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0092 傷跡の記憶 テラ 01/04/16



はじめに

 このシナリオは、『テラ:ザ・ガンスリンガー』の使用を想定して書かれた。
 しかし、『Bea−Kid’s』などの西部劇物やファンタジーでも使用可能である。



登場NPCおよび重要事項

トゥーム 位置的には東部寄りだが、大陸横断鉄道本線から遠く南に離れていて、支線の最南端駅からさらに馬で数日の所にある西部の田舎町。
旧南軍残党 南北戦争敗退後に落ち延びてきて、トゥーム近くの荒野に隠れ住む一団。指導者は元ロケットレンジャーで、市民の支持を得る事の重要さをよく分かっており、何とかトゥームのある地方を南部連合の流れを汲む独立国にしようと考えている。
北軍部隊 旧南軍残党を討伐する為に東部から派遣された部隊。トゥームの町の近くに砦を築き、残党狩りを行う最小限の兵員と装備を持っているのだが、過剰な徴発や、横暴な振る舞いで民意が離れている。実は、「“旧南軍残党の指導者”=“北軍部隊のリーダー”」である。



事前状況

 テラ中西部にトゥームという名の田舎町があった。位置的には東部寄りだが、大陸横断鉄道本線から遠く南に離れていて、支線の最南端駅からさらに馬で数日の所にある。小規模ながら鉱山もあり、独立した経済圏を形成している。

 トゥームの近くの荒野では、旧南軍の残党が再起を誓って潜んでいた。
 その対応の為に、北軍(政府軍)は東部から妥当な規模の部隊を派遣して、町の隣に砦を築いて旧南軍の残党狩りにあたった。
 残党狩りは遅々として進まなかった。それを理由に北軍部隊リーダーは、トゥームで兵員や物資の現地徴用を強引に行った。
 “現地徴用した兵士”の大半はアウトロー同然のならず者だった。リーダーの命令で「砦の兵士が町でした飲み食いは無料にする」という事になっていたので、ならず者の兵士たちは毎夜の如く町で好き勝手に遊び回った。また、増えた兵員を維持する為の「物資の調達」も当然のように行われ、トゥームの町民の怒りを買っていた。

 事態は一見すると、「有能な旧南軍残党に翻弄されて、北軍部隊リーダーは戦果を上げる事ができないばかりか、独断で強引な徴発を行って町民の怒りを買っている」というふうに見える。しかし、実は、北軍部隊リーダーの真の姿は、旧南軍残党の指導者だったのである。
 とある手段で北軍部隊リーダーに納まった旧南軍残党指導者は、元ロケットレンジャーの一員で、民意を掴む事の重要性を骨身に染みて感じていた。そこで、このような回りくどい手段で人心を掴み、ここに“南部連合の系譜に繋がる町”を作ろうと考えていたのだった。



導入

 PCは、何らかの理由でトゥームへ向かって旅をしている。
 途中の荒野で、政府軍の軍服を着た死体を発見する。死体には銃で撃たれた跡があり、背嚢の中身がなくなっている。<エチケット:アーミー>に成功すれば、東部で任官を受けた正規兵であると分かる。

 実はこの正規兵は、東部からトゥーム近くの砦に派遣された旧南軍討伐部隊の兵士で、「リーダーの行動は目に余る」との陳情書を軍司令部に郵送する為に、郵便局のある町まで行こうとしていた。しかし、それを察知したリーダーの手の者によって暗殺された訳である。
 死体を発見した場所から馬で1日ほどの所に、トゥームがある。ここでのPCの用事は、すぐに済むものとする。
 町で兵士の死体を発見した旨を告げると、「すぐ近くに砦があるから、そこへ報告してくれ」と言われる。遺体や遺品を持ってきていた場合も、砦の方へ持って行くように言われ、けっして町民は受け取ろうとはしない。町の人の態度を不審に思って、砦の兵士について何かあるのかときいても、基本的に話したがらない。<話術>に成功するなどすれば、迷惑そうな様子で「この近くの荒野に旧南軍の残党がいて、その討伐の為に砦を築いて軍隊が駐留している」という話だけはしてくれる。
 町の人は、「PCみたいな余所者は、割の良さから砦の兵士に応募する可能性が高い」と思っているので、余計な事を言って後で因縁を付けられる羽目になる事を恐れている。この段階ではPCとして情報を集める足がかりとなるネタが無いので、原則的に「北軍が強引な徴発をしている」と知る事はできない。

