バーリトゥード大会に優勝したウォーフは優勝トロフィーを携え、エンタープライズに帰還した。ライカーと話しながら通路を歩くウォーフは落着かない様子。エンタープライズの任務は情報の発信を停止したアーガス情報基地の調査だ。サプライズ・パーティを心配しているのだ。二人はウォーフの部屋に到着、だが何も起こらない。「そんなくだらないことを私がする訳ないじゃないか」と言うライカーが出ていった後、トロフィーを机に置き、部屋の奥へ行くと、みなが「おめでとう」といいながら飛び出してきた。ライカーも現れ、「サプライズ・パーティはいいねぇ」と言いながらウォーフに三角帽子をかぶせた。
みなに歌を唄ってもらい、用意されたチョコレートケーキの蝋燭を吹き消すウォーフ。皆にケーキを切るウォーフ。中までチョコだ。デイタはウォーフに書いた「ハロスの戦い」の絵を贈る。ディアナは壁にかかっていた盾を外し、その絵を飾った。ウォーフは一瞬眩暈を感じる。ジョーディのケーキを見たウォーフは首をひねる。中身がパンケーキになっていたのだ。ウォーフはアレキサンダーからのプレゼント(アレキサンダーの額の型)を受け取った。仕事でパーティに出席できないとライカーから聞かされたはずのピカードがウォーフに歳を尋ねる。ウォーフは言葉に詰まりながら「もう十分に大人です」と答え、皆を笑わせた。
エンタープライズはアーガス情報基地の調査を開始した。何者かがアーガスの電波の発信方向が変更したようだ。電波は連邦以外の、何も無いはずの宙域に向けられていた。アーガスから最近の記録した画像をダウンロードし、分析することになった。
テンフォワード。ウォーフはアレキサンダーのことをディアナに相談した。彼はディアナに「ソッチム(義理の母)」になって欲しいと頼む。もしディアナが引き受ければ、彼女はウォーフの義理の兄弟になるらしい。「じゃあ、私の母はあなたにとって義理の母ということになるわね」と指摘されたウォーフはしばらく考え込んでしまう。結局、ディアナはウォーフの頼みを聞き入れた。
機関部。アーガスからダウンロードした写真には連邦の艦隊施設が撮影されていた。何者かが艦隊に関する情報を集めていることは間違いない。また犯人かどうかは不明だが、基地に接近するカーデシア艦の姿も記録されていた。ウォーフは眩暈を感じ、顔をしかめる。
念のためウォーフは医療室に向かった。ビバリーは「頭を打ったのが効いているみたいね」という。ウォーフは何のことだかわからない。ビバリーが「敵に頭を肘うちされ、負けてしまったと今朝話していたじゃない」と言うと、ウォーフは怒り出し、優勝した証拠をみせるといって医療室から出ていった。
ビバリーはウォーフとともにウォーフの部屋へいった。部屋にあったのは9位の小さなトロフィーだった。ウォーフはシャトル内で記録した日誌を再生、だが日誌の中でウォーフ自身が「9位だった」と話していた。ビバリーは「訳が分からない」というウォーフを慰める。 ウォーフがブリッジへ行くと、デイタが「基地の望遠鏡のスキャンは終わったか」と聞いてきた。だがウォーフはそのような指示を受けた覚えはない。ウォーフがそう答えようとした時、カーデシア艦が接近してきた。カーデシアの艦長はエンタープライズがこの宙域にいる理由を質問、ピカードが「アーガスの修理だ」と正直に答えると、一応納得したようだ。カーデシアの艦長は「くれぐれも天文調査以外の目的に使うなよ」と警告、通信を切った。その後、ウォーフが「アーガスの通信プログラムを書き換えたのはカーデシアです」と意見を述べると、ピカードは「なんだと」と聞き返す。ウォーフはアーガスからダウンロードした画像に同じ型の艦船が記録されていたと根拠を説明する。しかしピカードだけでなく、ライカーやデイタまでも何のことだか理解できず、「画像とはなんのことだ。大丈夫か」と聞き返す。ウォーフは怒ったように「もちろんです」と答えた。ピカードは基地の再調査をデイタに命じた。
ウォーフが愚痴をこぼしている。それを聞いているディアナは制服ではなく、肩を見せた服を着ていた。彼女が「もしウォーフの話が正しいのなら、ウォーフ以外、全員の記憶がおかしいことになるわ」と話していると、ジョーディがやってきた。調査の結果、アーガスは単なる故障で、ダウンロードした画像にはカーデシアの艦船など記録されていなかったという。「そんなはずはないんだ」と主張するウォーフは、また眩暈を感じ、倒れそうになる。
気がつくと部屋の中に掛けてあったデイタから貰った絵の位置が変わっていた。そして次の瞬間には絵柄が宇宙船に変わり、さらに次の瞬間にはディアナの髪型が変わり、彼女は制服を着ていた。ウォーフは倒れてしまいそうになる。
