オランダ・ベルギーの旅
(2003.05.01〜05.08)

2003/05/05(Mon)

5日目。くもり。
今日は月曜日。ブルージュを観光するなら月曜日はやめたほうがいいかも。
鐘楼もメムリンク美術館もグルーニング美術館もお休み。

とりあえず朝9時から開いている聖母マリア教会へ。
塔の高さは122m。町のどこからでもよく見える。
ここにはミケランジェロの聖母子像がある。
イタリア以外の地でミケランジェロの作品が見れるのは珍しいそうだ。
16世紀のブルージュの商人がイタリアで購入したものらしい。
ミケランジェロのマリア様は、ローマのピエタもそうだけど、とても優しく美しい。
微笑を浮かべて愛し子を抱くマリア様の姿は、そこだけ清らかな空気に包まれているようだった。
併設の宝物館はお休み。とにかく月曜日はこの町は休みの場所が多い。

外に出ると、目の前の運河にボート乗り場があった。
せっかくなので運河めぐりをすることにする。
ちょうど日本人ツアーの団体と同じボートになったので日本語ガイドつき。
もっとも英語とフランス語は運転手のお兄さんが説明していたけれど、日本語はテープだった。
(ここも日本人がふたりだけでも日本語テープを流してくれるんだろうか?)
運河めぐり
運河めぐり


運河と鐘楼
目線の高さが変わると、見える風景も違ってくる。
ボートはまずベギン修道院のある愛の湖方面へ。
白鳥がのんびりと泳いでいる静かな公園だ。
ここで方向転換して、もとの運河を戻る。
聖母教会の前を通り、レストランが並ぶ一角を通り過ぎる。
この辺りからは、建物越しに鐘楼が見えて絶好のカメラアングルだ。
(揺れるボートの上からキレイに撮るのは難しいけど…。)

市庁舎の裏を通り過ぎると右手に魚市場がある。
今日はお休みだったけど、火曜日から土曜日の午前中には獲れたての魚が並ぶらしい。
運河沿いの教会や建物の説明を聞きながら、30分ほどで運河巡りは終った。

今度は歩いて町を散策する。
本当はレンタサイクルを借りて…と思っていたのだけど、天気がいまいち。
それにブルージュの町は一方通行(自転車も)が多いようなので、「歩いちゃえ」ということになった。
まずは救世主大聖堂に向かうと…扉が閉まっている。
月曜日は午後しか開いていないそうだ。休みでなくてよかった。
ここは後で出直すことにする。

運河沿いの古い建物

ぶらぶら歩きながら、チョコレート屋を見つけるたびに足を止め、試食用?にふたりで4〜6個ほど買う。
そうこうするうちにお昼になったので、マルクト広場近くのカフェで昼食。
チーズサンドとブリュッセルワッフルを頼んで半分ずつ食べた。

昼食後は町の西側にあるレースセンターを目指して歩く。
着いてみると2時まで昼休みだったので、その先の川沿いにある風車を見に行くことにした。
レースセンターの前の道をまっすぐ進むと十字門に出た。
中世の時代、ブルージュの町は城壁で囲まれていたが、今は城門だけがその姿をわずかにとどめている。
城門のすぐ向こうは川で、この川はブルージュの町を取り囲むように流れている。

風車
聖ヤンハウス風車
川沿いに歩き、現在でも動いているという聖ヤンハウス風車を目指す。
近づいてみると…動いていない。
風の強い夏の間しか稼動していないらしい。
しょうがないので風車の下に座ってちょっと休憩。
買ってきたチョコレートをつまむ。
どれも美味しいけど、やはりそれぞれ味に違いがある。(
チョコレートいろいろ→

風車のある堤防はかつての城壁の名残で、ここからブルージュの町の眺めがよい。
北海と水路で結ばれていたブルージュは、12〜13世紀には西ヨーロッパ一の貿易港として栄えた。
しかし、15世紀頃から水路が沈泥のために浅くなり、商船が通れなくなって衰退してしまう。
そのため時代に取り残され、中世のままの町並みが残ることになったのだが、そのおかげで現在ではベルギー有数の観光地となっているのは皮肉なことかもしれない。
こうして眺めていると、この町の数奇な運命についてふと考えてこんでしまう。

英国修道院の前を通り、レースセンターに戻る。
ここは15世紀の救護院を改築した建物で、レースの作品が多数展示されている。
ブルージュのレースはボビンレースと呼ばれ、繊細でとても美しい。
ここではレース教室も開催していて、午後になると用具を持ったおばさんたちが通ってくる。
教室な中には自由に入れるので、その様子を見学できる。
丸い固めの座布団のようなもの(直径50cmくらい)の上に下絵の紙を置き、印のとおりにマチ針を打っておく。
この針に、いくつもの小さな糸巻きのようなものを使って糸を絡ませ、中心から放射状に編んでいく。
どの糸巻きをどう動かすのか、見ていても複雑でよくわからないのだが、おばさんたちはカチカチとリズミカルに糸巻きを打ち合わせるように動かして編み上げていく。
レース編みといえばかぎ針で編む方法しか知らなかったので新鮮だった。

