EPISODE:13 Mar Caribe
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カリブの風に集いし燭は魚介のたぎるエネルギーを
交通機関をタクシーとバスに頼るキートンにとって遅くて
ちゃちなスクーターでもコーナーを曲がり、坂を登り、下る
際の風の心地よさを思い出した。
それは初めてオートバイに乗った感じを思い出させる(ヘル
メットは着用義務にはなっていないんです、この国では)。
コバルトの海、エメラルドの波頭、原色の絵の具を描きな
ぐったような大空、身体の底まで響いていくビートと艶めか
しい風の匂い、人々の情熱。
小さな乗り物を駆りながらも無意識の奥底から沸き上がる
リズムがキートンを突き動かす。
4年後、同じくツーリングをするキートンは、この眠って
いた躍動を思い出す。
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「食事だ、晩飯だ」◆◆◆◆◆◆◆
サンタマルタの朝の海岸は漁を終えた小船から市場へと水
ロダデロ(サンタマルタ州サンタマルタ市の一地域)
中心部の行政・公共サービスと異なり、ここは観光のみの
場所。ワイキキビーチと同様と考えればいい。
海辺に建つビル群。ホテルとレジデンシア(リゾートマン
ションと思えばいい)が所狭しと並んでいる。
その中の一つ、15Fの自宅のベランダで海辺を見下ろす
キートン。
ドラッグストアで買い物をするキートン。
海で泳ぐキートン。
レストランテで外食するキートン。
散歩をするキートン。
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眠るキートン。◆◆◆◆◆◆◆
1991年5月 ニュージーランド北島
90mileーBeachへと向かうバス内。
窓外の景色をぼんやり眺めているキートン。
“海、北へと向かう中で鉛色に変わる空”
“風、穏やかな顔の裏には冬に向けた厳しさ”
“山、島国の顔、堅い顔、和やかな顔、そのどちらでもない顔”
カメラを両手に抱え心の中で独白する。
「サンタマルタとは大違いだ、な」
やがて、雨柱をバスはくぐりだした。
バスツアーでの帰途、シーフードショップに立ち寄り軽い
食事をとる。NZ近海の海産物は日本に類似しているが一味
違う。近年、結婚式の食事の鯛の半数近くはNZからの輸入
物であるという。嗜好が似通っているのか?
夕食前、37℃あった気温がスコールの後、25℃まで冷え込
んだ。ほんの10分ほどの出来事。
カリブの夜は気まぐれだ。