TOYOTA PASSO X“F Package” (4A/T) 2004年06月
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プチ・トヨタ,でもダイハツ渾身の…?!!
直列3気筒エンジン,いかにも最近のダイハツらしいデザイン・アイデンティティー。こりゃぁ軽四輪に毛が生えたような車でしょう,きっと…とまぁ,ぜんぜん期待せずに乗ってみたら,これがなかなか侮れない車でした。いまどきの小型車らしく,比較的アップライトな着座姿勢で座る運転席のシートは,車格相応に小ぶりながら,ホールド感は悪くありません。軽でしばしば気になる低すぎるシートバックと違い,充分な寸法があります。ただ,ヘッドレストが妙に前に倒れているのが気になりました。シートバックといえば,リアシートのそれもなかなかの物。ミニバンの3列目シートに較べたら天と地。うっかりすると2列目よりも,よほどまともかもしれません。そうそう,リアのシートバックのリクライニング機構の単純ながら明快なアイデアには,微笑しながらの脱帽,という感じです。この機構,見た目はホントに無骨ですが…(^_^) ただ,うっかりした操作をすると,指を挟んだりしそうな心配はありますね。それでもポルテよりはマシですか。必要充分な力のエンジン
エンジンは小排気量とはいえ3気筒らしく,発進から低速時にはそこそこのトルクを発揮します。奇数シリンダーによる振動は思いのほか少なく,ブン回さない限りほとんど気になりません。トヨタの1g4気筒エンジン1SZより,この1KR-FE(なんてトヨタ式命名法)の方が静粛性はよさそうです。K3-VEと名付けられた1.3gの方はさすがに4気筒ですね。試乗車はどこのディーラーにもないようだけれど。さて,60q/hくらいまでの加速はスムーズで,流れに乗って走るのには何ら不満はありません。もっとも,そこから80q/hまではじっと我慢の時間がかかり,それ以上はエンジンの悲鳴に耐えて踏み続けることに…いや,ここいらがリッターカーの限界なのでしょうか。街乗りには充分なエンジンの特性ですから,高速道路では多少我慢するということで良しとしましょう(なぁんて,普段2.5gの車に乗っている人間が言っても,全然説得力がありませんね)。A/Tのシフトショックも許容範囲で,加速の具合を考えると,エンジンとのバランスはとてもいいようです。足回りも良好
パワーステアリングは適切な設定で,重すぎたり軽すぎたり,また重さが途中で変わったりといった,変に気に触ることはありません。サスペンションの設定も上手で,普通に運転している限り実に自然に回頭してくれます。乗り心地も900kgの車としては充分でしょう。フワフワせず,かといってゴツゴツ感も無く,まずは快適な部類に入ります。あくまでもリッターカーの範疇としては,ですが。直進性にも問題は無く,ヴィッツのようにひょこひょこする不安定さは見られません。もちろんオーバースピード気味に交差点に進入してのコーナリング…なんて馬鹿をやればそれなりにしっかりアンダーが出ますが,それでもフィットのようにグシャリと腰砕けになることはありません。フィットとは半はクラス違いますから,これは立派といってもいいかも。パッソ&ブーンはデュエット&ストーリアの後継車種。走りに関して言えばヴィッツがデビューした時よりはるかに完成度が高いといえそうです。いや,ヴィッツ,フィットのみならず,国産のコンパクトカーの中では抜きん出ているかも…現代のTBの方が,脚は若干いいように思いますが,エンジンとトランスミッションは1KR-FEの勝ち!日常のアシと割り切るのなら,これは結構お薦めの車ではないでしょうか。ボディパネルやフロント,リアエンドも全て一緒,バッジが異なるだけという徹底した割り切りを見せる双子車のパッソとブーン。さてこの秋,ヴィッツがどんなに洗練されてくるか,楽しみですね。ちなみに,FIATのプントに乗る友人は,8年経ってようやく国産でのこのクラスの車造りが欧州に追いついた,といっています。(Test:2004/06/19)