気がつくとウォーフはブリッジの戦闘士官のコンソールの前に立っていた。「ウォーフ、今だ!」と命令するピカード。ビューワーにはエンタープライズに向かってくるカーデシア艦が映っていた。
ライカーはウォーフに早く防御シールドを張るよう命じた。だがウォーフには計器を操作することが出来ない。確かにブリッジの様子が変わっている。ライカーはウォーフを押しのけ、パネルを操作、シールドを張り、反撃を開始した。だがエンタープライズはカーデシアからの攻撃で致命的なダメージを受けてしまい、退却を余儀なくされた。カーデシアはエンタープライズを追撃しようとせず、アーガス通信基地を破壊してしまう。そしてジョーディは重傷を負ってしまった。ピカードは第129宇宙基地へ向うよう命じた。ピカードに問い詰められたウォーフは「また記憶障害のようです」と答えた。だがピカードにはウォーフの言っていることが理解できない。ウォーフは一時的に離職を申し出、ピカードはそれを認めた。
ウォーフは自室に戻り、大きなため息をついた。部屋の様子がまた変わっている。コンピューターにシャトル内での日誌を再生するよう命じるが、コンピューターの答えは「その日の日誌は記録されていません」というものだった。さらに調べると、「エンタープライズの故障のため、ウォーフは大会に参加できない」とウォーフ自身が語る記録が見つかった。誰かがドアの呼び鈴を鳴らし、ウォーフが扉を開けると、「鍵なんか掛けて」と言いながらディアナが入ってきた。「私に話してみたら」と言われたウォーフが「結構です、カウンセラー」と答えると、彼女は「わかったわ、大尉」と言い、部屋のレプリケーターを利用してホット・チョコレートを飲みだした。ウォーフが「怒って何か用なんですか?」と尋ねると、彼女は部屋の奥へ入っていく。柱の影から覗いてみると、彼女はベッドに腰掛け、ウォーフに「こっちに来なさいよ」と微笑みかけてきた。ウォーフは言われるまま彼女のとなりに座った。すると彼女はウォーフの髪を解き、肩を揉みはじめた。そして「私に言ってごらんなさいよ」と言いながら、ウォーフの頬にキスをする。ウォーフが「うぁー」と言いながら立ち上がると、ディアナは不思議な顔をして「私たち夫婦なのに」と言った。
ウォーフは「こんなことはありえない。瞬間瞬間に微妙に事態が変わっていくのに気がつくのは私だけだ」とディアナに話す。ディアナによれば二人が結婚してすでに三年過ぎているようだ。「私たちは良い友人のはずだ」とウォーフが言っても、ディアナは優しく「私はあなたを信じるわ。二人ならきっと乗り越えられる」と慰めた。
機関部ではウォーフたちの頼みを受けたデイタが時間に歪みが生じていないか調査を始めていた。ディアナが医療室へ呼ばれていった後、ウォーフはデイタに自分たちのことを尋ねた。二人が愛しはじめたのはウォーフが脊髄に負った傷が治った時、半年後、ウォーフはライカーの許可を得た上で求婚したとの事だった。
調査の結果、この宙域に時間の歪みは観測されなかった。デイタは「はじめから何が起こったのか確認してみよう」とウォーフに言う。ウォーフは自分の誕生パーティがすべての始まりだと思い出す。いままで変化が起きた時に共通するのは「ジョーディがウォーフの側にいた」ということだった。
ウォーフたちは医療室に向かう。だが、ドクター・オガワはジョーディが死んだと二人に告げた。
デイタはジョーディの体をスキャンするが、時間のずれを発生させるような要素は見つからない。ドクター・オガワの提案でバイザーが調べられることになった。バイザーがチェック台にかけられた途端、ウォーフは眩暈に襲われる。
ウォーフは指揮系の赤い制服を着ていた。コミュニケーターの形も変わっている。先程までジョーディの腰まで掛けられていた布は鼠径部のみを覆っている。ドクター・オガワがバイザーの検査を提案、バイザーはチェック台の上に置かれた。そしてスイッチを入れた途端、ウォーフは眩暈に襲われる。
倒れそうになったウォーフをとっさにビバリーが支えた。ウォーフは副長で階級は中佐になっていた。ディアナとはまだ夫婦らしい。デイタはウォーフの細胞のRNAに量子流動が起こっていることに気がついた。
作戦室。デイタはライカー艦長に事態を報告した。ウォーフの体の原子レベルで量子流動が起こっているようだ。「これはウォーフがこの次元に存在していないことを示している」とデイタは説明する。もし同じ次元に存在するのなら粒子特性は同じはずだ。ウォーフが乗ったと主張するシャトルの航跡を逆にたどってみることになった。作戦室から出ようとしたウォーフは振り返り、「いつから艦長になったのか」とライカーに質問する。「ピカード艦長がボーグに殺されてからだ、覚えていないんだな」とライカーに言われたウォーフは「いえ、覚えています。ただ私が覚えているのと違うだけです」と答えた。
