シチリア旅行記
(2004/04/27〜05/06)


2004/04/30(Fri) パレルモからアグリジェントへ

8時頃、ホテルをチェックアウトして荷物を預かってもらう。
今朝はホテル近くのバール兼カフェでちゃんと朝食を取る。
リコッタチーズ入りのクロワッサンとカプチーノを注文。
なかなか雰囲気のいいカフェで、気分もゆったり朝食を楽しんだ後、伝票をもらってレジで支払う。
ふたり分で5.7ユーロ。Aさんにまとめて支払ってもらうと、おつりを受け取ったAさんは不振そうな顔。
レジが混んでいたので、店を出てからちゃんと数えてみると10ユーロ札で払っておつりが9.3ユーロあった。
いったいどういう計算なんだ?
イタリアじゃおつりをごまかされるとよく聞くけど、ごまかしている訳じゃなくて、単に計算ができないだけなんじゃ…。
いまさら店に戻るのも何だし、「これからおつりが足りなくても寛容になろう」と誓った私達であった。(ようするにネコババ?)

今日、最初に目指したのはシチリア州立美術館。
地図を見ながらAlloro通りを進んだのに、見つけられないまま海岸通りへ出てしまった。
ちょうどそこにきれいな教会があったので、ついでに入ってみる。サンタ・マリア・デッラ・ピエタ教会という名前の教会だった。フレスコ画がきれいだった。

来た道を引き返し、シチリア州立美術館(Galleria Regionale di Sicillia)を発見。
この美術館は15世紀に建造されたアバテッリス宮殿を利用している。
さっき通った時は「Pallazo Abatellis」という表示には気が付いたのに、そこが美術館だとは思わなかった。よく見ればちゃんと「Galleria」の看板が出ている。
1階は主に彫刻が展示されているが、15世紀のフレスコ画「死の勝利」は必見。
馬に乗って矢を射掛けながら疾走する骸骨と踏みつけられた死者たちの姿が大画面に描かれている。
2階には11世紀から17世紀までの絵画が展示されている。
ここの目玉になっているメッシーナの「受胎告知のマリア」は、青い衣のマリア様の静かな表情が印象的だ。
2階の1室は1階まで吹き抜けになっていて、ちょうど「死の勝利」の全体が見渡せるようになっていた。

美術館の隣にあるラ・ガンチャ(Santa Maria degli Angeli la gancia)は16世紀建造のゴシック様式の教会。
広々とした内部はバロック時代にセルポッタの彫刻などで飾られ、バロック様式に改装されている。
ここでは先生に引率された社会見学の小学生らしい子供達の集団と一緒になった。
(パレルモではほんとに子供たちの集団が多かった。ひょっとしてイタリアの修学旅行シーズンか何かだったのかな?)
子供達は教会の椅子に座って、神父さんの話しを熱心に聞いている。
ひととおり説明が終わると、あちこちから手が挙がり質問している。イタリア語がわかればおもしろい話が聞けたかもしれない。

北に歩くと、右手にキアラモンテ宮殿(拝観は不可)、左手に緑濃いガリバルディ公園が見えてくる。
ここで左折し、しばらく歩くと前方に大きな教会の姿が見えてきた。

サン・フランチェスコ・ダッシジ教会(San Francesco d'Assisi)。
なんとなくアシジのサン・フランチェスコ教会を思わせるような質素な外観のロマネスク様式の教会だ。
内部は簡素ながらも、やはりシチリア・バロックの雰囲気が漂う。
セルポッタの彫刻が見事だった。
この教会の前の広場には花が飾られたレストランのテーブルが並び、なかなかいい感じだった。

サン・フランチェスコ・ダッシジ教会


ホテルに戻り、荷物を引き取ってから駅へ。
アグリジェントまでの切符を買い、発車時間とホームを確かめてから昼食。
駅内のショップでアランチーニを買う。
アランチーニとはいわゆるライスコロッケのこと。
お店によって中身は様々だけど、ここのはトマトとチーズがたっぷりで美味しかった。
列車の時間まであと30分くらいあったので、ここで絵葉書を書いたりして時間をつぶす。
トイレに行ったAさんの話だと、ここのトイレは0.6ユーロとちょっと相場より高目だけど、すごい最新設備だったそうだ。行っておけばよかったかな。

アグリジェント行き列車は2両編成のディレット(準急)。
パレルモを出てしばらくは海沿いを走る。地中海独特のセルリアンブルーの海が広がっている。
やがて列車は方向を変えて内陸部へ。
低い丘が連なり、その丘には一面黄色い花が咲いている。
線路脇にはアカシアの白い花、エニシダの黄色、名前の知らない赤紫やピンクの花・・・。
シチリアの春はほんとに花盛りだった。

