映像になったビリー・ザ・キッド


ビリー・ザ・キッドが最初にスクリーンに登場したのは、児玉数夫さんの資料によると、1924年の『Billy the Kid』(主演:フランクリン・ファーナム)となっていますが、IMDbのデータによると、1911年にTefft・Johnson(テフ・ジョンソン?)主演の『Billy the Kid』があります。ビリー・ザ・キッドが登場する無声西部劇が何本あったか、データが整備されていないのでわかりませんが、相当早い時期からスクリーンで活躍していたのは間違いないようです。トーキー時代になって、最初の作品がキング・ヴィダー監督の『ビリー・ザ・キッド』(1930年)で、ジョニー・マック・ブラウンがビリー・ザ・キッドを演じました。この作品は日本でも公開されており、評判がよかったようですね。1941年にデビッド・ミラーがロバート・テイラー主演でリメイクしており、『最後の無法者』という邦題で、日本でも1953年に公開されています。ロバート・テイラーのビリーは、ザ・キッドと言うにはとうが立ちすぎていて、西部劇ファンには評判の悪い作品になりました。ザ・キッドらしかったのは、『テキサスから来た男』のオーディ・マーフィのようですが、私は未見なので感想を差し控えます。

ボブ・スティールやバスター・クラブがビリーを演じたダイムノベルを題材としたシリーズ物や、ジャック・ビューテルがビリーを演じた『ならず者』は史実とは大きく懸け離れたものでしたが、一番ひどいのは『ビリー・ザ・キッド対ドラキュラ』でしょう。ドラキュラが西部にやってきて、ビリーと決闘するんですからね。

アーサー・ペンはそれまでのキッド映画と異なり、『左ききの拳銃』で史実を基にしたビリー・ザ・キッドを描きました。正確かどうかは別にしてね。同じような作品構造をしていたのが、TVムーヴィの『ビリー・ザ・キッド』でしたが、出来はよくありませんでした。

リンカン郡の戦いをビリーでなくチザムを主人公にしたのが『チザム』で、ビリーよりパット・ギャレットに比重をおいたのが『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』でした。一方は娯楽西部劇、一方はニューウエスタンといった違いはあるものの、両者とも見応えのある作品でしたね。

そして極めつけは、『ヤングガン』と『ヤングガン2』でしょう。演出面など映画内容的としてはそれほど素晴しいものではありませんが、登場人物のキャラや銃器と衣装に凝っており、リアル派西部劇ファンを嬉しがらせる傑作です。何といってもエミリオ・エステベスのビリーが抜群です。まさに不良少年そのもので、深く考えずに暴走するところはビリーの実像に一番近いような気がしますね。

ビリー・ザ・キッドは1960年代のテレビ西部劇にも登場します。パット・ギャレットとビリーの友情と対決を描いた『西部の対決』はシリーズドラマだったし、『胸に輝く銀の星』、『コルト45』、『バッファロー・ビルの冒険』、『マーベリック』、『アリゾナ・トム』、『拳銃街道』にはエピソードの一つとしてビリー・ザ・キッドが登場しています。ちなみに、『アリゾナ・トム』ではデニス・ ホッパーが、『拳銃街道』ではロバート・ボーンがビリー役でゲスト出演しています。

ビリー・ザ・キッドはアメリカだけでなく、マカロニ・ウエスタンでも登場しているんですよ。ピーター・ローレンスが主演した『つむじ風のキッド』で〜す。

 

12人のビリー・ザ・キッド

ジョニー・マック・ブラウン

ロバート・テイラー

バスター・クラブ

ジャック・ビューテル

 

 

 

 

オーディ・マーフィ

ポール・ニューマン

ジョフリー・デュエル

クリス・クリストファーソン

 

 

 

 

ヴァル・キルマー

エミリオ・エステベス

クルー・ギャラガー

ピーター・リー・ローレンス

 

 

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