LEXUS IS350 “version S”(6AT) 2006年1月
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一番高価なグレードが試乗車とは…さすがですアルテッツァ変じて高級スポーツセダン
いやぁ,感動ものです。高速道路での抜群の安定性と静粛性には,目を見張るものがありました(さすがプレミアムブランドを謳うレクサス店,なんと高速試乗をさせてくれるんですね。ETCでのゲート通過,初めて経験させてもらいました。おまけにディーラーでの説明の際にはコーヒーだけでなく,ケーキまで出してもらえるし…車そのものには関係ありませんが)。実速80km/hでも体感速度はせいぜい60km/h。120km/hで巡航状態に入っても,どっしりと安定し,不安感は全くありません。その速度域へもってゆく加速も最大38.7kgmに達するという大トルクのおかげで,車重が1600kgもあることなど意に介さずの余裕綽々。馬力は312PSもあるということですが,2g280PSクラスのターボ車とはひと味もふた味も違った加速感で,暴力的な印象は微塵もなく,アクセルを少し踏み足すだけで,実に滑らかに且つあっというまに上記の速度まで到達します。ただしフルスロットルには程遠い踏み方で十分な加速を得られましたから,それなりに踏めば…頬が引きつるかもしれません。これはよほど空いた道路でないと試せないでしょうね。ブレーキの能力も加速性能に見合っていて,踏力に応じてしっかりとした減速を示しました。エンジンとトランスミッションの滑らかさ
感動といえば,アイドリングでの静かさもV型6気筒としては秀逸です。ステアリング,ペダル,シートへの気になる振動もほとんどなく,手垢のついた表現ですが,思わずもう一度(キーをひねるならぬ)スタートボタンを押してしまいそう。発進からアクセルをじわりと踏み込むと,スルスルと滑るように加速し,シフトショックは全くといっていいほど感じられません。ステアリングに付いたパドルでのマニュアルシフトも試みてみました。操作から変速までのタイミングはまずまずです。もちろん不満というほどではないのですが,そんなに素早いという感覚もありませんでした。シフトアップでのショックはマニュアル操作でも感じられませんでした。シフトダウンでは…まったくショックが出ない訳ではありませんが,ま,許容範囲といったところでしょうか。ところで,このパドルタイプのシフトレバーの形状は,ラクティスといっしょのようですね。材質は…もちろん違うのかなァ?脚回りの設定
試乗車の“version S”というグレード(消費税込み495万円!!)は,強化された足回りに前225/40R18に後255/40R18という大径で幅の広いタイヤを履いていました。そのせいなのか,大型車が多い国道のような轍が目立つ路面では,ステアリングがチョロチョロとられる傾向が見られました。また舗装の荒れた路面も少々苦手。運転しているとそんなに気にならないのですが,助手席に乗ると舗装の凸凹をいちいち拾うのが分かり,高級車らしからぬ腹に響くような突き上げが感じられました。ノーマルの足回りなら問題ないのかもしれませんが,軽量のスポーツカーならともかく,いくらスポーティーグレードとはいえ,高級高価格車としてはもう少し何とかして欲しいところだなぁ,と思ったのが正直なところです。あ,フーガの19in仕様ほど酷くはありませんが…曲がりは…
このサイズの車で最小旋回半径が5.1mというのは凄いですね。前輪の切れ角がしっかりとあるのでしょう,中央分離帯の切れ目からのUターンで,驚くほどの小回りを見せました。本当にクルリと回り込む感じです。Bセグメントのコンパクトカーでも,タイヤサイズによっては最小旋回半径が5mを越える車種がありますから,さすがはFRの面目躍如です。パワーステアリングの設定はとても良好で,どんな速度域でも不自然さが出ることなく,落ち着いた操舵感覚でした。コーナリングはとても自然で,ステアリングを切った分,素直に曲がる好印象です。また,60km/h+α程度では少々乱暴なレーンチェンジをしても変な振り戻しがなく,スッスッと気持ちよく車線を変えます。硬めの脚のせいか,この程度ではロールもほとんど感じられません。ただし高速道路のランプウェイで踏み込むと,さすがにちょっと恐かったです(^-^;後輪の接地がやや不安定になるような感覚。普段乗っているのが同様な状況ではアンダーを示す四輪駆動車ですから,後輪だけに大トルクがかかる感じをひさしぶりに味わって戸惑ったこともあると思いますが…(Test:2006/01/08)半年足らずして,同僚がIS250 “version S”を買いました。ネットでよくみる数万円引きではなく,20万近く引いたようです。まぁ,クルマなんてのは格好が気に入っちゃえばあとは勢い,見たいなところがありますが,レジェンドの次はクラウンを本命としていた人だけに,何か違うぞ…の思いが残ったのは野次馬の余計な差し出口にしておきましょう。