 PCが砦に行って遺体について報告すると、リーダー自らが事情を聞き、謝意を述べる。事情を聞くと、「作戦内容について部外者に話す事はできない。旧南軍残党のせいなのか、ギャングに襲われたのか、これから調べるつもりだ」とだけ言う。
 その後、PCは「旧南軍残党の討伐の為に、一時的に兵士の現地徴用を行っている。PCも応募しないか」と誘われる。リーダーは「生活に必要なものは支給する。軍規も煩い事は言わない。期間は旧南軍残党を無力化するまでで、短期間の見込み。除隊時には500ドルのボーナスを支給する」という好条件を提示する。回答を保留して町に戻ったとしても、上段に記した以上の情報は得られない。

 以降、PCの内、少なくとも1人は兵士に応募するものとする。誰も応募しない場合は、適当な戦闘系PCにカラミティ・ルージュを使用して、何らかの理由で応募してしまった事にする。

 兵士にならなかったPCも、やはり何らかの理由でトゥームに滞在するものとする。



本編:1日目

 1日目の夕方頃、兵士に応募したPCは、兵舎に案内される。
 砦の兵士は、“東部から来た正規兵”と“ならず者の徴用兵”の2つのグループに分かれている。PCは自然と“ならず者の徴用兵”の方に組み入れられる。ならず者たちは「PCの歓迎会も兼ねて、町で遊ぼう」という事になり、トゥームに繰り出す。明らかに通常の軍隊では許されない行為であり、正規兵たちは侮蔑と困惑の目でならず者を見送る。
 町の酒場や売春宿で、ならず者たちは金を払わず騒ぎ回り、店から気に入った商品を持って行ったりもしている。一晩で数百ドルに相当する損害を町に与えており、町の人間が軍隊に対して好意的な態度を持てないのも当然だという様子が見て取れる。

 ならず者のほとんど全員は、今の状態を「安全で面白おかしく暮らせて、暫くしたら大金が貰える理想的な職場」と考え、疑問を抱く事も無い。PCが説教がましい事を言うならば、反発されるだけである。
 よくよく観察すると、ほんの数人だが、この「遊び」を心から楽しんではいない者もいる。話を聞けば、「そういうあんたも同じだろ? 俺は金が必要なんだ」と答える。しかしその正体は旧南軍残党のエージェントで、末端兵士の動向を探っているのである。

 こうして、“PCの歓迎会”は早朝まで続く。



本編:2日目

 “PCの歓迎会”が終わると、ならず者たちは砦に戻る。朝の点呼こそ受けるものの、その後は“訓練”と称して外に出て昼寝をしたり、好き勝手にしている。ならず者たちはPCに「ここでは朝と夜の点呼さえ受ければ、後は自由にしていて良い。殺人とか、よほどの悪事を犯さなければ咎められる事も無い」と教えてくれる。

 正規兵の方は、きちんと訓練やパトロールなどの任務をこなしている。休暇のときも、町に行ってならず者と同一視されるのに耐えられないので、砦で過ごす事が多い。
 また、正規兵はPCをならず者の一員と見なしているので、話を聞こうとしても無視される。<隠身>と<観察>に成功して盗み聞きなどを行えば、「死んだ兵士は、現状への不満を書いた軍司令部宛の陳情書を郵便局に持って行く途中だった」という事が分かる。軍隊において上官の命令は絶対とは言え、「いい加減に何かアクションを起こすべきか?」といった事をこっそりと討議している。
 ちなみに、こういった正規兵の心情については、リーダーも把握している。