町の中心へ戻るつもりが、途中で道を間違えたことに気づく。
まあ、同じ道を歩くのもおもしろくないし、一応地図で道を確認しながら適当に歩く。
前方に立派な塔のある教会が見えてきたので、もう聖母教会に戻ってきたのかと思ったら、全然違う聖マグダレーナ教会という教会だった。
中に入ってみると、内部に水を張った四角い池(長辺は10メートル以上ありそうな)がある。
水面にステンドグラスが映ってきれいだ。
この水に何か意味があるのか気になったが、ガイドブックにはこの教会については何も書かれていないし、わからずじまいだった。

その後、また道を間違えてゲント門まで行ってしまったり、歩き疲れたのでリエージュワッフルを食べて休憩したりして、なんとか町の中心まで戻ってきた。


救世主教会の塔
救世主大聖堂はブルージュ最古の教会。
12〜13世紀のゴシック様式の堂々たる建物だ。
何世紀にも渡り増築、改築を重ねて今の姿になった。
中に入ると合唱が響いている。
歌っているのは20人くらいの普段着姿の人々。
聖歌隊という訳でもなさそうだし、近所の合唱団の練習なのだろうか?
知ってる曲も歌っていたので「ま、混ざりたい…。」と思ってしまった。
こんなによく響く場所で歌ったら気分がいいだろう。
内部は広く、17世紀のパイプオルガンや聖歌隊席が美しい。
絵画やタペストリーなども見事だったが、興味深かったのは中世のお墓。
床がガラス張りになっていて地下にあるお墓を見ることができる。
棺の内部には絵が描かれているが、どの面に何の絵を書くかは大体決まっていたらしい。
どの棺にもキリストや天使や十字架が素朴な描線で描かれていた。

本日最後の仕事はお買い物。
ベルギー土産と言えばチョコレート!
これまで試食したチョコレート屋さんの中で、私達ふたりの評価が高かったChocolate LineとMoeder Babelutteで購入する。
他にベルギー土産として有名なのはレースとフランドル織り。
レースは軽いしお土産には重宝する。ハンカチなら5ユーロほど。(模様の細かい物はもっと高い。)
ただし店によっては中国産のレースを置いているところもあるらしいので注意が必要だ。
Dちゃんはタペストリーに興味があるようで、いくつかフランドル織りのお店を覗く。
有名な絵画をタペストリーにしたものや現代的なデザインのものもいいけど、私は中世っぽいモチーフが好きだ。
でも「いいな」と思うものはお値段もかなりのモノ。結局、ふたりとも何も買わなかった。

夕食は、またまたホテルのあるザンド広場で。
私は付け合わせのホワイトアスパラガスにひかれて定食を頼む。ビールはクリーク。
ホワイトアスパラガスはベルギーの人々が春の訪れを感じる食材なんだそうだ。
日本のものより大きく味わいがあるような気がした。
Dちゃんは郷土料理「ワーテルゾーイ」を頼んだ。
ワーテルゾーイとはチキンをじゃがいもなどと煮込んだクリームシチュー。
シチューとスープの中間のような、あっさりした味付けだった。
そして、美味しいビールでまた気分よく酔っ払って、ブルージュ最後の夜は更けていくのだった。
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本日の出費(2003/05/05)
チョコ(いろいろ)
7.31ユーロ
ボート
7.6 ユーロ
昼食(二人分)
11.9 ユーロ
レース博物館
1.5 ユーロ
ワッフル
1.5 ユーロ
おみやげ
12.0 ユーロ
夕食(二人分)
34.7 ユーロ





解説5:チョコレートいろいろ(私的見解)
ブルージュで買ったチョコレート屋さんは以下の3軒。
    Chocolate Line…あっさりしていて日本人向け。お店もシックな雰囲気。
    Moeder Babelutte…庶民的な感じのお店で値段もお手頃だけど、味の方はなかなかのもの。おすすめです。
    Pralinette…かわいらしい感じのお店で、味はちょっと甘め。
有名チョコレート屋さんもちょっと紹介。

 Moeder Babelutte
125g用の箱
    Godiva…ベルギーでも最高級チョコレートで、さすがに美味。完成度は一番高いかも。
    Neuhaus…ベルギー有数の老舗で味にも納得。お値段はGodivaと同程度。贈答用の種類が豊富でディスプレイも素敵。
    Galley…一番甘さ控えめで上品な感じがするチョコレート。単価は高めでも一粒が小さいので1個あたりのお値段はそれほど高くない。
    Corne…ここも老舗らしいけど、上記3つに比べると可もなく不可もなくといったところ。
ちなみにベルギー王室御用達のチョコレート屋は次の6軒。Godiva、Neuhaus、Galley、Mary、Cote D'or、Vittermer。