山梨大学講義ノート/リサイクル関連法

2.循環型社会形成推進基本法

 この法律は、文字通り循環型社会形成を推進していく上での基本理念と、政府が循環型社会形成に取り組むプログラムを規定した法律である。

法律には、形成すべき「循環型社会」として、「廃棄物の発生抑制、循環資源の循環的な利用、適正な処理の確保によって天然資源の消費を抑制し、環境負荷ができる限り低減される社会」と規定していまる。

また政策の優先順位をはじめて明確にした。すなわち、@廃棄物対策でもっとも優先すべきことは「発生抑制」(Reduce)であり、A排出されたものはできるだけ「再使用」(Reuse)をはかり、B再使用できないものは「再生利用」(Recycle)すなわちリサイクルする、C原料リサイクルができないものは「熱回収」のための燃料として利用し、Dどうしても廃棄物として処理しなければならないものだけを「適正処分」する、という順序である。

もうひとつ重要な点は、「拡大生産者責任」(Extended Producer Responsibility)の一般原則を示した点です。拡大生産者責任というのは製品が使用済みになった後も再使用やリサイクル、廃棄物としての適正処理にまで、生産者の責任を拡大しようという考え方で、家電リサイクル法もこのような考え方にもとづいている。

この法律にもとづいて、政府は2003年2月に「循環型社会形成推進基本計画」を策定しました。この計画は5年ごとに見直され、施策の推進状況は国会に報告されることになっている。

基本計画では具体的な数値目標を設定している。これによると国全体の物質フローに関して、@資源生産性(入り口)、A循環利用率(循環)、B最終処分量(出口)、の3つについて指標と数値目標を掲げていまる。

拡大生産者責任とは

 拡大生産者責任(EPR)とは、製品のライフサイクルにおいて製品の使用済み段階にまで生産者の生産者の責任を拡大すること、すなわち使用済み製品が再使用、再生利用または適正処理されるまで生産者に責任を負わせようというもの。そのことによって、使用済み製品の処理コストが価格に内部化されるとともに、再使用、再生利用しやすい製品づくりを促すことにつながることが期待できる。

 わが国の法律では、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法、自動車リサイクル法などにEPRの考え方が取り入れられているほか、「循環型社会形成推進基本法」において基本原則が示された。

 しかし、容器包装リサイクル法では生産者の責任は自治体が分別収集した容器包装廃棄物の引き取りと再生利用に限られており、家電リサイクル法、自動車リサイクル法では処理費用の負担を消費者に求めており内部化されていない。このように、わが国の制度では自治体や消費者と責任をシェアするという考え方が強く、生産者の責任は限定されている。

 

.資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律)

「再生資源の利用の促進に関する法律」(リサイクル法)を改正し「資源の有効な利用の促進に関する法律」になった。循環社会法と同様にリサイクル以前に発生抑制、再使用促進を優先すべきとする考え方を明確にし、省資源、長寿命化による廃棄物の発生抑制対策、部品の再使用対策、事業者による回収・リサイクルの促進等、拡大生産者責任の考え方を取り入れた。

指定再利用促進製品  リサイクルしやすいような構造・材質などを工夫したり再生部品の利用を促進すべき製品として、自動車、パソコン、コピー機、パチンコ台などが指定されている。これらの製品については、生産者は部品を回収して再使用することが義務づけられている。

特定省資源化製品 長寿命化や原材料の使用の合理化を求めていく製品として、自動車、パソコン、大型家具、ガス・石油機器、パチンコ台、家電等が指定されている。

指定再資源化製品 事業者による回収・リサイクルをさせる製品としてパソコン、二次電池等が指定されています。

特定省資源業種 原材料等の使用の合理化による副産物の発生の抑制及び副産物の再生資源としての利用の促進に取り組むことが求められる業種として製紙業、化学工業、製鉄、銅製錬、自動車製造の5業種が指定されている。

特定再利用業種 再生部品や再生原料を利用することが特に必要な業種として、製紙業、ガラス容器製造業、建設業、硬質塩化ビニル製の管・管継手の製造業、複写機製造業が指定されているる。

 指定表示製品 分別収集のための表示をすべき製品。スチール缶、アルミ缶、ペットボトル、二次電池(ニカド電池、ニッケル水素電池等)、その他プラスチック容器、その他紙容器等の表示が義務づけられている。

 指定副産物 副産物とは廃棄物処理法では産業廃棄物に該当する。指定副産物が発生する業種は、これの再生資源としての利用の促進に取り組むことが求められる。電気業の石炭灰、建設業の土砂、コンクリート、アスファルト・コンクリートの塊、木材の5品目が指定されている。

→次のページへ  循環関連法の体系

▲TOPへ戻る 廃棄物処理法 リサイクル個別法 △講義ノートトップへ