 2日目の夜中、町では人々がこっそりと集会を開いて対応策を検討している。
 北軍に入隊しなかったPCが適当なロールプレイと技能判定(<パルプフィクション>など)をして「町の役に立たせて欲しい」と訴えていれば、集会への参加を求められる。
 或いは、町に夜中にいるPCが<観察>に成功すれば、町外れの一軒家でたくさんの人が集まっている事に気付く。適当な技能判定に成功して盗み聞きを行えば、集会の内容を知る事ができる。
 集会で、町民は「旧南軍の残党は、それほど悪辣な事はしていない。ときどき隊商を襲ったりもするが、無血で収め、運んでいる物の5〜10%程度を持って行く程度だ」「それに比べて北軍兵士が徴発する物資は、旧南軍の何倍にも相当する。特にならず者の行動は目に余る」と口々に言い合う。

「いっそ、旧南軍に協力した方が良いのではないか?」
「しかし、政府に逆らうような事をして大丈夫か?」
「だからと言って、このまま北軍の理不尽な暴虐を許して良いのか?」

 そういった事を繰り返し言い合い、結論の出ないまま散会となる。



本編:3日目

 砦では、朝から兵士たちに“索敵任務”が与えられる。
 予め与えられた行動予定に従って荒野を索敵するという作戦で、ならず者と正規兵で2つの部隊に分けられてそれぞれ異なる地域を担当するように振り分けられている。PCは、ならず者の方に振り分けられる。
 今までにも索敵作戦は何度も命令されているので、兵士たちは特に気張ったり奇異に思ったりはしない。また、当然ながらこれまでは索敵地域がリークされていたので、旧南軍残党のアジトは見付からずにいる。
 ちなみに、PCレベルの実力を持った者が本気で捜索すれば、1〜2週間でアジトを発見する事が可能である。しかし、軍隊に入らなかったPCなどが捜索を行い高い達成値を出したとしても、1日や2日で見付ける事は不可能なので、事実上、「旧南軍残党のアジトは発見不可能」という事になる。

 ならず者の方は、やる気が全く無いものの、一応、言われた場所までは行軍する。昼頃に<観察>に目標値10で成功すると、遠くで大砲の音が1発するのに気付く。
 砦に戻ると、何やら騒ぎが起こっていて、話を聞くと「正規兵部隊が戻っていない。旧南軍残党に襲われて全滅したとの情報もある。リーダーが不在なのだが、戻り次第、調査チームを編成する」との事である。

 実は、旧南軍残党は、ロケットレンジャーを撃ち出す為の固定砲台を造っていて、その着弾地点に正規兵部隊が来るようにして、ロケットレンジャーによる“キャノンボーン攻撃(ルールブックP41参照)”を行ったのである。熟練度の高い正規兵と言えども、これにはひとたまりも無かった訳である。
 ロケットレンジャーとは、北軍部隊リーダーの振りをしている旧南軍残党の指導者である。作戦終了後、何食わぬ顔で砦に戻ると、リーダーは事態の調査を行う有志を募る。
 ならず者たちは、わざわざそんな危険で面倒臭い任務に応じる者はいない。PCが応じない場合は、あっさりとリーダーは調査を諦める。
 PCが応じる場合は、「暗いうちは危険だ」という事で、調査は翌日に行うように言われる。PCが独断で夜のうちに調査を行う場合も、特に結果に違いは生じないので、下段の“本編:4日目”を参照する事。

 もし、軍隊に入らなかったPCが正規兵の跡をつけるなどの行動を取っていた場合は、以下のように処理する。

隠れ続ける  正規兵がロケットレンジャーの襲撃を受けた際に、PCが隠れてやり過ごす場合は、<隠身>の対決に勝利しなければならない。この際、PCは不利な状況にあるものとして〔ハンディキャップ〕を被る。対決に負けて発見された場合は、下段の通りに処理する。
勝利する  戦闘になり、PCが勝利した場合は、「倒されたロケットレンジャーは旧南軍の指導者とは別の人物だった」という事にする。正規兵は全滅は免れたものの最初の砲撃などにより大きな痛手を被っているとして、以降の展開は話の辻褄が合うように調整する事。
敗北する  敵ロケットレンジャーは、部外者であるPCに利用価値があるかもしれないと考えるので、原則的に捕虜にしようとする。最初から投降したり、戦闘に敗北した場合、武装解除の上で旧南軍残党の隠れ家に連れて行かれる。その後、PCが逃亡などを試みる場合は、適宜、対応する事。