亜空間の歪みを発見したとウェスリーが報告した。時空連続体に量子の歪みが発生しているとデイタ。それはウォーフの乗ったシャトルにそって発生していた。
観察ラウンジ。デイタは「量子の歪みは量子現実をつなぐものだ」と説明する。ウォーフは起こりうるすべての現実、つまりパラレル・ワールドをさまっているのだ。ウォーフの体に生じた量子変動をジョーディのバイザーが増幅していたらしい。ウェスリー大尉は「亜空間識別パルスで量子の歪みをスキャンすればウォーフの世界が見つかるはずだ」と提案した。
ウォーフとディアナが部屋に戻ってきた。ディアナは「私の夫がいなくなってしまうかもしれないのね」と悲しい顔をする。ウォーフが「元の世界に戻ったらディアナを結婚の対象として考えられるかもしれない」と慰めると、ディアナは「子供はどうするの」と言い出す。この世界では二人の間にはというシャナラという女の子とエリック=クリストファーという男の子がいるらしい。そしてアレキサンダーは存在していなかった。二人は黙ったまま抱き合った。
量子の歪みをスキャンしているエンタープライズにベイジョー船が接近して来た。この次元のベイジョーはカーデシアに勝ったようだ。ベイジョー船がエンタープライズに加えた攻撃のせいでエンタープライズのエネルギー・システムが不安定になった。識別パルスに過剰にエネルギーが供給され、量子の亀裂が不安定になり始めた。ベイジョー船の攻撃はさらに続く。そしてエンタープライズの前に無数のエンタープライズが姿を現した。
パラレル・ワールドの境界が崩壊してしまったため、エンタープライズの数はさらに増加している。デイタによれば、もしウォーフがシャトルの航跡をたどっていけば、パラレル・ワールドの境界は修復され、ウォーフやエンタープライズは元の次元に戻るだろう。ライカーは他のエンタープライズに向け、事態を収拾する方法を送信、やがてウォーフのいるべき次元のピカード艦長が交信を求めてきた。二人はデイタの意見を実行することで同意した。
元の次元のエンタープライズからウォーフの乗っていたシャトルが送られてきた。シャトルは逆ワープ・フィールドが発生するよう改造された。理論上、時間に多少のずれが発生する可能性はあるものの、上手くいくはずだ。ライカーたちがシャトル・ベイから出ていった後、ウォーフはディアナとキスを交わし、シャトルに乗り込んだ。
エンタープライズから発進したウォーフのシャトルは別の次元のエンタープライズからの攻撃を受けた。ライカーがそのエンタープライズと交信すると、相手は髭をぼうぼうにはやし、いまにも倒れそうなライカーだった。彼の次元ではボーグの侵攻を抑えきれず、艦隊にはエンタープライズしか残っていないという。そしてエンタープライズも、もはや撃沈寸前だ。「絶対に戻らないぞ」とそのライカーは言い、通信を切ってしまった。そのエンタープライズからシャトルに向けて攻撃が再開された。ライカーは武器を使用不能にする程度の攻撃を命じる。だがそのエンタープライズはその一撃に耐える力は残っておらず、爆発してしまった。
ウォーフが亀裂に入った。ウォーフが逆ワープフィールドを発生させた瞬間、シャトルに多数のウォーフが入り乱れ、そしてシャトルは強い光に包まれていった。
気がつくとウォーフはシャトルの床に倒れていた。エンタープライズに問い合わせると、ピカードが応じた。ほっとするウォーフにピカードはバーリトゥード大会のことを尋ねてきた。ウォーフが床に目をやると優勝トロフィーが置かれている。ウォーフはトロフィーを握り締め、「有意義でした。優勝トロフィーをお見せします」と返答した。
ライカーとウォーフが、ウォーフの体験したことを話しながら通路を歩いている。やがてウォーフの部屋の前に到着するとウォーフは立ち止まり、「何を企んでいるかわかっています。もう驚きませんからね」とライカーに告げる。ライカーは本当になんのことか分からないようだ。ウォーフが机にトロフィーを置き、忍び足で部屋の奥を覗こうとすると、背後からディアナが現れた。ウォーフは「ここに住んでいる訳じゃないですよね」と質問し、ディアナを不思議がらせる。サプライズ・パーティは彼女が止めさせたとのことだった。ディアナが「クリンゴンは誕生日を一人で過ごしたいのよね」と言い部屋から出て行こうとすると、ウォーフは彼女を呼び止め、夕食に誘った。誘いを受けたディアナはテーブルに座る。そしてウォーフはレプリケーターからシャンパンを取り出した。