呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


賢者かく語りき

 「上杉君」
 久しぶりにお会いしたら開口一番、久部さんがおっしゃったのである。
 「『レオン』はあれでいいんだよ。あの後、我々が彼女と知り合ってぬくぬくという未来があるじゃないか」
 というわけで今回は久部大老(たーれん)語録だ。
 いつものように、私はこの言葉に目が覚める思いをさせていただいた。そうなのだ。私の『レオン=自分』の仮定ではなくレオンと自分が別であるならばなんら問題はないのだ。
 『グロリア』の坊やは男の我々には、お稚児さん趣味がなければどーでもいいのである。レオンには死んでいただく。そのあとに彼女と自分のぬくぬくが待っているのだ。
 う・・・。私は外道だろうか。
 それはそれで、いいかもしれない。

 さて、今回はジェットコースターで話が変わる。
 今、久部さんと見ているのが『ガンダムW』である。別名戦隊ガンダムだとか、やおい(やまなし、おちなし、いみなし)ガンダムだとか言われていたので本放送のときは敬遠(事実、第1話のミュージカルっぽさに辟易してしまった)していたのだが、『Gガンダム』にはまってしまった私と久部さんは『ガンダムW』にも当時、見いだせなかった何かがあるのではないかと考え、レンタルビデオ鑑賞会を始めたのだ。
 16話ぶっ続けで見た久部さんの感想。
 「ニュータイプが出てこなくて、気持ちがいいねえ」
 同感である。
 耳学問によると10話で自爆するまでがハードであとはソフト(やおい)という話だったのだが、それ以降も結構面白い。なによりも『ニュータイプ』に縛られていない世界は心地よいのである。で、久部さんの一言。
 「あ、そうだ。秋の旅行のときの与太話。ガンダム史をニュータイプなしで再構築した世界は『呆冗記』に書かないの」
 げ、墓穴を掘ったかもしれない。

 というわけで、ビデオを見まくる日曜日のお昼ご飯。吉野家の牛丼を買いに行く途中での与太話である。
 冒頭はささいな話だった。対向車のスバル・インプレッサのエンブレムについてだった。オリジナルは『i』をデザインしたものなのだが、結構スバルの『六連星』マークに変えている車があるという話だっただろうか。
 「スバルと言えば変なところで去年は『中島飛行機』の名前がでたねえ」
 「そうですねえ」
 私は応じた。
 「そういえば、面白い記述がありましたっけ」
 久部さんと私の会話の場合話題が3回転宙返りするのは当たり前なのである。
 「ほう?」
 「中島『誉』は『日本陸海軍航空戦力の凋落を助長した』エンジン(日本陸軍軍用機集 原野 茂 グリーンアロー出版社)という表現があったんですよ」
 「まともな『誉』は職人さんが手作りしていたからねえ。職人さんを大量に育成するしか安定した生産は出来なかったんだよね」
 「『手作りによる大量生産』ですか?」
 何か、どこか変な表現である。

 というわけで、賢者の一言は凡人をも時に精神世界の高みへと舞上げてくださるのである。
 「上杉君、前話した『内地と本土と呼ぶ地域が独立する架空歴史』は呆冗記のネタにならないのかな」

 賢者は常に厳しいのだ。(00,1,24)


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