smart roadster (Sequential 6MT) 2004年04月
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試乗はシュテルンで
以前にスマートに試乗した三菱のディーラー,展示車が入ったときに試乗の依頼をしておいたのですが梨の礫。欠陥車隠しだけでなく,こんなところにも三菱自動車が傾く理由があるのかも…笑えない冗談はさておいて,今回試乗したのはシュテルンのお店で。メルセデス・ベンツの専売店ですね。輸入車好きの友人に連れて行ってもらいました。
いかにも…のドライビングポジション
“トリディオンセイフティーセル”と称するモノコックのサイドシルは極めて高く広く,おまけにシートは床に張り付くように低いため,“スマートに”乗り込むにはそれなりに慣れが必要そう。サイドシル後部が高くなっているから,なおさらです。シルに手をついてよっこらしょっと。試乗車は既に屋根を開け,ルーフフレームも外した状態だったため,それほど苦労はしませんでしたが,屋根が閉まっていたらもう少し面倒かも。でも,オペル・スピードスターよりはマシかもしれません(笑)。床にペタンとお尻を落としたような着座位置のため,脚は必然的に真っすぐ前に投げ出すことになります。これに較べたらNA6ロードスターの着座姿勢の,なんと乗用車的であることか!ステアリングやメーター類の位置がやや高めなのは,ドイツ人が大柄なためでしょうか?でも,ドライビング・ポジションそのものは悪くありません。いかにもスポーツカー風の小径ハンドル(エアバックのデザインが安っぽいのが難点)越しに見える小さなメーター類が,いかにもおもちゃオモチャしているのは,スマート・クーペと同じです。ロードスター・クーペ(マツダと同じネーミング!)の濃い色の方が,少々落ち着いて見えるかも。所詮玩具と割り切らないと,ちょっと納得いかない代物です。税別車両本体価格255万円とはとても思えない出来でした。
足回りはVery good!!
コーナリング,レーンチェンジとも,ステアリングにとても気持ち良く反応します。素早い操作にも,切った分だけスパッと向きを変えてくれ,敏捷という言葉がまさにぴったり。スマート・クーペと違って電動パワステを載せているとのことですが,日産車のそれに顕著に見られるような“ねばぁ〜っ”とした抵抗感&違和感はありません。ロールの絶対値はもちろん小さいのですが,それにも増してロールへの入り方,戻り方がとても自然なのが快感(笑)で,不必要なレーンチェンジを繰り返してしまいそうです。うちのNA6ロードスターはこの春にダンパーとブッシュを総替えしたばかりですが,う〜ん,これは負けているかも。よくいわれるNA6のヒラリ感と違い,スッ!スッ!と向きをかえる感覚です。レーンチェンジなんか横っ飛びに近いものがありました。いっぽう直進での安定感もまずまず良好で,小型車にありがちなひょこひょこ感もなく,なかなか快適です。2,360oのホイールベースは伊達ではない…と。快適といえば乗り心地もまずまず。スマート・クーペ(このあと友人の運転で“K”に試乗しました)よりもゴツゴツ感が無かったのは意外でした。これも長いホイールベースのなせる業でしょうか。いまどき珍しいターボラグ!
と,誉められるのはここまで。不満の最初はターボラグ。698tのターボで82PS/11.2s・mはなかなか立派な値で,普通に加速していく限りでは問題は無いのですが,いかんせんいったん回転を落としてしまうと,もう××。タイトターンからの立ち上がりでアクセルをグッと踏み込んだ時なんか,エンジンが死んでしまった?と思ったくらいの無反応時間がありました。ヒール&トゥで回転を高く保って…といってもノークラッチのMTでは思うにまかせません。もちろんターボラグが済んだ後はデータ相応の加速をしますが,元気よく走るためには4,000rpm以上を保持したい…。街中でこうですから,峠のワインディングに持ち込んだら,かなりのテクニックを要すると思われます。インプレッサがいくらドッカンターボだといっても,そこは2g,低速からそこそこのトルクは出ているわけで,ここまで乗りにくくはありません(これだけクラスが違うと,比較しても意味が無い?)。ん〜似たような排気量で較べると,コペンのターボ・エンジンの方がはるかにまともに思えました。
ブレーキの感触も…
遊びが大きく,効き始めてからが妙に重いプレーキペダルにも不満。効きそのものにはもちろん問題は無いのですが,これはかなり嫌な感触でした。スマート・クーペのブレーキは踏み初めに変な重さがあり,それを踏み越えると普通に効く傾向がありましたが,こちらは踏み始めに大きな遊びがある分,さらに感じを掴みにくいと思いました。また効き始めてからのストロークが小さく,減速具合の微妙なコントロールは難しそうです。ノークラッチの車ですからヒール&トゥの必要は無く,踏んで効けばいいという点では許容の範囲内なのかもしれませんが,それにしてもスポーツカーとして,このフィーリングは,ねぇ。シフト,車庫入れ…
ノークラッチのギアボックスですが,ATモードではスマート・クーペより良くなったように思います。シフトアップにかかる時間は短くなり,変速時の減速感も少なくなりました。MTモードでのシフトダウンは,あいかわらず上手とはいえません。この少し前にAudi TT のDSGに試乗したばかりでしたから余計ですね。DSGといえば,変速用のパドルがそっくり。まさかまさか,同じ部品ではないでしょうに…? 例によって最後は車庫入れで締めくくり…でも,これがなかなか上手くいきません。一発では決めることができず,切り替えしてしまいました。カッコ悪ぅ(^_^; なんで?と思ったら,要はステアリングの切れ角が小さいんですね。後でカタログを見たら最小旋回半径が5.1mとか。ホイールハウスの横に足を突っ込むパッケージングのために,舵角が充分に取れないのでしょうか。ちなみにNA6ロードスターは4.7mです。余談を。店内にロードスター・クーペの方が展示してあったので,面白がってガラストップの脱着を試みたのですが,一人ではかなりの困難を伴いました。我ながら非力だなぁ。ところでこの車,同行の友人は結構気に入ったと言っています。が,2輪を数台所有している彼のこと,スマート・ロードスターも2輪並みに捉えているのかも知れません。(Test:2004/04/11)