HONDA NSX (5MT) 1992年頃

MENU

もう数年前の事になりますが,運良くNSXに試乗する機会を得ました。もちろん3g5速ミッションの時代です。うろ覚えですが,印象に残っている分だけ記してみましょう。まず一つは扱いやすさ。普通の国産車の試乗をするとき,私は意地悪にも,アイドリングに毛の生えたような回転数から,しかも半クラッチもあまり使わずにスタートさせる,という乗り方をしてみます。街中でののろのろ運転に,どう応えるかを試してみるわけです。NSXの場合,さすがにアイドリングではエンストしてしまいましたが,少しでもアクセルを踏んでやれば,涼しい顔をして走り出しました。「これなら通勤に使える」と感激しましたね。

一方,フルスロットルでの加速は凄まじいばかり。血の気のひくような加速感が味わえました。これより以前に,出たばかりの初代インプレッサWRXに試乗した折,急な上り坂にもかかわらず,気持ちが悪くなるような加速を経験していたのですが,それと較べると違和感はないものの,圧倒的な加速にはちがいありません。しかし一般道路で,あっというまに高速道路での制限速度を越えてしまうのですから,困ったものです。アルテッツァあたりがいくら速いといっても,やっぱり格が違うようです。NAならではのリニアな加速感は,レガシィGT-Bのようなターボ車とも,一味違う速さを感じさせました。

でも,なにより驚いたのが操縦性。ちょっとハードなコーナリング中(70km/hを越えていたかな?),路面のギャップに飛ばされたのか,急にリアが横っ飛びに振り出されそうになってしまいました。ところが,なんと自然にカウンターステアを当てて,一発でリアの乱れを止めることができました。普通なら,ゆり戻しをくらったりして,ドキドキ冷や汗ものの場面なのに…。月並みな表現ですが,本当に「あれっ?こんなに運転がうまかったっけ」と思わせる操縦性です。足回りの性能の高さばかりではなく,ドライバーとのインターフェイスが抜群なのでしょう。

事情が許せば手に入れたいと思う,数少ない国産車のひとつです。しがないサラリーマンには縁のないクルマと知りつつも,街中で走り去るNSXの姿を見るたびに,ちょっとときめくものがあります。平成元年のデビュー以来,わが国唯一のスーパースポーツとして君臨するNSX。バブルの真っ盛りに咲いたあだ花かもしれませんが,mod993以前の911のような進化を続けて欲しいものです。