パレルモから約1時間半。だんだん周囲にビルが増えてきた。
アグリジェントの町は予想よりも大きな町だった。


午後3時頃、アグリジェントに到着。
この時間だと観光案内所は昼休み。どうやってホテルを探そうか…。
とりあえず駅前の通りに出てみると「Hotel」の表示がある。
矢印にしたがって歩いていくと、階段を少し登ったところに2つ星のホテルがあった。
シャワー付きのツインで64ユーロ。
駅やバスターミナルにも近いし、部屋も悪くないのでここに決めた。
意外とあっさり見つかってほっとした。
アグリジェントの町は駅前にホテルが少ないので、予約しておいたほうがいいと思った。

部屋でちょっと休憩してから、旧市街を散歩する。
ガイドブックの地図は詳しくないので観光案内所で地図をもらいたかったのに、夕方になっても観光案内所は閉まっている。

とりあえず旧市街のメインストリート、アテネア通りをぶらぶら歩く。
しばらく歩くと、右手にきれいな教会があった。
サン・ロレンツォ教会(Chiesa San Lorenzo)。
内部にはセルポッタの美しい彫刻8体と、17世紀の純金の十字架像などがあった。
教会というよりは美術館みたいな感じで(入場料も取られたし)、内部には室内楽が流れていた。

サン・ロレンツォ教会

サン・ロレンツォ教会の受付でアグリジェントの教会を示した簡単な地図をもらったので、これを見ながらカテドラルを目指す。
でも、この地図はかなり簡略化されていたので、途中で道を見失ってしまった。
アグリジェントの旧市街は、急勾配の丘の斜面にへばりつくように家々が立ち並んでいる。
道は途中で階段になり、人がやっとすれ違えるくらいの狭い路地になってしまった。
通りかかった人に聞くとこの道でいいみたいだけれど、またすぐに迷路のよう様に道が分かれて、方角がわからなくなってしまう。
どちらに行こうか迷っていると、近くにうずくまっていた子犬がトコトコと前に立って歩き出した。
まるで道案内してくれているみたいだ。
子犬のあとについて狭い階段を登って行くと、広い道に出た。Via Duomoと書いてある。
ほんとに道案内してくれたのかもしれない。この道の突き当たりにカテドラルがあった。

カテドラルは旧市街の西のはずれ、丘のてっぺんに位置している。
強い向い風を受けて、正面階段を上るのはたいへん。
まっすぐ歩けないほどだったけれど、ここからの眺めはとてもよかった。
海側には「神殿の谷」、内陸側には高層ビルが立ち並ぶ新市街。その間を高速道路が横断する。
古代と現代が交差するような不思議な風景だった。

カテドラルにはこの正面からは入れない。Via Duomo側に入口がある。
このカテドラルは11世紀にノルマン人によって建立されたもの。
外観はちょっと古ぼけた感じだが、中は広々としてバロック様式のスタッコ細工で飾られていた。

カテドラレ(ドゥオーモ)

坂道を下りてアテネア通りまで戻ってきた。
夕食にはまだ時間があったので、駅から続く大通り沿いの眺めのよいカフェで休憩する。
カプチーノとお菓子(名前不明)を頼む。夕風が心地よかった。

7時半頃、アテネア通りに戻りトラットリアを探した。
アテネア通り自体には食べるところは少なく、ちょっと脇に入ったところに多い。そんな一軒の店に入る。
イワシを使ったパスタ・コン・サルデ、Gothe風スパゲティ、メカジキのグリル、サラダ、ハウスワイン1/2リットルを注文。
パスタ・コン・サルデはフェンネルの効いた独特の味でシチリア名物だという。
メカジキもシチリアならではの海の幸だ。シンプルな味付けなのに美味しかった。
メインが魚だったせいか、今日はお腹に余裕がある。
デザートのフルーツとエスプレッソを頼む。
のんびり食事を楽しんでいたので、もう10時近い。満足してホテルに帰った。
(4/30終わり)

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本日の出費(2004/04/30)
ホテル(2泊)1人あたり
62.0ユーロ
朝食(カフェ)
?ユーロ
美術館
4.5ユーロ
列車(パレルモーアグリジェント)
6.7ユーロ
昼食
1.3ユーロ
サン・ロレンツォ教会
1.5ユーロ
カフェ(お菓子とカプチーノ)
2.0ユーロ
夕食(トラットリア)2人分
30.0ユーロ