TOYOTA PRIUS “S” & “G” 2003年09月

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“S”も“G”も,外観はいっしょです

  座高制限あり
リアシートに座ると,頭が天井にぶつかる(座高が高めの友人に言わせるとめり込む)という,4ドア車としてはユニークな!特徴を持つ新型プリウス。見た目はそれなりにスタイリッシュですが,ルーフラインの下がり具合をみれば,リアシートで頭がつかえるのは納得です。おまけに後部のガラス配置は2代目CR-Xやユーノス・プレッソといったクーペと同じですから,まぁ…ははは!居住性を期待する方が無理なのかも。しかしいくら空力重視といっても,乗れないんじゃねぇ…。運転席の着座位置は先代より低め。先代は横からひょいと腰をかける感じで座れたのですが,新型はフツーに腰を下ろす形になります。先代の座り方が好きだったのに…。でもドライビングポジションは自然で,レガシィから乗り換えても違和感はありません。センターメーターのためもあって,目の前は広々としており,とても開放的です(個人的にはセンターメーターって嫌いですが)。

  エンジン&モーター
さて,キーを差し込んで(というよりパチンと嵌めて…いや,差し込まなくても近くにあればOKなんだそうで…)スタートボタンを押すと…エンジンはかかりません。電源がONになって計器類が点灯し,エアコンなどの電装品が作動するだけ。アクセルを踏むとまずモーターだけで静かに走り出し,一呼吸おいてエンジンが始動します。つまり完全なアイドリング・ストップなんですね。でも,この始動のタイミングが実に気持ち悪い…シートの下から唐突に始動時のブルルンという振動が伝わってきます。なんだかなぁ…。しかし加速は極めてスムーズ。2000ccクラスのパワーと自慢するだけのことはありそうで,結構力強い印象です。加速,巡航とも,アクセルを踏んでいる状態では,ほとんどのシチュエーションでモーターとエンジンが共に動いているようでした。80q/h近くまで加速してみましたが,エンジン音は流れ+αで走っている限り,ほとんど気になりません。

  足回りetc.
乗り心地はタウンスピードに限っては良好です。細かな路面の凹凸を上手にいなす足回りでした。どちらかといえば硬めのセッティング。コーナリングではロールが少なめで,姿勢そのものは安定しているようなのですが,いかんせんアンダーステアが顕著に出ます。ステアリングのギアレシオが比較的スローなせいもあってか,コーナーでふくらみ気味になり,ちょっと恐い思いをしました。でもアリオンあたりと較べると,ましかもしれません。また硬さが災いして,路面の継ぎ目などの大きな入力ではドシンときます。パワステはもちろん電動アシスト。かなり軽めの設定ですが,軽さの奥に“ぐにぃ〜っ”とした抵抗感があるのは,電動パワステの宿命なんでしょうか。一方,ブレーキは各段に良くなりました。特別に強力というわけではありませんが,回生ブレーキのため…と言い訳をしていた先代のカックン・ブレーキは完全に影を潜め,自然な減速感が得られます。

  パーキングアシスト!!
話題のインテリジェント・パーキング・アシスト。モニター上で駐車スペースを指定してやると,車庫入れや縦列駐車を自動でしてくれるというのですが…許容範囲内に車を持っていくのが本当に大変。まず車庫入れで試したのですが,普段自分がバックを始める場所につけたのでは,まずだめでした。許容範囲に持っていく方が,実際の車庫入れよりも難しいという本末転倒ぶり。この位置にピッタリつけることができたら,後は機械になんか頼らずとも簡単に車庫入れができてしまいます。おまけに駐車スペースを指定するのが一苦労。タッチパネルの矢印に触れてピコピコ…慣れていないせいもありますが,ものすごく時間がかかりました。セールスマンにやってもらっても大差ない時間がかかりましたから,実際の路上や公共駐車場でこんなことをやっていたら,クラクションの嵐を呼ぶことは必至でしょう。

縦列駐車は「前の車の横1mにつけた後,5メートル前進した場所で設定する」という指定があり,こちらは比較的やりやすいようです。設定が無事に終れば車がハンドルを勝手に切ってくれるので,プレーキを緩めたり踏んだりするだけで車庫入れ,縦列駐車とも完了します。ただ,最後までブレーキはかけてくれないので,ボーッとしていたら後ろにゴンとぶつけることになります。またクリープが思いのほか速く,ブレーキを完全に離すと「速すぎます」という警告がでました。手を離したハンドルが勝手に回るのって,見ていて結構不気味。でも左右にハンドルを切る縦列駐車の動きは拍手喝采ものです。それにしても,話の種には面白いけれど,本当に役に立つのかなァ?

  レガシィ後継には
ハッチバックになって35.5q/gの10・15モード。これで4WDが出たらレガシィの後継車として…とも考えたのですが,まだまだ時期尚早かな?という感じです。セールス氏によると,新型の実用燃費は20〜22q/g程度とか。ちなみに旧型は18q/gほどだったそうです。試乗車の燃費記録を見ると,なんと10.7q/g。いくら踏んでばかりの試乗という悪条件といっても,え?という値です。知人のホンダ・フィットが名古屋⇔高山の長距離とはいえ,一般道で22q/gを記録したという話を聞くと,ねぇ。また,インホイールモーターによる4WDの実用化も,見通しは立っていないということ。プリウスの購入を具体的に検討するのは,次のフルモデルチェンジ見てから,かもしれません。(Test:2003/09/2023)