「おしゃもじ様」
よはひ草第5輯 歯に関する俗信一覧表(追加)に,
「恩方村下恩方邊名(辺名)にオシャモジ様といふ小祠がある.口中一切の病に效験がある.歯の痛むとき治った人の納めた杓子を一本借りていき,治った時三本にして御禮納めする.」という記事があります.
仕事場の近所なので少し調べてみることにしました.恩方村下恩方邊名は現在八王子市下恩方町辺名となっております.工業団地を抜け,辺名の桜のT字路を右に小津方面に行くと,すぐ辺名バス停につきます. すぐ先には圏央道の工事中の橋脚ができています.
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ここは工事や採石場に行き来するトラックは頻繁に通るが,地元の方はめったに見かけません.
辺名バス停脇の小道の入り口には石碑がある.本当にこんなところを通って行けるのだろうか?という感じで少し心細い. 石碑には左奥を指差している絵と「今熊道」と書いてあるのだそうだ.
現在は使われていない道だが(最近の地図にも描かれていない),昭和18年の地図を見ると,ここから美山町方面の萩園あたりに抜ける道がしっかりとでている.今熊はその先です.
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上の画像の正面あたりに行くと,この庚申塔がある.台座の絵は馬に乗った猿を猿が引いているところで,右の方は欠けて良く判らないが,やはり猿が押しているのだそうだ.塔の左側面には天明3年?と書かれている.
ここをさらに左奥に進む.
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さらにぬかるみを進むと突然視界が開ける. この小道を行けば判るということなのだが,すでに圏央道の工事は進んでいて,小道は無くなってしまっています.
小道を行けば判るはずだったのだが,何年か遅かったようです.
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圏央道の工事中の道で,この路線は横浜方面行きの道路になる予定だそうです.画像は横浜方面を背にして北を撮った所で,ちょうど正面の林になっている場所に「おしゃもじ様」があります.
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やっと見つけた「おしゃもじ様」は,よはひ草でも小祠とあるように,確かに小さいです.良くあるお稲荷さんより少し大きい位でしょうか,しかし作りは立派です.15年ほど前に建て替えられたそうで,しゃもじはあたりに見当たらず,このころからしゃもじの御禮納めなどの習慣が途絶したのではないかと思います.
この小祠は正しくは石神井様(しゃくじいさま)といい,練馬のほうにある石神井と関連があるのだそうです.また「しゃくじい」から「しゃもじ」という発想ではないかというお話しも聞けました.
口中一切の病だけでなく,病一切に效験があるようで,しゃもじは2つ御禮納めするというおはなしもありました.
「おしゃもじ様」は,地元の方でも忘却の彼方の存在になってしまっていたようで,実際工事が始まったここ2-3年は立ち入り禁止になっているので仕方がありませんが,捜すのに大変苦労しました.八王子中央図書館や八王子郷土資料館で資料にあたり,また地元の多くの方の協力を得てやっと探し当てることが出来ました. 特に圏央道工事事務所ケンタの職員の方,また地元の地主様には大変お世話になりました.どうもありがとうございました. 2001.03.08
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