ラジエターのはなし
車のトラブルで多いのはパンクとバッテリーあがりですが、その次に多いのがオーバーヒートです。
ラジエターは快適なドライブのために大切なはたらきをしています。 |
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INDEX
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■ラジエターの役割としくみ |
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■ラジエターの点検とメンテナンス |
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■クーラントの基礎知識 |
■ラジエターの役割としくみ
- ラジエターの役割
- 車のエンジンは、エンジンのはなしのところで書いたように、燃料を爆発させそのエネルギーから動力を発生させるシステムです。
- その爆発は大変高温です。そこで爆発が何回も続いて長時間運転を行なう時には、いつも適当な温度に冷却してやらないとエンジンが焼け付いて
- 壊れてしまいます。この冷却のはたらきをするのがラジエターをはじめとする冷却装置です。現在の国産車ではほとんどが水冷式の冷却装置です。
- 水冷式エンジンの原理
- シリンダーの周囲に水ジャケットといわれる冷却水の入る部分を作り、その水ジャケット内に冷却水を循環させて冷やす方法です。
- しかし、循環させているだけでは、風呂の水のように全体が熱くなってきてお湯になってしまいます。
- そこで途中に放熱器(ラジエター)をつけて、これに風をあてて冷やしています。
- 冷却装置のしくみ
- 冷却装置は、ラジエター・ラジエターホース・ウォーターポンプ・サーモスタット・冷却ファンなどで構成されています。
- ラジエター本体には、冷却水が通るための細い通路がたくさん作られています。
- これは通路の表面積を多くすることによって冷却効果を高めるためです。
- (1)冷却ファン
- 車が走り出せは、外気で温度を下げることができますが、渋滞の時などには外気だけでは冷却が不十分な場合があります。
- そのため、冷却ファンが取り付けられています。ラジエターを通る空気の量を増やして冷却作用をさらによくしています。
- (2)ウォーターポンプ
- 冷却水を強制的に循環させるポンプで、ファンと一体で回転している。
- (3)サーモスタット
- 冷却水の温度を一定に保つ役割をします。エンジンが冷えている時にはラジエターにあまり冷却水を流さないようにするため、水出口を閉じます。
- エンジンが熱してくると水温が高まり、約80℃になると水出口を全開して冷却水が循環するようにしています。
- (4)ラジエターキャップ
- 冷却水の温度は時には120℃にまで上昇しています。
- そこで、ラジエターキャップにはプレッシャーバルブとバキュームバルブが設けられており、
- 水の膨張で圧が上がるとプレッシャーバルブが開きリザーブタンクに増量した分の冷却水を貯め、
- 圧力が下がるとバキュームバルブが開き冷却水をラジエターに戻しています。また、圧力を保つことによって沸騰を抑えています。
■ ラジエターの点検とメンテナンス
(1)冷却水(クーラント)の点検
- 冷却水の量が少なくなっていたり、錆や水あかで汚れていると、オーバーヒートの原因になります。最低2年に1回は交換しましょう。
- 錆や水あかがひどい時には、ラジエター洗浄剤を使って洗い落としましょう。
(2)ファンベルトの点検
- 冷却ファンを動かすファンベルトの張りぐあいは、ベルトの中間を親指で押してみて、13〜20mmぐらいたわむのを標準とします。
- 緩んで滑るとファンの回転が不良となりオーバーヒートの原因となります。
(3)ラジエターホースの点検
(4)オーバーヒートをしてしまったかな?と思ったら
- 安全な場所に車を止めて、ボンネットを開け水温が下がるのを待ちましょう。
- 水温が上がっている時にラジエターキャップを開けると水蒸気が噴射して火傷をしてしまいます。
- 冷却水が不足している場合は、いっぱいになるまで補給しましょう。
- 水漏れがない場合は走行可能ですが、エンジンの回転を上げすぎないように気をつけましょう。
- 冷却水不足の他にもオーバーヒートの原因となることがあります。
- ウオーターポンプの破損
- エンジンのシリンダヘッド・ガスケットの損傷
- 燃焼室にカーボンが堆積している
- 潤滑油の不足
- 混合ガスが薄すぎるかまたは濃すぎる
- マフラーが詰まっている
- エンジンの点火のタイミングが狂っている
こんな時にはすぐに修理しましょう。
■ クーラントの基礎知識
(1)クーラントの役割
- 凍結防止
- 水は凍結すると約9%体積が膨張します。冬季、冷却水が凍結をすると、その膨張力によりラジエターやエンジンのシリンダーヘッドまで破壊してしまうことがあります。そこで、冷却水にはみずよりも凝固点の低い原料が使用されています。現在は主にエチレングリコールが使用されています。
- 防食効果
- 冷却装置には各種の金属非金属の材料が使用されています。金属材料から錆が発生すると、ラジエターや冷却水の回路内に目詰まりを起こし、オーバーヒートの原因となります。そこで、クーラントには防錆効果のある添加剤が含まれています。
- 沸点上昇効果
- 先にも書いたように、冷却水の温度は長時間のドライブで上昇してきます。特に最近の車はデザインやエンジンルームのスペース上、ラジエターが小型化される傾向にあります。必然的にエンジンの温度は以前よりも高くなってきます。当然冷却水の温度もより高くなってしまいます。そこで沸点の高い原料が求められることになってきます。エチレングリコールは沸点が190℃以上もあります。
(2)クーラント交換の必要性
- 最近のラジエターは放熱効果を高め、軽量化をはかるために非常に薄いアルミ合金でできています。中にはクーラントの希釈されたもの(JIS規格の製品を35%の濃度、凍結温度が−18℃以下に設定)が使用されています。
- クーラントの主成分、エチレングリコールにも欠点があります。本来の性質が水に混入すると不凍効果が高まる反面、酸化促進の面も持っています。そこでクーラントには金属腐食を防止するための酸化防止剤も大量に添加されています。エチレングリコールは熱を加えても蒸発しませんが、添加剤分は蒸発してしまいます。時間の経過とともにクーラントは、熱と酸化で劣化してしまいます。
- 長期間(3年以上無交換)でクーラントを使用すると、アルミが酸で犯され解け出してしまいます。最悪の場合、ラジエターに穴が開き、ウォーターポンプを破損しシールから水漏れを起こす場合があります。
さいきんの車は非常に性能も良くなり、冷却水の量や汚れを点検・メンテナンスをしていればよほどのことがない限りオーバーヒートで走行不能になることもなくなっています。しかし、真夏の炎天下での渋滞や坂道などでのエンジンへの過大な負荷などで、オーバーヒート気味になることはしばしばあります。いざという時のために点検は必ずしておきましょう。
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