ガソリンのはなし


エンジンはガソリンで動くと言いますが、ガソリンを燃焼させるためには酸素も必要です。
ここでは、ガソリンがエンジンへ注入されるまでのしくみと自動車ガソリンについて書きます。

INDEX
■ 燃料装置のしくみ
■ ガソリンについて


■ 燃料装置のしくみ

燃料装置は、エンジンに燃料を供給する役目をもつものです。
燃料タンク・燃料パイプ・燃料フィルター・燃料ポンプ・キャブレータ・燃料計などを総称して燃料装置といいます。
ガソリンエンジンの場合、爆発・燃焼しやすいガソリンと空気の混合気体を作る装置といえます。参照エンジンのはなし

1.燃料タンク・燃料パイプ
2.燃料フィルター
燃料の中に入っているゴミを取り除いたり、水と分離させて清浄なガソリンを作る装置。
ここを通過したガソリンは燃料ポンプを通り、キャブレータへ送られます。
3.キャブレータ(気化器
燃料と空気を混合し燃焼しやすいように気化させると同時に、あらゆる運転状況にも対応できる混合気を作る装置です。
混合比は運転状況により変化し、ガソリンが完全燃焼するための理論的な混合比は約15(空気):1(ガソリン)といわれています。
エンジン始動時・加速時・高速運転時・低速運転時には少し濃い混合気が必要とされている。
気化器で気化された混合気はシリンダーに送られて、爆発・燃焼します。
4.電子燃料噴射装置
EFI.EGIなどと呼ばれ、エンジンに供給する燃料をキャブレータにかわりコンピュータにより詳細にコントロールし、
あらゆる状況下において適切な混合比を保つようにした燃料供給システム。


■ ガソリンについて

1.石油の化学
石油とは、天然に産する可燃性の油状液体(鉱油)と、これを精製して作られる製品を総称したもので、
主成分は、炭素(C)と水素(H)の化合物すなわち炭化水素でこの他に酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)などの不純化合物が含まれている。
炭化水素の種類はCとHの数とその結合の形態によって分類されている。
同じ分子式であっても、その結合の形態が違えば、その性質も異なるという特質を持っている。
2.製油
原油は沸点・分子量の異なる各種の炭化水素の混合物で、これらの成分を沸点の差によって分離する操作を蒸留といいます。
簡単に表にすると下記のようになります。
常温 ガス LPG(液化石油ガス)
初留〜200℃ ナフサ ガソリン
200〜250℃ 灯油 灯油
250〜330℃ 軽油 軽油
330℃〜 重油 A〜C重油
残油 アスファルト・コークス
石油製品ができるまでには、製油のプロセスの中で、各種の分解・改質装置があります。
それらの各プラントをあわせて製油所が構成されています。原油が巨大タンカーで運ばれる関係で、製油所の多くは太平洋側に位置しています。
主なものには、川崎の東燃、千葉のコスモ・出光・極東、根岸の日石、四日市の昭和・コスモ、和歌山の東燃、
また瀬戸内海には岡山水島の三菱や四国にも香川坂出のアジア、愛媛菊間に太陽、九州大分には九石、
また北海道室蘭には日石、東北仙台の東北などの精油所があります。
現在では、元売の統合や省力化の関係で共用されている部分が多くあるといわれています。
3.ガソリン
ガソリンは沸点範囲30〜200℃の留分で、用途別に自動車ガソリンの他、ジェット燃料や工業ガソリン等に分類されます。
ここでは、自動車エンジンに使用される、自動車ガソリンについて書きます。
  1. 種類・・・オクタン価によって1号(オクタン価96.0以上)2号(オクタン価89.0以上)に分類
  2. 品質・・・比重0.783以下、無加鉛、水及び沈殿物を含まず、蒸気圧は約0.4kg/cuで色はオレンジ系色等
4・ガソリンの特異性状
  1. ノッキング・・・シリンダーの中で燃料が異常燃焼をした時に起こる現象。シリンダー内の圧縮比が上昇すると、エンジンが金属性の音を出し、運転状態が円滑を欠きます。一般に熱効率をあげるために、そのエンジンの圧縮比を増すという方法がとられていますが、ある限界を超すとかえって反対にノッキングによって減少してしまいます。そのノッキングを起こす直前の圧縮比を、最高有効圧縮比と称しています。
  2. オクタン価・・・同じ条件のもとで運転をして、ノッキングを起こしにくい性質のガソリンをアンチノック性が高いと言い、その尺度としてオクタン価が用いられています。アンチノック性の高いイソオクタンのオクタン価を100とし、ノッキングを起こし易いヘプタンのオクタン価を0とし、この二つを混合して任意のオクタン価の標準燃料を作り、それと同一のアンチノック性を示す時のイソオクタンの%をオクタン価と言います。つまり、オクタン価98のガソリンとは、イソオクタン98%に対しヘプタン2%で混合してつくった燃料と同じアンチノック性を持つガソリンです。
5.自動車ガソリン税金

ガソリン1Lあたりの価格に占める税金の割合は50%を超えているのをご存知ですか?
ガソリン税は道路の整備・維持管理に使われるという、目的税なのです。が、それにしても少し高すぎるのではないのかと思ってしまいます。
いわゆる規制緩和でガソリンスタンドが簡単に作れるようになりました。そこでできたのがディスカウント的な元売のはっきりしない無印スタンド。
そして、今年の4月からはセルフスタンドも認可されました。
しかし、セルフスタンドとして認可されるためには、莫大な資本投資なしではできない規制が残っています。
なるほど、ガソリンの価格は目にみえて全国的に安くなりました。しかし、それに占める税金の割合は高くなってきています。

ガソリン税 53.800円/L
石油税 2.040円/L
原油関税 0.215円/L
56.055円/L

上記の税金の他、消費税が5%かかってきます。ところが、ガソリンの場合は上記の税金にも消費税がかけられています。
つまり、現在は税金の二重課税の状態になっています。軽油には軽油税がかけられています。
現在の軽油引取税は32.10円でこれには消費税はかけられていません。



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