山梨大学講義ノート/リサイクル個別法

容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)

●容器包装リサイクル法の目的

 容器包装リサイクル法は、輸送、商品の保護、販売促進等の目的で使われるすべての容器包装を対象として、市町村がこれらを分別収集した場合は、製造販売にかかる事業者に引き取らせてリサイクル(再商品化)させようという制度である。

●責任分担

法律の考え方は、消費者は分別収集に協力すること、市町村は容器包装の分別収集に努めること、事業者は市町村が分別収集した容器包装を再商品化する義務を負うこととなっている。市町村は分別収集計画を策定し、国ではこれにもとづいて容器ごとの再商品化計画を策定、事業者はこの計画にもとづいて、市町村が集めたものを引き取って再商品化する義務を負う。事業者は自ら再商品化できない場合は、指定法人(財団法人日本容器包装リサイクル協会)に製造販売量に応じて負担金を支払う。

 ただし、スチール缶、アルミ缶、牛乳パック、段ボール容器については企業が引き取る義務を免れている。これらのものは市町村が分別収集し、法律に基づく「分別基準適合物」(圧縮して10トン車1台分程度まとめる)の基準を満たす場合には有償で引き取ってもらえることが確実だという理由からである。

●ドイツ・フランスの制度

容器包装については、ドイツでは「包装廃棄物政令」に基づいて、すべての容器包装を利用する企業に回収・リサイクルを義務付けているため、デュアルシステムと呼ばれる制度が生まれました。これはすべての容器包装にマーク(グリューネ・プンクト)をつけ、容器包装を利用する企業はそのマークの使用料をDSD(容器包装を回収するために企業が共同で設立した会社)に支払い、DSDは各家庭から直接マークのついている容器包装を回収してリサイクルするというものです。

  フランスでは、エコ・アンバラージュと呼ばれる制度があり、これは家庭からの回収は自治体が行ない、回収したもののリサイクルの責任は企業が負うというもので、ドイツのマークに似たマークが容器包装についています。企業はマーク使用料を支払い、その収益は自治体にも回収費として分配されます。

  日本の制度はフランスの制度に近く、容器包装の回収は自治体の責務とし、回収した後のものをリサイクルする義務を企業に負わせています。ただし分別収集するコストは自治体が負担することになっている点が、フランスと異なります。

 

 

 

 

ドイツのグリューネ・プンクト(緑のポイント)、フランスのマークも同じ意匠である。

 

 

 

 

 

 

 

ドイツの資源回収拠点

 

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

●法律の仕組み

 家電リサイクル法は98年6月に公布され、2001年から施行さた。  経産省によると、一般家庭から排出される家電製品は年間約60万トンで、その約8割は販売店によって下取り回収され、約2割が市町村の処理ルートで処理されている。販売店が回収した家電製品は、産業廃棄物業者や資源回収業者によって処理されており、一部の金属資源が回収されている以外、ほとんどが埋立処分されているのが実情であった。  家電リサイクル法は、販売店による下取りという古くからの慣習を制度化し、販売店に戻った廃家電製品を家電メーカーに引き取らせることによって部品・素材のリサイクルを図ろうというものである。

  対象となる機器は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの4品目で、  小売業者は、自分が販売をした対象機器の引取りを求められたときや、新たな製品を販売するときに同種の対象機器の引取りを求められたときは、これを引き取らなければならない。引き取ったときは、対象機器の製造業者に引き渡さなければならない。

  製造業者及び輸入業者は、予め指定した引取場所において、対象機器の引取りを求められたときは、それを引き取って再商品化する義務を負う。再商品化の方法は、国が定める基準に従わなければならない。

 ●消費者の費用負担

  本法では、小売店が引き取る場合に、再商品化のために必要な費用を排出者に請求できることを定めている。つまり原則として有料である。処理費用をどのように徴収するかは、本法制定時の大きな論点の一つだったが、料金は排出時に消費者が負担する方式となった。料金が高額になった場合には不法投棄が増えるといった懸念があり、販売時点で処理費を上乗せしておく方式がよいとする意見も根強い。

  この点については、家電製品の寿命が長いことから将来の処理費の算定が難しいことや、すでに販売されている製品については適用できないこと等の理由から、排出時点での徴収という方式に落ち着いたものである。このような課題については、本格施行後5年経過後、料金の徴収方法等を含めて制度全般について再検討すると定められている。

なお家庭用のパソコンについては、資源有効利用促進法にもとづいて2003年10月以降、既販分は有料で10月以降に販売される分については処理費を上乗せして販売し、メーカーが回収することとなっている。

図 家電リサイクル法の仕組み

 

リサイクル率の目標

エアコン60%以上   冷蔵庫50%以上

テレビ55%以上    洗濯機50%以上

 

 

6.食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)

食品廃棄物(生ごみ、調理くず)の発生抑制と再生利用促進を目的とした法律。 飼料、肥料とするものは「食品循環資源」と定義し、一定規模以上(年間発生量が100トン以上)の食品加工、飲食業者に対して、食品廃棄物の減量化、堆肥化や飼料化の技術やルートを持つ業者に委託処理を義務づけている。

同時に、堆肥化や飼料化業者を育成するために、登録再生事業者制度を設けて廃棄物処理法にもとづく廃棄物処理業者の許可を不要とし、堆肥、飼料関係法の規制も緩和された。 

7.建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)

産業廃棄物の中で不法投棄がもっとも多いのが建設廃棄物である。また、一般住宅を解体したものはほとんどリサイクルされずにそのまま廃棄物として埋め立てされているため、建設廃棄物の「分別解体」と資源化を義務づけることを目的として制定された。 解体工事業者の登録制度、発注者の工事届け出義務、 分別解体のための工事指導、改善命令などが主な内容です。

 8.グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)

 議員立法で制定された法律である。国や独立行政法人等の機関が環境に配慮した製品(環境物品)を優先的に購入することによって、環境物品の需要拡大をめざそうというものである。国は環境物品調達の調達の基本計画、調達方針を策定するほか、事業者は製品に関する環境情報を提供したり環境ラベルによる情報提供を進めることで、環境負荷の小さい製品を普及していこうという内容。

 9.自動車リサイクル法(使用済み自動車の再資源化等に関する法律)

自動車メーカー等(輸入業者含む)に対して、製造又は輸入した自動車が使用済となった場合、その自動車から発生するフロン類、エアバッグ及びシュレッダーダストを引き取り、リサイクル(フロン類については破壊)を適正に行うことを義務づけた法律。

リサイクル要する費用は、車の所有者負担とし、制度施行後販売される自動車については価格に上乗せしてあらかじめ徴収します。制度施行前の既販車については、最初の車検時までに徴収することとなっています。リサイクル料金は予め各メーカーが定めて公表することとし、これによってメーカー間の競争が生じ、リサイクル容易な自動車の設計・製造や料金低減が図られことを期待している。

徴収した料金は、資金管理法人が管理し、メーカーはシュレッダーダスト等のリサイクルにあたり料金の払渡しを請求できる。また、中古車として輸出された等よよって返還請求がない場合の剰余金については、不法投棄対策、離島対策等に充てるほかユーザー負担の軽減に活用することになっている。 

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