NISSAN MARCH 12c (4AT) 2002年6月

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   初めに色ありき…
試乗車を前にして,無愛想なセールスマンが開口一番「アプリコットという色です」 ふ〜ん,なるほど。イメージカラーとはちょっと違うのかな?(あとで調べたら,イメージカラーは“パプリカ・オレンジ”のようです)。しかし,これは“車好き”が踏み込んではいけない分野の車なのかもしれないなぁ。排気量やグレードより先に,外装色が出てくるとは…。デザインは,一頃のパイクカーを思わせます。トヨタのWill Viがかぼちゃの馬車なら,これはみかん,否,杏子の馬車でしょうか?うちの職場の若い女性によると“雨蛙”なんだそうですが。

シートは小さく,なんだかスツールにちょんと腰をひっかけたような着座感。このごろ流行りの,比較的アップライトな運転姿勢なのですが,なんともしっくりしません。シートのハイト調整もしてみましたが,最後までいまいちでした(やはりアップライトなトヨタのiStでは,こんなことはなかったのですが…)。リアシートに乗ろうとすると,どうしても足がシルやピラーにぶつかるのは,私の脚が短いせい? カーゴスペースは,スーパーでの買い物には十分な広さですが,セカンドシートを倒すとシートバックとの間に大きな段差がつき,大きな荷物,長い荷物を積むのは苦手そうです(レガシィと較べている訳ではありませんよ!)

   インテリジェントキーだそうで
売りの一つ,“インテリジェントキー”をオプション装備しているとか。セールスマンが「私が持ってますから」だって!結局手に取らせてはもらえませんでした。変なの! キーを身につけていれば,ドアノブのボタンを押すだけで開錠したり,ノブをひねるだけでエンジンがかかったり。リモコンキーに比べ,何かメリットがあるんだろうか…?と考えたのは,あまりにも自分中心の発想ですね。女性がハンドバッグにキーを入れっぱなしで,わざわざ出さなくても全てことが足りるというのは,単なるギミックという以上にアピールするのかもしれません。アピールといえば内装色は“シナモン”。完全に女性ねらいの色設定とネーミングですねぇ。しかし,なんでキーを手渡してくれないんだろ?

   軽い軽いパワステ
で,試乗スタート。車速感応型電動パワーステアリングは,思い切り軽い設定です。自分のレガシィもパワーアシストは強い車ですが,それ以上。ほんと,小指引っ掛けてればクルクル回せます。某自動車雑誌には「軽すぎる」と書かれ,我が悪友が「まっすぐ走らん」と酷評したのがこのパワステ。でも,普通に街中を走らせる限り,特に問題はなさそうです。試乗コースが全て直線と直角の交差点で構成され,足回りをコメントできるような場面には恵まれませんでしたが,交差点を曲がっている分には可もなし不可もなし。乗り心地もコンパクトカーとしてはまずまずでした。ちなみにタイヤサイズは175/70R14。リッターカーが14インチを履く時代なんですね…感無量(笑)。ローからセカンドへのシフトショックが非常に大きいのがかなり不快。そぉ〜っと加速しても“ゴツン”ときます。この点はヴィッツやフィット(CVTだから当たり前か)に軍配が上がります。

   ABSは?
空いた道路でいつものようにフルブレ―キング。ブレーキアシストのせいであさっりABSが…との予想は裏切られ,派手なスキール音とともに,軽く左右に尻を振ってから止まりました。タイヤがロックして滑っている様子が手に取るように分かります。スピンモードには入らず,ほぼまっすぐに止まりましたから,最終的にはABSが作動したのでしょうが(作動音やキックバックは分かりませんでした…),これはかなり怖い挙動です。同じ日産とはいえ,同一場所で制動を試したV35スカイラインとはまったく逆の設定ですね。こんな不安定な挙動を許す設定だと,怖くてパニックブレ―キを踏めない人が増えるんじゃないかと,余計な心配をしてしまいます。思わず「これってABS,付いているんですよね」と口走り,セールスマンに「もちろんです。いつもこんな運転をするんですか」と嫌味な口調でいわれてしまいました…(^_^; 

今回は試乗はセールスマンのせい(!)で,ちょっと後味の悪いものになってしましました。そういえばこの店,スカイライン250GTに乗った時もあまりいい感じではありませんでした。おなじプリンス名古屋でも,別の店舗では感じのいい対応をしてくれます。試乗も店を選ばないといけませんね。