呆冗記 人生に有益なことは何一つ書かず、どーでもいいことばかり書いてあるぺえじ。
三十路男のBAR談義
まともな男ならば、BARという名前に敬意を持つはずだ。そう思う。
もしも、この文章を読まれているあなたが、以上の文章に鼻糞ほどの敬意を払う必要を認めなければ、私とは縁なき方だと思う。以上の文章に納得できない方は以下の文章は「大笑い海水浴場」だと思うので読まれない方が精神的にお互いのためになるだろう。
というわけで、以下はBARとは、現在において数少ない、男(ダンディズム)の存在する場所と認識して下さる方々のために書きたいと思う。BARで携帯電話ピーピー鳴らすなよな。ったく・・・。
閑話休題。
ここ数日、仕事上とことん疲れ果てた私は、(夏休みがなくなると思って友人Sたちとの旅行をキャンセルしたにもかかわらずその仕事が上の方でうやむやになってしまったのだ)今日、仕事で買い物に出たあと、ふらふらと私の知っているBAR『CE』に足を向けた。甘い(うまい)酒が飲みたい。それしか理由はなかった。(前回の麦酒がぶ飲みではまだ解消できなかったわけだ)
最初はアイランドのそんなに癖のないシングルモルトから入る。個人的にはバーボンが好きなのだが、ワイルドターキーなら一般小売りでも購入できる。しかし、アイランドモルトはなかなかそうではない。最初はシングルモルトだ。アイランドモルトの中でも癖のないモルトが、ささくれだった私の心を癒すように喉を滑り落ちる。どうやら、今日は客が少ないらしい。ならば、2杯目は、ロングカクテルで、バーテンさんの酒談義が聞けるわけだ。
ゆっくりと『ボルカ』を啜りながら、ジンベースとウォッカベースの由来をバーテンさんから聞く。彼はもしかしたら私よりは若いかもしれないが、酒の世界においては私が3回は生まれ変わってもかなわないくらいの知識を持っているのだ。むろん、私は私の仕事において彼が3回生まれ変わっても追いつかない知識は持っているのだが。それはまた別の話だ。
そして、最後はマティーニである。私はドライ・マティーニがカクテルの中では最高だと信じる者の一人だ。しかし、かつて、ある英文学者の先生がエッセイに書かれたこんな言葉を気にする軟弱者でもある。..「マティーニを3口で飲む人間はスノップ以外の何者でもない」
しかしだ、ドライマティーニは冷たい方が旨いと思うのだ。まず一口で冷たいマティーニをいただき、オリーブを囓って二口目、で、霜が消える前に最後の三口目を飲み干す。これが最高だと思っていたのだが・・・。バーテンさんは、長いこと悩んでいた私の悩みを明快に解いてくれた。
「バランスのいいカクテルは、時間をおいて分離してもおいしいものなんですよ」
目から鱗であった。今までの疑問が氷解したのだ。英文学の老教授は、ジンの上に分離したベルモットをすする時に美味を感じていたのだ。そういう楽しみ方も世の中にはあるらしい。しかし、当座はドライマティーニは冷たいまま飲もうと思う私だった。
だから、途中から入ってきた若者よ、ビール飲みながらカクテルのロック飲むのはやめてくれ!
そういう飲み方もあるのだろうが・・・。(99,7,17 99,7,18一部修正)