監督:Cliff Bole
Cast
ウォーフは鏡を前に自分の服と格闘していた。どうもうまく着こなせないでいる。そこへ礼服をきたライカーがやってきた。これからイヤール星人がエンタープライズを訪れ、二人は彼らをもてなすことになっていた。ライカーはウォーフをからかいながら部屋を出た。
二人がシャトル・ベイへ向かうとちょうど大使が下りてきた所だった。ロクウェル大使、バイレス大使、そして操縦士のボバル。ピカードはボバルと共にイヤール星に向かうことになっていた。ロクウェル大使の相手はディアナが努めることになった。ロクウェルは腰の低い人物のようだ。一方、バイレス大使は傲慢な態度で、ピカードが決めていたライカーではなく、ウォーフに案内して欲しいと言い張った。むっとするウォーフは仕方なく、案内役を引き受けることにした。ピカードは肩をすくめ、ライカーに「頑張れ」と声を掛けるとイヤール星のシャトルに乗り込んだ。
テンフォワードでは歓迎会が開かれていた。ロクウェルとディアナは和気あいあいとデザートを楽しんでいる。バイレスは相変わらずの態度でウォーフはまるで召し使いのように扱われる。ウォーフが「あの大使は気分屋で無礼な奴だ」とこぼすとデイタは「君と共通点が多いじゃないか。そこを糸口にすれば会話も弾むだろう」とアドバイスし、ウォーフはますます頭に血をのぼらせる。
シャトルの中ではピカードがボバルと交流を深めようとしているが、ボバルは無愛想だ。急にシャトルに衝撃が走る。推進システムの異常で、シャトルは近くの惑星に不時着した。ボバルは床に倒れて動けない。ピカードはエンタープライズと通信を入れようとするが、惑星の磁気嵐で信号が届かない。トリコーダーで近くに建物があることを知ったピカードは助けを求めるため、シャトルを離れた。惑星は岩だらけで、はげしい嵐に見まわれていた。少し進んだ所でピカードは雷の直撃を受け、気を失ってしまう。そして何者かがピカードの体をどこかに引きずっていった。
ウォーフはバイレスを機関部に案内していた。ここでもウォーフは侮辱され、必死に怒りをおえていた。ロクウェルはといえば、ディアナの話を聞こうとせず、甘いものを飲みながらぶらぶらと勝手に歩き回っている。子供を見つけたロクウェルは珍しそうについていってしまう。イヤール星人は細胞合成で繁殖するらしい。
ピカードが目を覚ますと、どこかの建物の中だった。腹部には何かの装置がつけられている。焚き火の向こう側に若い女性がいた。ピカードが助けを求めると、彼女は「死んだわ」とだけ言い、出ていってしまった。
その建物は難破した貨物艦を改造したものらしい。女性はピカードに食事を作ってくれた。彼女は乗客としてこの貨物船に乗っていたが、遭難してしまったという。名前はアンナといい、自分がどのくらいこの惑星に留まっていたのかも知らなかった。現在の宇宙暦を聞き、7年もここにいたと知り動揺するアンナ。ピカードの腹部に載せられている装置は骨折を直す機械だという。ピカードはアンナにシャトルまで行き、必要な器材を持って来るよう頼んだ。
観察ラウンジ。ウォーフは「バイレスを殺してやりたい」とぼやき、ライカーとディアナが笑いながら聞いている。ライカーは「少し息抜きにポーカーをやろう」と提案した。
ピカードは心配そうに貨物船の中を歩き回っていた。ドアを開けようとしても外から鍵がかかっていて開けることができない。やっとアンナがかえってきた。外に猛獣がいるから鍵を掛けたと彼女は言う。彼女がシャトルからもってきた通信用の器材は焼きただれていた。「外れなかったからフェーザーで焼き切った」と聞き、かっとなるピカードだが、アンナの詫びる様子を見てぐっとこらえる。アンナは「いままでずっと誰かが助けに来てくれると信じていたが、誰も助けに来てくれなかった。近くの断崖から飛び降りて自殺しようとしたがその勇気もなく、諦めることで気が楽になった。あなたならきっと私を助けてくれる」と訴える。そしてピカードの足元に跪くと「愛しているわ」と微笑み、ピカードにキスをした。ピカードは硬い表情のままアンナを見つめた。
