呆冗記　人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。

村下孝蔵氏に捧ぐ・・・

　今月に入ってから、村下孝蔵氏が亡くなられた。今でも信じられない話だ。が、本当の話だ。
　実は、今日までこのことについてここで語ろうとは思わなかった。だが・・・。
　今日、ＬＤを買おうと立ち寄ったレコード屋でベストセレクションの『林檎と檸檬』を見つけた。すべてのＣＤ、ファーストアルバム『汽笛が聞こえる街』から１３枚目の『愛されるために』（ソングコレクション『歌人』『歌人�U』ははずす）まで持っている私はあえて発売当時買わなかった。というか、非常によく似たセレクトでオリジナルのテープをこさえていた私は、村下孝蔵氏とまだ無限の時間を持っていると信じていた私は、あえて買う必要を覚えなかったのかもしれない。
　しかし、今日見つけた『林檎と檸檬』には、ただ、右上に「ありがとう村下孝蔵」なる黒いラベルが張られていた。耐えられるものではない・・・。

　「好きな歌手は？」との問いに「山口百恵と村下孝蔵」と答えるようになったのは。いつからだろう？　むろん、カラオケの下手な私には『初恋』も一番好きな『少女』も、持ち歌ではなかったのだけれども・・・。真冬の稚内の空港横。その直線道路を走りながらちょうどその曲を聴く。ようなお遊びをしながらも、私は村下孝蔵氏の曲をすり切れるほどに聞いた。
　私が小説もどきを書き散らしていた高校生から大学生の一時代、私にとってのヒロインのイメージは間違いなく村下孝蔵氏の『少女』のそれであり、そして社会に出てから、密かな想いとともに『ゆうこ』を口ずさむ。へべれけな酔っぱらいもまた私だった。
　なのに・・・私に残されたのは１３枚のアルバムと、２枚のソングコレクション、１枚のベストセレクションだけなのだ。
　永遠は存在しない。居心地のいい飲み屋も、大学時代に通い続けた居酒屋もみな過去の残滓すら残ってはいない。
　知っていたはずなのに・・・。今、私の安息の場もまた流転していくことは覚悟していたのに・・・。
　そして私自身も永遠とは思ってもいないはずなのに・・・。

　ただ、黒いラベルは悲しすぎる・・・。

　結局、『林檎と檸檬』を一枚買ってきた。これ、４年も前のＣＤだったのか・・・。

　寂しいのは私だけじゃない・・・。それはわかるけれど・・・。合掌。
　（すんません、今日のは暗いです）（99,7,26）