機、安価なスペースポッドと違い、ジオンの宇宙作業機は民需用においても、その存在が深宇宙にあった故に、核融合炉の装備が不可欠であった。結果、機体は高価なものとなり、機体あたりの能力はより高いものが求められることになる。より強力なマニピュレータ。小型核融合炉技術。連邦よりも遙かに進んだ技術がジオンの民需用ポッドには投入されていたのである。
 このポッドを製造・販売していた主力メーカーであるジオニック社とツイマッド社はそれぞれ、軍の要求に対し、試作機を提出した。結果としてジオニック社の試作機が敵の弾幕をかいくぐって至近距離から実体弾を発射できる兵器。モビルスーツとして採用されたのである。時にU.C0073のことであった。
 そして、モビルスーツの時代が始まることになる。(00,2,9)


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