| ティータイム
その10 |
「故郷を出るとき、都会は誘惑が多く、住んでいる人も良い人ばかりではないから、用心するように、と言われました。
私たちの外見は人目を引き、誤解も受けやすいから、つねに気を引き締めているようにと。 でも、実際に、こちらに住んでみると、都会暮らしは話に聞いていたほど魅力的ではなくて、誘惑を避けるのも、難しくありませんでした」 シルフィスは肩をすくめた。
「わかるよ」
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| ティータイム
その11 |
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「シルフィス、きみに申し訳ないことを言ってしまった」 「え?」 シルフィスは不安そうに、眉を寄せた。 「私はこう言うべきだったんだ。絶対に後悔はさせない、とね」 「セイル」 喫茶店ではなく、二人きりの空間であれば、 セイリオスはシルフィスを抱きしめていたに違いなかった。 代わりに、彼はほほえみかけた。 「きみの勇気は尊敬に値する。 しかし、これからは、きみはひとりじゃない。 いつでも、私に頼ってくれていいんだよ。 私を信用してくれるね?」 「はい」 シルフィスは一生の誓いを立てるかのように、真面目に頷いた。 「ただ……ひとつだけ心配なことがあります」 「何かな? 私たちに解決できないことなど、何もないと思うが」 「ディアーナになんて話しましょう?」 「え?」 自信にあふれていたセイリオスの顔が、急に引きつった。 「学校で会いますし、私の部屋にもたびたび遊びに来てたんですから、 隠し通すなんて、無理ですよ」 「う……ああー、それは私にまかせてもらおう。 今夜、実家に戻って、直に話す」 「ええ。よろしくお願いしますね」 シルフィスはにっこりと笑った。 そして、晴れ晴れとした表情で、アイスクリームを幸せそうになめる。 セイリオスも、彼女に負けないくらい上機嫌だったが、妹への説明を控えて、 こめかみのあたりが、かすかにうずくのだった。 【小牧】 誰にも止められることなく、このまま同棲に突入しそう。 止められない小牧さんを許してください。 次は、セイシルとレオシルのダブルデートです。 かなりふざけた内容ですので、暇で暇で、時間を無駄に使ってもいい方だけ ご覧くださいね。 |