NISSAN TIIDA 15M (CVT) 2004年10月

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  まれに見る余裕のシート
60oの上下可動幅を誇るシートをいっぱいに下げても,1,535oもある全高のせいか,着座位置はやや高め。普通のセダンとしては,なんだか中途半端な感じですが,「前方の見晴らしがいいのが好き」という人にはお薦めかもしれません。シート座面の前後長はそこそこですが,最近の車としては異例なほど幅がたっぷりしています。そのせいかシート・アジャストのレバー類がシートの外側に配置できず,内側に追いやられています。そういえば,V35スカイラインでもアジャスト・スイッチは内側でしたっけ。これからの日産車のスタンダードになるのかも…欧州車には多いらしいですね。

  まずまずの新型エンジン
街中を普通に走る限り,まぁこんなものでしょう,という平々凡々たる乗り味。CVTの割には,踏んでも騒音の高まりが控え目なエンジン(新設計のオールアルミエンジンであることを,やけに強調していました)は美点と言っていいでしょう。1.0〜1.3gクラスよりトルクに余裕があるために,回転数が極端に上がらないためかもしれませんね。トルコンとの相性がいいのか,まずまずのトルク感をもって加速しました。とはいえ,フルスロットルでもスゥーッと加速するのは80km/hまで。1.5g同士だとカローラ・フィールダーより,無段変速の分だけアドバンテージがあるかもしれない…という程度ですかね。パニックブレーキは踏めませんでしたが,流れの中で強めに踏んだ限りでは比較的滑らかな減速感を示しました。

  ヨーロッパ規準…ねぇ?
油圧だというパワステはなぜか中立付近で妙に軽く,微舵を当てようとするとウニュウニュした感覚が手のひらに…これは明らかに×ですね。ただ,舵角を大きく取った時には気にはなりませんでした。“のた〜ぁ”っとした気合を入れないコーナリングでは,それなりに普通に走りますが,S字などでちょいと追い込むと,前輪を“ゥズゾゾ”と滑らせて,アンダーが顕著に出ます。セールス君は「タイヤが鳴かないでしょ!」と得意げでしたが,派手なスキール音こそ出さなかったものの,あれだけフロントが逃げているのに… ま,同じコースを走ったシエンタよりはましかなぁ…という程度で,“日産の世界戦略車なので,ヨーロッパでの走りを基準にしました”とは,とても思えない出来栄えです。

乗り心地はサニーより格段に進歩。良くいえばひとクラス近く上のしっかり感。10月末に出る4ドア版,ティーダ・ラティオはブルーバード・シルフィーの後継をも担う…というのがセールス氏の口振りでしたが,Cセグメントの2Boxなのにホイール・ベースが2600o,タイヤが185/65R15というサイズですから,落ち着いた乗り心地でも当然ですか。ただ2台乗ったうち,1台はタイヤの空気圧が高すぎたのか,路面の荒れを拾いすぎるプリプリした振動が気になりました。やはりタイヤって大きいですね。ただ,長大なホイールベースのせいか,最小旋回半径はなんと5.2m。この点は確かに“クラスを超えて”いるようです。

  高品質ってなに?
サイドブラインドモニターやらバックビューモニターやらと,ギミックはてんこ盛りですが,逆に水温計が付かないというアンバランスさ。斜め後方視界もお世辞にもいいとは言えませから,視界を補助するギミックが必要なのかも。さらに後席中央のヘッドレストと3点ベルトはオプションでも付かないという安全軽視の設定。リアシートはシングルフォールドのみ。いくら前方にスライドさせても,大荷物は入りそうにありません。吃驚したのはドアにカップホルダーが付いていること。中身の入った紙コップを入れてドアをドンッとしめたら…スクリューキャップ付きの瓶&缶じゃないとだめですね。もっともセンターコンソール付け根にも,カップホルダーがあるのですが…。高品質を謳う割には,継ぎ接ぎだらけのインスツルメント・パネルとか,やっぱり変な車ですね。メーター・クラスターはマツダのアクセラのような3眼タイプ。これも中途半端なスポーティーさです。

  BMW1シリーズと勝負!(笑)
セールス氏に「試乗はよくされるんですか」と尋ねられ,「まぁ,ちょこちょこと」と答えたら「最近はどんな車に?」と突っ込んできました。そこで正直に「BMWの120ですね」と答えたら「ああ,小さい奴ですね。較べてどうですか」だって。370万円もする,世界に冠たる(笑)BMWと,比較の対象になると思うところがすごいですね!!(Test:2004/10/10)