歯の塚や歯に関するモニュメント その3

   参考:「歯の健康と歴史」
    「世界口腔保険年」・「世界口腔保険学術大会」記念
   発行 社団法人 東京都歯科医師会
   発行日 平成7年2月28日
   平成6年7月6日〜10日に開催された
   「歯の健康と歴史展」の展示等をまとめた記念誌。
   この小冊子の48ページから、東京都内の「歯の神様」が
   いくつか紹介されているので、2001年7月8日にまとめて
   訪れてみました。


【歯神・山王清兵衛】
「日枝神社」
東京都荒川区南千住7-23-18
JR常磐線南千住駅をおり、右に出て北千住方向に商店街を行くと隅田川手前で突き当たりといった感じで日枝神社があります。
荒川区教育委員会の説明板(画像の一番左)によると、
「この社の入り口にあたる旧砂尾堤土手北端に歯神清兵衛を祀った小祠がある。いずれかの藩士清兵衛が虫歯の痛みに耐えかねてこの地で切腹し、遺言によってその霊を祀ったという。俗に山王清兵衛とよばれ、歯痛に悩む者が祈願して効き目があれば、錨をくわえた女性の絵馬を奉納する慣わしで、千住の歯神として有名であった。」
そのような痕跡はありませんで、閉められた社の中には餅のかけらのような物が沢山投げ入れられていました。


【むし歯祈念の寺】
「瑞應山 妙雲寺」
東京都台東区谷中6-2-39
JR日暮里駅西口に出て、その1に載せている「妍斎落歯塚」はそのまま坂を上りましたが、こんどはすぐ左におれ線路沿いに進み、もみじ坂(だったかな?)を上り、谷中霊園内を通り抜け、452号線に合流したらすぐ道路右手に見えます。
画像の石碑は寺の入り口右にあり、「南無妙法蓮華経」の文字の下に「むしば祈念の寺」というのが画像では見にくいが彫られています。 ここには鬼子母神が納められているそうです。
「歯の健康と歴史」から引用します。
「延宝・天和年中(1673-1683)頃、越中国(富山県)から江戸に出て浅草寺境内や上野の山で居合抜きやこま回しを見せながら歯磨や歯ブラシを売っていた松井源水は大正まで17代を数えた。日頃より妙雲寺の鬼子母神を信仰していたため、生涯一度も虫歯にならなかったといい妙雲寺は「むし歯祈念の寺」として知られ江戸府内をはじめ近隣の人々が参詣に訪れるようになった。「むし歯祈念の寺」の名は海外に移住した日系人にも広く知られ、今も祈祷を依頼する手紙が届けられている。」


【歯ブラシ供養】
「白山神社」
東京都文京区白山5-31-26
6月には「アジサイ祭り」が行われていて、有名なところだそうです。
画像の正面左にある「御神徳」から抜粋。
「一、御本宮(加賀一の宮)の修験者の一人が荒業に耐え成し遂げたと伝えられるむし歯(特に痛みを鎮める)に関するもの
昭和初期までお守りに房楊枝を添えたものが参拝者に配られていました」
現在ではこの件に関する参拝者も減り、房楊枝も姿を消したが、「歯ブラシ供養」が復活し、使い古した歯ブラシを持参して新しい歯ブラシを授けて帰るなど、人気も出ているそうです。(「歯の健康と歴史」から)
ざっと見た感じではそのような様子は伺えませんでした。
最寄り駅は地下鉄都営三田線の白山駅だと思いますが、わたしは町のなかを歩きながら歯医者さんの看板を探すのを喜びと感じていますので、上の妙雲寺から452号線を歩いてきました。


【塩地蔵】
「源覚寺」
東京都文京区小石川2-23-14
「歯の健康と歴史」によると、このお寺は「こんにゃくえんま」といって眼病平癒祈願として有名なととろなのだそうだ。そしてこの境内にある「塩地蔵」は歯の神様といわれているそうだ。
山門をはいり、寺正面から右に行くとすぐに塩地蔵があります。
塩地蔵は全身塩にまみれて真っ白になっているのは、参詣者が健康祈願のために塩を地蔵様に塗り付けるためです。
「歯の健康と歴史」に載っている写真では台座付近に塩があふれているだけだが、今はこの画像のように全身塩まみれになっています。
100円寄付してお寺に用意されている塩を地蔵にかけて、虫歯にならないように祈願してきましたが、現地の説明などでは特に歯によいという記述はなかったようです。
ここの最寄り駅は地下鉄都営三田線の春日駅ですが、やはり白山から歩いてきて、詣でたあとはJR水道橋駅まで歩きました。


【鯖稲荷明神】
「日比谷神社」
東京都港区新橋4-13-9
JR新橋駅烏森口から出て飲食店街を抜けていくと生い茂った木々に囲まれた神社が見えます。
当時東京湾の海岸線はすぐ近くにあり、海からは鯖、鰯、秋刀魚などが沢山漁れ、庶民の食膳を賑わした。旅泊稲荷(さばいなり)と呼ばれていた日比谷神社は、魚の鯖になぞらえて鯖稲荷と呼ばれるようになった。
この頃、虫歯、虫封じなど歯の痛み、悩みに苦しむ人々が祈祷により霊験とくにあらかたとして、鯖を断ち祈祷を掛け成就に際して鯖を奉納する習わしであった。「歯の健康と歴史」
神社の御神徳によると「虫歯、虫封じの御祈願するは日比谷神社のみなり」とあります。


【虫歯地蔵】
「松秀寺」
東京都港区白金2-3-5
境内に鎮座していた虫歯地蔵、以前は虫歯の痛みに悩むものが祈願して、治ればお礼に楊枝を供えたと伝えられる。
道路拡張のおり、境内に点在していた石仏を一箇所に集合させたため、今では「虫歯地蔵」がどれか特定することはできない。
JR田町駅から桜田通り(1号線)の白金1の交差点を目指し歩くことにしました。
寺の入り口は305号線側で、ここにバス停があり、田町と渋谷の間の路線バスが通っていたので、帰りはバスで渋谷に出た。


八王子の自宅を朝9時に出て、一気に6ヵ所をめぐり自宅に戻ったのは午後4時半。
歩行距離は11.6km。

一度に6ヵ所詣でたので虫歯にならないのかと思いきや、すでに虫歯になっている、はたして治るのだろうか?治れば鯖も楊枝も古い歯ブラシも奉納いたします。


追加:塩地蔵(2001.11.10)
「歯医者さんの待合室」(クインテッセンス出版株式会社)の11月号に塩地蔵と白山神社の話が出ていた。

 
記念して(何がだ?)塩地蔵「源覚寺」の絵馬と塩が入っていた袋の裏の説明の画像を追加しておきます。


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