 町では、3日目の夜も人々がこっそりと集会を開いている。結論は出ないが、論調はより「旧南軍に協力する」という方向に進んでいる。



本編:4日目

 正規兵が行方を絶った地域に行ってみると、正規兵の死体の山を発見する。大半の者は大型の銃で撃たれているが、一部の者は鈍器で殴り殺されている。死体の山の中央にクレーターがあり、大きな砲弾が見付かる。砲弾は中に人が入る座席がある。

 一方、町ではまだ明るい内から、ならず者たちが繰り出して、いつも以上に騒いでいる。いままで「安全」と思っていたのに正規兵部隊が全滅してしまった事で不安になっていて、その反動でより暴力的になっているのである。
 そんな中、町外れの一軒家では、緊急集会が開かれている。この日は旧南軍残党の指導者(実は北軍部隊のリーダー)が覆面をして参加している。

「北軍の横暴は、最早、看過できない」
「旧南軍は、北軍部隊の半分を一瞬で全滅させる事ができるほどの力を持っている」
 そういった事から、町の人々の民意はほぼ「南軍に付く」という事で定まっている。仮にこの段階まで集会の存在にPCが気付いていなかった場合は、判定無しに集会の存在に気付く。

 旧南軍残党の指導者は、「トゥーム市民の皆さんの協力が得られれば、我々はここに独立国を築く事ができます。東部はこの町で起こっている事に、早くとも3ヶ月は気付きません。気付いた後で調査に3ヶ月はかかりますから、制圧部隊の派遣は半年後から1年後というところです。それだけあれば我々は十分な準備を終え、制圧部隊を倒す事ができるようになります。東部の政府も、金のかかる軍隊を辺境に派遣するのは割に合わないとすぐに悟ります。そうなればこの地に、東部の搾取を受けない理想郷が実現するのです」と言って演説する。
 冷静に考えれば、この演説にはおかしな点が幾つもある訳だが、トゥームの人々は気付いていない。

 旧南軍残党の指導者は、ロケットレンジャーバトルスーツが入った装甲トランクを持参していて、演説が終わると、ならず者の掃討を始める。



結末

 トゥームの町は、情報が外に漏れる事を恐れる旧南軍残党によって監視されている。PCが事態に関わらずにトゥームから逃げ出そうとする場合、旧南軍残党と<隠身>と<観察>の対決に勝利しなければ、戦闘になる。あっさりPCが逃げてしまえそうなら、カラミティ・ルージュを使っても良い。
 旧南軍残党はそれなりの数がいるが、戦闘に際してはロケットレンジャー(P81)1〜2体だけを登場させる。勝利すれば、町から逃げ出す事ができる。その後、東部に通報すれば、確認後に1人500ドルの礼金がもらえる。

 旧南軍残党の指導者を糾弾する場合も、やはり戦闘になる。この際もロケットレンジャー(P81)1〜2体だけを登場させる。勝てば、「“旧南軍残党の指導者”=“北軍部隊のリーダー”」である事が明らかになり、トゥームの人々は真実に気付く。指導者も民意も失った旧南軍残党は散り散りになって逃亡する。
 PCは、町の人々から礼として1人500ドルがもらえる。

 旧南軍残党に協力すると申し出た場合、監視付きでではあるが受け入れられる。「ならず者部隊に所属していた一部の者は旧南軍残党のエージェントだった」といった事は教えられるが、「“旧南軍残党の指導者”=“北軍部隊のリーダー”」という事だけはけっして明かされない。
 そのまま時間が過ぎていけば、PCは旧南軍残党の一員として後戻りできない状態になってしまう。考えを変える場合は、やはり旧南軍残党の指導者と戦うという事になる。



さいごに

 元ネタは、一応、NHK海外ドラマ『ヤングライダーズ』第1シーズン第23話『ホークと呼ばれた男 前編(原題:Gathering Clouds Part 1)』および同第24話『ホークと呼ばれた男 後編(原題:Gathering Clouds Part 2)』である。
 もっとも、No.0089No.0090に比べると、元ネタの引用率がずっと低く、プレイヤーが知っても全く問題は無い。




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