■2004/04/23 up

ペリゴール・ノワール地方
ラスコーUとサルラ

2000.04.29

カーテンをあけるとまぶしい朝の光が射し込む。今日もいい天気だ。
さわやかな目覚めの後は、美味しい朝食。
コーヒーにパンに手作りジャム、フルーツの盛り合わせ、フルーツたっぷりのジュース。
村に1軒あるパン屋がとても美味しいので、シャルルは自分ではパンは焼かないそうだ。
今日はバンクホリデーで混むかもしれないということで、早めに出発することになった。



今日の最初の目的地はラスコー。
ペリゴール地方には先史時代の壁画が描かれた洞窟が数多く発見されているが、その中で最も有名なのがラスコーだ。
1940年に、穴に落ちた犬を助けようとした4人の少年たちが洞窟の壁に素晴らしい動物の絵を見つけた。
これらの絵は1万7千年も昔に描かれたものだという。
この一帯の洞窟は1979年に世界遺産に登録されている。
本物のラスコーの壁画は保存のため立入り禁止になっており、レプリカであるラスコーUを見学する。
見学はガイド付きのみで、モンティニャックの町の観光案内所で申し込みをする。
英語とフランス語のガイドがあるが、時間の都合でフランス語のガイドコースを選んだ。
モンティニャックからラスコーUまでは3kmほど。バスなどの交通機関はない。
モンティニャックの町自体、鉄道が通っていないので、自力で来るのはなかなか大変な場所だ。
チケットに書かれた時間にラスコーUの洞窟入り口に行くと、15〜6人くらいのグループにガイドがひとり付いて見学が始まった。
薄暗い洞窟の中、ガイドが照らす灯りの先に、生き生きと躍動する動物たちの姿が浮かぶ。
レプリカとわかっていてもなかなか感動的だ。
群れをなして走る馬、堂々とした牛の姿…。
この壁画を描いた人々は、なんのために描いたのだろう。
それに、これだけ動物の姿をリアルに写し取ることができるのに、なぜ自分たちの姿は残さなかったのだろう。
1万年以上昔に生きていた彼らの気持ちを窺い知ることはできないが、彼らも自分たちの絵が1万年後の世界で人々に感動を与えていることなど思いもしなかっただろう。
見学は1時間ほどで終わった。

モンティニャックの町で昼食を取り、次の目的地サルラに向かった。



サルラはペリゴール・ノワール(ペリゴール南部)地方の中心都市だ。
町の南側の駐車場に車を止め、2時間の自由行動。
この日はマラソン大会?があったようで、町の中心のリベルテ広場周辺はロープを張って通りが区切られ、ゼッケンをつけた人がたくさん走っていた。
おかげでちょっと騒々しく、観光するにはイマイチの状況。

リベルテ広場のマルヴィル館の一角にツーリストオフィスがある。
ここで地図をもらい、町を歩き始めた。
この町はひとつの家に中世、ルネサンス、古典様式と3つの時代が混在するめずらしい町並みで知られている。
もちろん最初からそういう形だった訳ではない。
もともとサルラの町は12〜13世紀に商業で栄えるが、百年戦争で多くの建物が荒れ果ててしまった。
後に改築が繰り返され、このような形になったという。
ツーリストオフィスがあるマルヴィル館は、イタリアルネサンス様式と中世様式とフランスルネサンス様式の3つの様式が組み合わさっているそうだ。
建築に詳しくない私には、実は違いがよくわからない。
ヨーロッパの建築に詳しい人が見たらとても興味深い町なんだろうと思う。
サルラの町
ラ・ボワシの家

でもそんなことがわからなくても、町並みはじゅうぶんに魅力的だ。
建物の多くが金色がかった黄土色の石灰石で作られており、町全体も黄土色でまとめられているような感じ。
狭いパサージュ(小路)をたどれば、中世の町に迷い込んだような気分になる。

この地方はフォアグラとくるみの産地として知られている。
サルラの町でもガチョウの看板があちこちにある。
みやげもの屋の店先にはフォアグラの缶詰が積み上げられ、くるみ製品やワインなど地元の特産品が並んでいた。
できればこの町に一泊くらいして、ゆっくり買い物や食事を堪能したかった。
フォアグラ
店先にあふれるフォアグラ



帰り道、ガチョウ農家があったので車を止める。
フォアグラの産地だけあってこのあたりはガチョウ農家が多い。
柵の中ではガチョウがいっぱい放し飼いにされていた。
ガヴァージュ(強制肥育)を見学させてくれる農家もあるそうだが、今回はパス。
むりやりエサを食べさせられるガチョウの姿はあまり見て楽しいものではないだろう。
フォアグラを食べるのに罪悪感を感じてしまいそうな気がする。
ガチョウ
ガチョウがいっぱい

次に車を止めたのは、ロカマドゥールの村を望む展望台。
ケルシー地方(le Quercy)は交通が不便なこともあって日本人にはあまり知られていないが、フランス観光の穴場だ。
ドルドーニュ川やロット川の渓谷沿いには中世の美しい町並みが残る小さな村が点在している。
ロカマドゥールもそんな村のひとつ。
ドルドーニュ川の支流のアルズー渓谷の切り立った崖に築かれた小さな村だ。
みんなは昨日の午前中にこの町に来ているので、今日はここから見るだけ。
聖人アマドゥールに縁の巡礼地で、13世紀頃には巡礼の人々で賑わっていたという。
中世の叙事詩「ロランの歌」の主人公である勇士ロランも愛剣デュランダルをここに奉納しているそうだ。
村の中に入れなかったのは残念だったが、展望台から眺めるロカマドゥールの村はとても美しかった。
ロカマドゥール
ロカマドゥールの町



いよいよ楽しみの夕食の時間。
今日の食前酒はブドウのリキュール。
パスティス(フランス男性が食前酒に好むと言うアニス入りの蒸留酒)も飲んでみたら?とすすめられ、すっかりほろ酔いのいい気分。
今日の前菜は「salada au gourmand(グルメのサラダ)」。ケルシー地方のサラダにフォアグラをのせたもの。
メインは仔羊肉のグリル。カラフェのワインは飲み放題。
デザートにはクレープシュゼットとコーヒー。
今日も話しがはずみ、楽しいディナーだった。
明日には出発しなければいけないのが残念だ。
ペンションのあたたかいもてなしと美味しい料理、楽しい同行者たちとの出会い、予想以上に見応えのあったペリゴール地方やケルシー地方の村々…。
ほんとに充実した2日間だった。

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