呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


涙腺が脆くなっちゃって

 最近涙腺が緩くなって困る。なんでもない文章で泣けるのだ。笑ってしまう。
 たとえばある、戦記ノンフィクション。IJNのBB、『伊勢』が呉に着底し、降ろそうとした軍艦旗が引っかかってしまう。それを見た兵士が一言。
 「『伊勢』はまだ戦う気なんだ」
 これで、ぶわあ、である。
 最近、すっかりお見限りだが『俺の屍を越えてゆけ』でも泣ける。
 というわけで、今回泣いたのが
『地球連邦の興亡 4』(佐藤大輔著 徳間ノベルス)。
 いやあ、泣けたのである。全編、自分の役目を果たさんとするいい男と、いい女のオンパレードなのだ。
 ま、特にぶわあっと来たのは141P。ウィルバ一等兵曹の言葉。

「おまえたち、なにをしている? 子供たちの前で恥ずかしくはないのか。分隊起立! 彼らの盾になれ。気ヲ付ケェ!」
 兵士は弾かれたようにたちあがった。銃こそ持っているものの、かれらはいかなる防弾装備もつけていなかった。

 3巻目まで主人公である南郷一之の敵役であったルイ・エミール・ドウパイユの最後の戦い。167P。

 ルイ・エミール・ドゥパイユという男にこびりついていた余分なものがすべてはがれおちた様な表情だった。かれは命じた。
「決まっているだろう、ここに残り、かれらのために時間を稼ぐのだ」

 で、極めつけは206P。

 「なんて連中だ」ハートリィ艦長は呻いた。その声には普段のかれならば絶対に示さないであろうもの、善意や信義の実在、つまりは神の奇跡を目にした者のような感情が含まれていた。
「極めつけの愚者どもめ。なんと素晴らしい莫迦者どもめ。たとえ内戦になっても、人類はまだまだ滅びんぞ」

 何故か泣けるのだ。
 しかし、佐藤大輔御大はこのような読み方をもっとも嫌うのかもしれないのではあるまいか。なぜならば、かの、リアリストは彼らの行動は洗脳によるものであると明言されているからだ。
 しかし、それも、御大の照れではないのだろうか?
 そんな甘いロマンティストは御大のいうところの無能な働き者なのかもしれない。
 でも、やはり、感動できる男たちだと、私は思う。

 追伸。
 しかし・・・あくまでも個人的な考えだが、『皇国の守護者』(Cノベル・ファンタジア)って、御大が『地球帝国の興亡』が徳間に潰されたと判断して立ち上げたシリーズではないのだろうか? 何かとても設定がにている・・・。(00,1,27 00,1,28加筆)


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