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この地方に行くならコンクという巡礼の村に寄ってみたいと思っていた。 でも、この村への交通はとても不便で、短い旅行日程の中で自力で行くのはかなり難しい。 なかばあきらめかけていたとき、あるペンションの存在を知った。 オーナーの奥さんが日本人で、希望があれば周辺の観光案内もしてくれるという。 さっそくFAXで連絡を入れ、コンクへ連れて行ってもらえるか相談してみた。 するとOKの返事。 ペンションの最寄駅、フィジャックの駅で落ち合うことになった。
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2000.04.28 アルビからフィジャックへ行くには、ロデスで乗換えるのが一番早い。 朝、アルビの駅に着くと、ロデス行きは「15分遅れ」と表示が出ていた。 列車がアルビに着いたのはさらに10分後。 ロデスでの乗り換え時間は50分なのに、すでに半分が消費されてしまっている。 ここで乗換えできないとヤバイ。 連絡の取りようがないし、なんせ次の列車は3時間後なのだ。 しかし列車はその後もたびたび停車する。 ハラハラしながら、結局、接続列車の発車2分前になんとかロデスに到着した。 (まわりの人や車掌さんののんびりした様子からすると、間に合わなかったとしても接続列車は待ってくれていたようだ。) フィジャックの駅で、無事ペンションのオーナーの奥さんのスガコさんに会えた。 ペンションに宿泊している他の3人と一緒にランチする。 今日の宿泊者はみんな日本人で、名古屋から来た一人旅のOLさんと、埼玉から来た御夫婦だった。 |
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食事のあと、ちょっとだけフィジャックの町を観光した。 フィジャックは12〜14世紀の町並みが残るきれいな町だ。 この日は町の中心の広場に市が立っていて賑やかだった。 この町はロゼッタストーンを解読したシャンポリオンの故郷でもある。 その名も文字法広場(Place des Ecritues)の大理石にはロゼッタストーンの碑文が刻まれている。 時間があれば、もっとのんびり歩いてみたい町だ。 |
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その後、みんなでスガコさんの車に乗り込み、コンクの村へ向かう。 天気は快晴!気持ちいいドライブだ。 フランスの道路を走っていると、町中以外では信号はあまり見かけない。 交差点はロータリー方式になっていることが多い。 右回りにロータリーをまわり、自分の行きたい方向の道に出る。 左折したいときはぐるっと3/4周まわらなければいけないし、直進したくても半周まわらなければいけないが、スガコさんによると合理的なシステムなんだそうだ。 確かにこういう車の少ない道では赤信号を待っているのはムダなのかもしれない。 |
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1時間ほどでコンクの村に到着した。 緑濃い山間の小さな村だ。 中世のキリスト教世界には3つの大巡礼地があり、その1つがスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ。 コンクの村は、ここに至る巡礼路のひとつ、ル・ピュイ・アン・ヴレイから始まる巡礼路の中で重要な地となっている。 |
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村の中心にそびえるのはサント・フォア教会。 11世紀に建造のロマネスク様式の堂々とした教会で、この巡礼路のロマネスク教会としては最古のもののひとつだ。 ゴシック様式の教会の壮麗さと比べると素っ気なく武骨な感じがするが、素直で逞しい信仰心を感じる。 ロマネスクに特徴的な三角屋根をもつ塔がそびえたち、近くでみると思っていたよりもはるかに大きい。 |
![]() サント・フォア教会 |
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ここには、12才で殉教した聖女サント・フォアの遺骨を納めた黄金の聖女像がある。 9世紀末に渡来したとされているが、数世紀に渡って作り飾られており、ローマ帝国時代とおぼしき部分もあれば古代作品の再利用部分もあるという。 それだけ長い時代、人々に大切にされてきた彫像なのだろう。 ここはまた、タンパン(扉の上部の半円状のアーチで囲まれた部分)の「最後の審判」の彫刻が有名だ。 左側には天国、右側に地獄が描かれている。 |
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昼下がりのこの村は観光客でごったがえしていた。 もっと鄙びた村を想像していたので、ちょっと意外だった。 でも、観光客が集まるサント・フォア教会周辺から少し離れると、庭をガチョウが散歩しているのどかな村の姿があった。 現在の住人の数は百人ほど。 この小さな村は、何百年も前から、どれくらいの巡礼の人々を迎えてきたのだろう。 険しい山道を越えてきた旅人はこの村で身体を休め、サント・フォア教会を礼拝して、次なる巡礼地を目指したのだろう。 サンティアゴ・デ・コンポステラまでの距離を考えると、気が遠くなるような旅だ。 ここでサント・フォアの遺物に触れ、加護を受けるのは大きな心の支えだったに違いない。 |
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4時頃、ペンションに帰って来た。 ペンションがあるのはケルシー地方のBurgeという小さな村。 農家を改装した小さな建物には客室が3つ。 私が滞在した部屋は磨かれた木と上品な赤い花柄プリントでまとめられた可愛い部屋だった。 窓からは牧草地と森が見える。 なにもないところだが、空気はおいしいし、疲れた身体を休めるにはいい場所だ。 夕食は7時から。 フランス人の御主人シャルルが作る、地元の特産品をふんだんに使った手料理を味わうことができた。 食堂は2階にある。まずはソファでくつろぎながら食前酒を楽しんだ。 胡桃入りの甘いリキュール。 その後、テーブルに移っていよいよ食事がはじまる。 前菜はパンとチーズが入ったスープ、メインは鴨のクランベリーソース。 この日は宿泊していたご夫婦の結婚記念日だったので、ワインのボトルがふるまわれた。 このご夫婦は大のワイン好きで、自分たちでもワインを用意していたので結局2本空けた。 どちらも地元カオールの濃くのある赤。 チーズはロクフォールなど3種と日本では珍しいロカマドゥール。 これはとても柔らかいチーズで保存が難しく、ほとんど輸出されないそうだ。 山羊乳だが、クセは少なく、とろっとした感触はやみつきになりそう。 デザートにガトーショコラとコーヒーをいただく頃には10時を過ぎていた。 みんなで食卓を囲む夕食はとても楽しく、あっという間のディナータイムだった。 |