ペルゲ〜シデ
(1992年4月29日)

ペルゲ
ペルゲの遺跡

    アンタルヤ近郊にはいくつも遺跡がある。
    どれも交通は不便なところにあるので、効率良く見るなら旅行会社のツアーに参加するのが手っ取り早いが、今回は自力で行ってみようと思った。
    比較的行きやすいペルゲとシデの遺跡に行くことにする。
    交通手段はドルムシュと呼ばれる乗合バスだ。
    ドルムシュ乗り場に行き、ペルゲの最寄の村アクスへ行く車を探す。
    こういうとき、この国では近くにいる人に尋ねると、たいてい親切に教えてくれる。
    今回もその手で無事乗ることができた。

    ペルゲの遺跡への分かれ道で車を停めてもらった。
    ちょうど道端で果物を売っていたので、オレンジを2個買う。
    そして、ペルゲと書かれた矢印に従って歩き始めた。
    ガイドブックの情報によるとアクスからペルゲまでは約2km。
    途中にあった郵便局でハガキを出すついでに道を確かめながら歩いて行くと、30分くらいで闘技場の跡に出た。
    まだ朝早いせいか、他に観光客の姿はない。
    階段状の客席に座り、さっき買ったオレンジを食べた。
    みずみずしい甘さが喉に広がる。
    皮をどこに捨てようか考えた末、自然に返すのがいいだろうと、階段の最上部の土の中に埋めた。
    それほど周りには何もないところだったのだ。
    闘技場を出てしばらく歩くと、街区跡が広がっていた。
    門をくぐると崩れかけた二つの円塔。その奥に石柱が立ち並んでいる。
    ガイドブックには浴場やビザンチン教会跡などがあると書いてあるが、詳しい説明はなかったのでどこに何があるのかさっぱりわからない。(こういうときはガイド付きのツアーがうらやましい)
    ただそこにある石が、かつては町を形作っていたということがわかるだけ。
    崩れた石柱の上ではトカゲが日向ぼっこしていて、まわりには名も知れぬ雑草が生い茂っていた。
    荒涼とした景色でありながら、のどかな雰囲気が漂っている。
    石が、幸福な昔の夢を見ている・・・そんな感じだった。



    シデ
    シデの遺跡


    ふたたびドルムシュに乗り、シデの遺跡に向かった。
    シデはギリシャ時代からビザンチン時代まで栄えた都市国家。
    この町を囲む城壁はアレキサンダー大王の攻撃を受けたこともあると知り、本でしか知らなかった歴史の証拠が目の前に現れたような気がした。
    車を降りて他の観光客の流れに従って歩いて行くと、円形劇場跡に出た。
    シデの遺跡は海のすぐ近くにある。
    ほぼ全容を留めている円形劇場の上まで登ると、青く広がる地中海が一望できた。
    地中海の青というのはほんとうに青い。セルリアンブルーというのだろうか。
    シデはリゾート地でもあるので、周りの観光客もどちらかというとリゾートのついでに遺跡を見ているというような服装だった。
    海岸の方へ歩いて行くとローマ神殿跡があった。
    青い海と空をバックに、白い大理石の石柱が美しい。
    さきほどのペルゲの遺跡と比べると開放的で明るい印象だった。

    リゾート地だけあってお店の数も多い。
    メインストリートには土産物屋やレストランが軒を連ねている。
    そんな中の1軒でドネルケバブを食べた。
    ドネルとは、スパイスに漬け込んだ羊の薄切肉を何枚も重ねて、回転させながら炭火でじっくり炙ったもの。
    食べる時はナイフでそぎ落として、そのまま食べたり、パンにはさんだりする。
    どこの町角にもある軽食だが、これがとっても美味しい。
    また、店先にはたいていジューススタンドがあって、オレンジの生ジュースを作ってくれる。
    絞りたてのオレンジジュースは日本で飲むものの数倍おいしい。
    地中海に降り注ぐ太陽の光をそのまま絞り込んだような鮮やかさだった。

(4/29終)

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