呆冗記
呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。


みず谷なおき氏に捧ぐ・・・

 まさかな・・・。こうも私の人生に影響を与えた人々がばたばたと亡くなられるとは思いもよらない今年の夏。
 本屋で2冊のスペシャル版を見つけた私はその本に手を伸ばした。
 「ほえ、またみず谷なおきさんの『人類ネコ科』が出とる。小学館も手を変え品変えよくやるのお」
 どーせまた買うのである。ちなみにこの男、笹本祐一氏の「妖精作戦」は初版、表紙変わった版、平成書き換え版と3冊持っていたりするのだ。天然の阿呆である。そして、実は『人類ネコ科』も2種類持っていたりするのだ。
 しかし、私の手が硬直した。
 「嘘だろう・・・」
 その本の帯にはこう書かれていた「追悼出版」と・・・。
 「嘘だろう・・・」
 こみ上げる不安。確かに去年の夏に「バーバリアンズ2」は出版された。非常に完成度の高いマンガで堪能させてもらった。しかし、完成度が高すぎるが故に、完璧主義なるがゆえに、非常に危うさをも含んでいたのだ。あとがきにちらとそのような危惧を裏付けるようなことが書かれていなかったか? いや、たしかあそこには立ち直ったとあったはずだ。しかし、しかし。
 「自殺?」
 まさか・・・。森山塔自殺事件だってあるし・・・。何かの悪い冗談か?
 あわててレジで支払いを済ませると私は家へ取ってかえした。ネットにアクセスする。
 情報はあった。
 「2月8日。突然死 享年38才」
 嘘だろう・・・。
 衝撃だった。
 数日前、部屋をかたづけていて、「バーバリアンズ2」が出てきたのだ。思わすコーヒー淹れて読みふけってしまったのだ。奥付見て、今年の夏か秋には「バーバリアンズ3」が出るのかなあ。ソードの奴、ちゃんと王国復興できるのかよ。と笑って読んでいたのだ。
 なのに、その時にはもうみず谷なおき氏は亡くなっていたのだ。
 衝撃だった。村下孝蔵氏の時はリアルタイムでその死を知ることが出来た。しかし、みず谷氏はその死を半年も知ることはなかったのだ。
 その夜はゆっくりと「人類ネコ科」を読んだ。
 記憶通りの物語がそこにはあった。
 初めて読んだ日のことが昨日のように想い出された。
 今密かに、このWebpageのために悪巧みを計画している連中の原点はここにあったのかな。そんなことを思うと目頭が熱くなってしまった。

キャラクターを失った作者はどこに行くのだろう。
作者を失ったキャラクターはどこに行くのだろう。

 合掌。(99,8,13)


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