EPISODE:7 ジャングルジム
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ルフトハンザ機の747はボゴタを飛び立ってから30分猶予を経過した。
エクアドルの首都である"QUITO"までは約1時間半の行程で、コロンビア
南東部域のアマゾン川支流の熱帯性雨林とアンデス山脈嶺との中間を飛行する。
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近年この地に両国を結ぶ高速道路網の計画が浮上し、貴重な動植物生態系への影響が◆◆◆◆◆◆◆
話はまた遡り、1990年1月1日となる。
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宿泊ホテルをここエクアドルに滞在経験者により高級ホテルから住宅街の小さなホテルに
昨日予約した首都観光および赤道記念碑巡りのツアーに間に合わせるために各ピックアップ
地点へ急ぐキートン。国一つ違うだけで、雰囲気が異なるものを肌で感じ取れるのか、つい破
顔してしまう。その国、その国の地理、気候、歴史により暮らす人々の文化、風習、意識が形
作られていくのが、またここでも実感できる。
ツアーのワゴン内で解説がスペイン語で行うのか、それプラス英語で行うのかをガイド役の
初老の恰幅のいい男が訪ねてきた。
キートンが日本人であること、又スペイン語が流暢でないことを聞くと解説はまずスペイン語、
続いて英語で行うことを言い終えるとワゴンは出発し、一路旧市街を目指す。
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ここで、説明しよう。
各国首都に於いて旧市街と新市街が両立しているのは自明の理である。◆◆◆◆◆◆◆
旧市街の市場を抜け、一段と登り切る開けた場所にサン・フランシスコ教会が見えてくる。
日本では見ることのない、群青の絵の具を白いキャンバスに塗りたくったような空。
それと対比する教会の白壁、広場の黒ずんだ畳石。帽子を被る男達。買い物をする女達。
新年の祝いとお祭りがごったかえす喧騒の中、絵にしても、写真にしても聞こえそうだ。
広場を抜け、通りを曲がり、キートン一行はこの国で最も古い教会の中へ案内された。
≪キト旧市街中心部のカテドラル≫
礼拝する人々で長椅子の殆どは埋まっている。
この中をカメラに撮ることをキートンは躊躇った。
いや辞退した、と表現すべきかもしれない。
「信仰というのは、個々人の心のものじゃないかな、見せ物じゃない気がするんだ」
天井を見上げたとき、キートンの表情が柔和なものから険しくなった。
黄金色で埋め尽くされていたからだった。