エンジンのはなし
エンジンは車の心臓部です。
車のあらゆるパーツを動かす元となっている、重要な部分です。
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■エンジンの構造と機能 |
■エンジンの種類 |
■エンジンの構造と機能
(1)エンジンの原理(ガソリンエンジン)
4サイクルエンジンでは、クランクシャフトが2回転する間に、ピストンが「吸入」→「圧縮」→「爆発」→「排気」の4行程を行い、動力を発生します。
- 1.吸入行程
- この時点では、吸入バルブは開・排気バルブは閉の状態です。ピストンがシリンダーの中を下がると、シリンダー内の気圧は1気圧以下となり、
- 気化器(キャブレータ)から混合ガスが非常な勢いでシリンダーの中に侵入してきます。
- ピストンが下がりきった時シリンダー内部は混合ガスで充たされます。この間にクランクシャフトは半回転します。
- 2.圧縮行程
- 吸入行程が終わってピストンが上昇をはじめます。この時、吸入バルブは閉・排気バルブも閉の状態です。
- シリンダー内の混合ガスは次第に燃焼室内に圧縮され、ピストンが上がりきった時には、混合ガスの容積は約1/10くらいにまで圧縮されています。
- ここで、クランクシャフトは一回転したとこになります。
- 3.爆発行程
- ピストンが上がりきる手前で、点火プラグに電気火花が飛んで、圧縮混合ガスに着火が行なわれ、
- 上がりきった時にガスは猛烈な爆発を起こします。
- この爆発でピストンは押し下げられクランクシャフトが回って回転運動が起こります。
- 4.排気行程
- 爆発行程が終わると、燃焼して動力発生の役目を果たした排気をシリンダー外に吐き出して次のサイクルに入る準備をします。
- ここで、排気バルブが開き、ピストンの上昇とともに排気を押し出します。これでクランクシャフトが2回転したことになります。※注1
※注1総排気量について
総排気量はエンジンの大きさと出力の標準になるもので、シリンダー内でピストンが上昇を行なう時、排気孔から排出される排気の総量です。
シリンダーは円筒ですから、その容積を計算しシリンダーの数をかければ総排気量がもとめられます。
(2)エンジン本体の構造
三つの主要な部分からできています。@シリンダーおよびクランクケースAシリンダーヘッドBオイルパンです。
- @シリンダー
- 上で書いたように、シリンダーとはその中で混合ガスを爆発させ、その圧力でピストンを動かすための円筒です。
- シリンダーの数は多いほど爆発回数が多くなり、回転力にむらがなくなるので、4.6.8というように多シリンダーにしています。
- シリンダーの周囲には、冷却水が循環する空洞の水ジャケットが設けられています。
- また、シリンダーの下部はクランク室になっていて、そこにはクランクシャフトが入る指示部が設けられています。※注2
- Aシリンダーヘッド
- シリンダーの頭にあたる部分で、シリンダーの蓋となり、燃焼室を形成しています。
- シリンダーヘッドの頭部には、点火プラグをねじ込む穴がもうけられています。
- 吸入バルブ・排気バルブの位置によって、形状が変わってきます。
- シリンダーとシリンダーヘッドの間には、石綿を銅板で包んだガスケットを入れて、スタッドボルトで締め付けて、
- ガスや冷却水などがもれるのを防いでいます。
- Bオイルパン
- エンジンを潤滑するオイルをためておくケースであるとともに、クランク室の底蓋も兼ねています。
- オイルパンの底部には、汚れたオイルを抜き取るための栓(ドレーンプラグ)が備えられています。
- オイルパンの取り付けには、パッキンを用いてボルトで締め付けて、オイルの洩れを防いでいます。
※注2 クランクシャフトについて
シリンダー内のピストンは、往復直線的に運動をしますが、これを回転運動に変えるのがクランクシャフトの役目です。
■エンジンの種類
- (A)OHCとDOHC
- バルブシステムによる種類・・・クランクシャフトから回転を伝えて、カムを回しそのカムでバルブを押し上げます。
- カムの位置とバルブの開閉をするカムシャフトの数でSOHCとDOHCに分けられています。
- OHCとは、オーバーヘッドカムシャフトの略です。また、一つのシリンダーについている吸入・排気のバルブの数は1バルブづつでなく、
- 2バルブ以上のマルチバルブシステムというのもあります。
- バルブの数を多くすることによって、吸・排気の効率をよくし高速回転でパワーを発揮できるようにしています。ツインカムというのはこのことです。
- SOHC・・・バルブを開閉するカムシャフトが一本、つまりシングル
- DOHC・・・バルブを開閉するカムシャフトが二本、つまりダブル
- (B)直列4気筒とV6
- エンジンの気筒数とレイアウトによる種類・・・シリンダーの数は気筒数という言葉で表現されます。
- 現在、2気筒から16気筒までの種類があります。気筒数の多いほど、一般的に滑らかな走りをすると言われています。
- その多気筒のシリンダーの並べ方には、直列とV型また、水平対向型というのもあります。
- 直列4気筒・・・4つのシリンダーを直列にレイアウトしているエンジン。直列に並べるとバルブの開閉をするカムシャフトを駆動するカムシャフトが一本ですみ、シンプルな構造となるのが利点。
- V6・・・・6つのシリンダーをV字型にレイアウトしているエンジン。シリンダー数が多くなると、直列に並べるとエンジンが長くなってしまいます。そこで生まれたのがV型です。V字に並列に並べることによって、エンジンをコンパクトにできるのが利点。ただ、この場合バルブの開閉をするカムシャフトを駆動するカムシャフトが二本になり、より複雑なエンジン構造となります。しかし、シリンダー上部がそれぞれ左右に寝た形になるため、エンジンの高さが低くなり重心が低くなるため、安定性のある車となります。
- (C)FF・FR・4WD
- エンジンを格納するエンジンルームの位置と駆動方式による種類・・・エンジンは車のパーツの中で最も重量があります。
- それをどの位置に配置するかは、車の運動性能やスタイルに大きく影響します。
- また、エンジンで発生した動力を前輪に伝えるか後輪に伝えるか(駆動)も車の性能も大きく変わってきます。
- FF・・・・・フロントエンジン・フロントドライブ。エンジンルームが車体の前方にあり、前輪を駆動する方式。長いドライブシャフトが必要でないため、コックピットなどの車内スペースを広くとれるのが利点。
- FR・・・・・フロントエンジン・リアドライブ。エンジンルームが車体の前方にあり、後輪を駆動する方式。発進・加速・登板力に優れているとされている。
- 4WD・・・前後のタイヤすべてを駆動する方式。雪道や悪路などのラフな路面で威力を発揮する。
- その他の方式・・・RRはリアエンジン・リアドライブ。代表的なのがポルシェ911。MID
SHIPは車体の中央部にエンジンを搭載している。バランスがよく、スポーツカー等に採用されている。
- (D)ロータリーエンジン
- ロータリーエンジンは、4行程のエンジンですが、ピストンが往復運動をしてクランクの回転運動に変える「レシプロエンジン」とは違って、
- シリンダーに相当するハウジングの中を正三角形に扇形のカーブをもたせたローターが回転して4行程を行ないます。
- ハウジングの中には三つの燃焼室ができるため、ローターが一回転する間に三回の爆発行程があり、1ローターでレシプロの3気筒となります。
- そこでエンジンを小型化・軽量化が可能になります。また、それ自体が回転運動のため、効率のよい出力が可能になったと言われている。
- しかし、燃費がかかることが欠点とされている。
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