ピカードは貨物船の部品をとりだし、それを利用してシャトルを修理しようとしていた。アンナが外から戻ってきた。彼女は食べるものをとってきたのだ。改めて「愛しているわ」という彼女に、ピカードは「君の感情は愛ではない」と諭す。「わかったわ」とアンナは答えるが、様子がおかしい。
エンタープライズではライカーたちと大使たちがポーカーをしている。バイレスはウォーフのチップから自分の掛け分を場に出す。ウォーフが注意すると「負けているからといって難癖をつけるな」ととぼけている。ウォーフとバイレスは口論になり、やがて殴り合いを始める。ロクウェルは平然とお菓子を食べ続けている。そしてウォーフはバイレスを叩きのめしてしまった。バイレスは立ち上がると姿勢を正し、「ありがとう、ウォーフ君。君は最高の被験者だったよ」と言った。そして「報告書をまとめなくては」と言い残し、あっけにとられたウォーフたちを残しで部屋から出ていってしまった。ロクウェルはニヤニヤしながらお菓子を食べ続けていた。
貨物船。部品の修理が完成し、ピカードは外に出て行こうとするが、アンナは「外は磁気嵐だから」と引き止める。またピカードが腹部の痛み止めを外そうとすると、彼女は必死に止めさせようとした。ピカードは彼女の言葉を無視して装置を外してしまうが、痛みは全くなかった。彼は怪我などしていなかった。「愛しているのよ」というアンナ。ピカードに追求されたアンナは「離れなくなかったの」と言い、ピカードに抱き付く。ピカードが拒絶するとアンナは急に身をはなし、「もう終わりね」と言い、貨物船から出ていってしまった。
ピカードが扉をこじ開けようとしていると、外部から男の声がした。ピカードは外に呼びかけ、外の男もピカードの存在に気がついたようだ。外側から扉が開けられ、中に入ってきたのは、死んだはずのボバルだった。
ピカードはボバルにアンナのことを話す。彼の話によれば彼女らしき人物が断崖のほうへ向かったらしい。二人で断崖の方へ行き、二手に分かれてアンナを探しはじめた。じきにピカードはアンナの姿を発見、ピカードに気がついたアンナは「私を愛してくれないのなら、ここから飛び降りる」と叫ぶ。彼女をじっと見ていたピカードは「そうか、幻覚を見せていたんだな」とアンナに告げる。さっき二人のもみ合った時にちぎれたはずのネックレスが彼女の首にかかっていた。アンナは「愛しているといって」と泣きながら訴える。だがピカードは「死にたければ死ねばいい」と冷たく答えた。
アンナがネックレスに手をやると、アンナの姿はボバルに変わった。「失敗した」と言うボバルにピカードは真相を尋ねる。ボバルはパイロットではなく、大使だった。彼の任務は「愛」という概念を調べること。この星で遭難した女性が残した日誌に記されていた人間に特有の概念、つまり「愛」を、ロクウェルは「喜び」、バイレスは「憎しみ」を調べることになっていた。それ以外にも理解しあわなければならないことはまだたくさんあるようだ。シャトルの故障も見せかけにすぎないと知ったピカードは、とりあえずここを出発しようとボバルに頼んだ。
シャトル・ベイ。大使たちがエンタープライズを去ろうとしている。「素晴らしい体験でした」とウォーフはバイレスに微笑みかける。ロクウェルはディアナにイヤール星の食べ物をプレゼントした。ボバルは「失礼な外交方法だったかもしれない」とピカードに詫び、ピカードは「我々人類は中庸を好む。でも極端に走る種族に出会えたことは痛快だった」と答えた。そして大使たちはシャトルに乗り込んでいった。